2000年後もラブソングを


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Devote lingerie to you


1


事の発端は修学旅行。
指定させれた時間内で大浴場で入浴する、と言う時。


「……………」


いつも一緒にいるリコちゃんの下着をまじまじと眺めたことだった。


「なに?」
「え?あ、い、いや…。」


リコちゃんはこの日、紫のレースの下着を着けていた。
元々の体型、と言うものが、私よりも格段に良いけど、下着効果で倍増してる、と言うか、こう…、同じ年の子とは思えない色気と言うか…。


「だから何?」
「…リコちゃん、て、」
「うん。」
「…大きかったんだね…胸…。」


私にはない何かを感じた…。


「あぁ、これ?これそういう下着!」
「え?」
「ちょっと高かったんだけど、良い奴使った方が良い、って母さんに言われて。」


リコちゃん曰く、この下着は所謂「寄せて上げる」タイプのブラらしく…。
フィーナも使ってみたら?高いけど、なんて言われた。


「で、でも、さ、」
「うん?」
「良いよね…、寄せてあげるものがある人は…。」


私は誰がどう見ても決して「胸がある」とは言えない部類の胸だ。
それどころか部活の後輩のオルオに「フィーナの胸は抉れてる」とまで言われた人間だ(その直後オルオは、同じく後輩のぺトラに殴られていた)
服の上からしか見たことない人間ですらそういう風に言ってくるほどの貧乳だ(むしろ「貧しい」と言うのも憚るほどの胸だとそこはもう認めてる…)


「じゃあ旅行終わったら一緒に行ってみる?」
「え?」
「下着買いに。」


カコーン、と、お風呂場で何かが響く音が聞こえた。


「あ、Line着てる…リヴァイさんからだ。」


『土産、食い物ならなんでもいいぞ』


お昼、リヴァイさんに写メを送った返事が着た。
…………リヴァイ、さん、は、胸のこと、とか…、ぜんぜん何も言わない(むしろオルオのようなことを言う人だったらそもそもにしておつきあい自体しないけど)
でも、ハンジさんの話しだとリヴァイさんの元カノさんたちはそれは素晴らしい体型だった、って話だし、社員旅行とか、会社の飲み会でリヴァイさんに寄ってくる女性社員もそれはそれは素晴らしい体型の人のようだし…(そう断言はされてないけど、聞いてるとそうとしか取れない…)
そもそもにして、リヴァイさんは、私のような体型じゃ、色気を感じてない、とか…。
なんて、ところまで行き着いたら、なんだかこのままでは「マズイ」と言う感情が一気に押し寄せた。


「リコちゃん、」
「なにー?」
「さっきの話だけど、」


こうして、修学旅行後、リコちゃんと一緒に下着を買いに行くことにした。
そして旅行の数日後、自分がいつもは行かないランジェリーショップに連れてきてもらったはいいけど、なんというか…、気後れしそうなほどの下着のレパートリーに、やっぱり帰ろうよ、って言おうとした時、


「あ!ほらコレだ、コレ!上げ底ブラ!」


リコちゃんの言葉に耳がピクッ、と反応した。


「良かったらご試着でもどうですかー?」
「あ、い、いや、私は、」
「着けてみなって!そのつもりで今日来たんだし!」
「え!?う、…う、ん………。」


お店の人に声をかけられ、うわ、って思ってる時、すかさずリコちゃんが助け舟を出してくれた(ような、そうでもないような)


「サイズはおいくつですか?」
「あ、A、の、」
「んー…、じゃあこれなかんかどうです?」


お店のお姉さんは、いくつか私のサイズのブラを持ってきてくれて、そしてそのまま私の背を押し試着室へと連行した。
リコちゃんに助けを求めようとチラッとみたら、


「………」


我関せず、で、自分用下着を見入っていた…。


「じゃあこれ着けてみてくださいね。」
「は、はい…。」


お店の人に言われるまま、下着を着けて見た。
…………ち、ちょっと、やっぱり、私には派手だよなぁ、なんて思った時、


「どうですかー?」


シャッ!と、カーテンが開いた。
びっくりして胸を隠す(ような胸がないのは重々承知してるけど…!)と、お店のお姉さんは腕を組みながら、


「あぁ、ダメダメ!もっといろんなところからお肉をかき集めなきゃ!」
「え?え!?ち、ちょっ、」
「ほら、動かない!!いい?ここのお肉にも『あなたは胸よ』って言い聞かせて、」
「や、やめてくださっ…!」
「こう!!や!!ってーーっ!!!!」
「っ!!?」
「ほら、出来た…!…あら?あなた、Aじゃなくて、Bでいいんじゃない?」
「えっ?」
「ちょっと同じデザインのBも持ってくるから待ってて。」


お姉さんはそう言ってカーテンの向こうに消えていった。
お姉さんが今かき集めて作った私の胸を鏡越しに見る。
……………すごい、うっすらと谷間が出来てる…!!
何これ、高いブラってこんなにすごいの…!!?


「失礼しまーす!じゃあこのサイズでもう1回着てみて、」
「あ、あの!」
「はい?」
「こ、これは、このブラを着けてる時だけ、なんですか?」
「え?」
「サイズ、とか、が、」
「あぁ!ブラはね、正しい下着を正しい付け方で着けると、」


お店のお姉さんの話だと、ブラはきちんとつければ(胸の肉をかき集めてつければ)自然とその位置に胸の肉として固定され、サイズがあがるって話だった。


「フィーナ、どうだった?」
「う、うん…!やっぱり買おうかと思って、」
「だろ?で、どれにするの?」
「それが…、」


それならこんな私の胸でも世間一般レベルの貧乳くらいにはなるかもしれない…!なんて思って買おうと決意するものの、


「ち、ちょ、っと、私には派手、か、なぁ…、って、」


お店に並んでいる下着は、どう贔屓目で見ても私には合わなそうなものばかりだった…。


「そうか?お前、肌白いんだし濃い色合うと思うよ?」
「い、いや、だからって、赤は…、」
「お客様はお顔立ちも可愛らしいから、そのギャップを狙ってこういう下着とかもオススメですよ!」
「い、いえ、黒はもっと、ハードル高い、って、言うか、デザインは、好き、だけ、ど…、」
「あ、ほんとだ。この黒、デザイン可愛いじゃないか。」
「そうでしょうそうでしょう!今季の新作なんですぅ!!」
「この2つでいいんじゃない?とりあえず。」
「ですよね!いかがでしょうか!?」


すっかりお姉さんとタッグを組んで私の敵と化してしまったリコちゃんに薦められるまま、今まで自分が選ぼうともしなかった下着を買わされてしまった(買ったのは私だし、着けるのも私だけど心情的に買わされた…)

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bkm

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