2000年後もラブソングを


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Devote early summer to you++


1


「これは、なに…?」
「さぁ?」


もうすぐ10月、って頃。
授業も終わり放課後、さぁ帰ろう、ってところで、リコちゃんと2人クラスメートに捕まって、いつの間にか作られていたお誕生日席のような場所に座らされている私たち。


「今日こそは!ちゃんと聞かせてもらおうと思って!!」
「な、なにを…?」
「何をじゃないって!年上彼氏を作る方法!!」


クラスメートたちは机を叩きながら、リコちゃんと私に迫ってきた。


「いつの間にかリコにも年上彼氏出来てるし!」
「あれは…、つきあってやらないと可哀相かなぁ、って思ったから?」


少し口を尖らせながら言うリコちゃんは、本当にツンデレさんだと思った。


「じゃあフィーナは?」
「え?………気がついたら?」
「気がついたら年上のあんなイケメン彼氏が出来てたっておかしいでしょ!?何したの!!?」
「い、や、何、って、」
「あ、それ私も知りたいかも。」
「え!?リコちゃんまで何言って、」
「だってほんとに気がついたらつきあってなかったか?」


なんで?と言う顔でリコちゃんは聞いてくる。
なんで、なんてそんなの…。




「フィーナちゃん、ごめん。実は、」


あれは確か秋になり始めた頃。
いつものようにリコちゃんのお兄さんから勉強を見てもらい、今日はここまで、となった時、お兄さんが突然謝罪してきた。


「実はゼミでちょっと…、トラブルと言うか…ゴタゴタがあって、当分その処理に駆り出されることになりそうなんだ。」
「…は、ぁ?」
「いつまで続くかまだわからないから、当分勉強見れそうにないんだよね…。」


この時の私の頭の中では「お兄さんの代わりの家庭教師」なんて、1人しかいないわけで。


「じゃあまた先生にお願いするんですか?」


なんの疑問もなく、そう聞いていた。


「いや!アイツも都合が悪いんじゃないかなぁ!?…だからまた違う人探すから、ちょっと待っててくれる?」
「…そう、なんです、ね…。わかりました。」




「(アイツを本当にロリコンにさせるわけにはいかないから頼めるわけねぇだろ…)」




お兄さんが何を思ってそう言ったのか、この時の私がわかるわけなく…。
ただ、リヴァイさんじゃないのが、すごく残念に思えた。
だけどこの時のお兄さんの最大の誤算は、


キンコン


「…あ、Line着た!」


既に私とリヴァイさんが、2〜3日に1回はLineのやり取りをしていた、と言う事実を知らなかったことだろうと思う。


「えぇー、っと、『その公式は、この前教えただろうが』って、え!?い、いつだろう…!?」


現代文明がすごいなぁ、って思ったのは、お兄さんから勉強を見てもらっている時間以外、行き詰まったらリヴァイさんがLineメッセで勉強を教えてくれるようになったこと(難しい時は電話が来る)
わからないところを写メって送ると、どこの部分が間違っているとか、教えてくれる。
最初は、家庭教師としてのお金も払っていないのに何度も悪いな、って思ってそれをメッセージで送ったら、


『礼ならクッキーでいいぞ。美味かった。』


と、メッセージが返ってきて、お礼は現金じゃなく、クッキーとか、お菓子であげることで丸く収まった。
以来、心置き無く、頻繁にLineのやり取りをするようになっていたんだけど…。


「『今電車で、電話出来ない。明日ファーランに聞いてくれ』って…、でもお兄さん、明日は…。」


『お出かけ中にすみませんでした…!お兄さん、忙しいから、当分先生にお聞きするしか…すみません…。』

『は?忙しいってファーランがか?』

『え?聞いてませんか?ゼミでちょっとゴタゴタと、大変なことがあったみたいで、当分見れない、って…』

『その間の代理はどうするんだ?』

『お兄さんも捜してくれてるんですが、まだ決まっていなくて…』

『それを早く言え。明日、学校終わったら駅マックな』


「え…?」


Lineでのやり取りを繰り返していたら、さも当たり前、みたいにリヴァイさんからメッセージが着た。


『でも、先生、忙しいんじゃ…?』

『別に』

『大丈夫、なんです、か?お兄さんが先生は忙しい、って…』


そのメッセージを送った後で、それまでテンポ良く流れていたメッセージが少しだけ、止まった。


『俺じゃない方がいいなら別の奴捜すがどうする?』


しばらくして着たそのメッセージに思わず、


『先生がいいです!』


そう答えていた。


『じゃあ明日な。』


その日は、そのメッセージを最後に、Line通知がなることはなかった。
お兄さんは忙しい、って言ってたのに時間出来たんだ、とか。
先生からまた教えてもらえる!とか。
その日はすっごくドキドキと興奮していたのを覚えている。




「あぁ、くっそ!誰だよこんなミス放置してたの…!連日22時まで学校って何も出来やしねぇ…!ん?Lineが着てる…『おい、俺はお前と違って全く忙しくなんてないんだがどういうことだ?』って、アイツ何言ってんだ?『何言ってんだお前?』と…。あー、もうほんと飲み行きてぇ、って、またLineが…『フィーナの家庭教師だ。俺が代わりに見てやるから安心してゼミのゴタゴタを片づけてろ』って、ちょっと待てーーー!!!!くっそ!!アイツ電話出ねぇし!!!」




そんなにお兄さんが慌ててたなんて知る由もなく、その日は眠りについた。



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bkm

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