2000年後もラブソングを


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Devote my life to you++


5


キンコン

「あ、Line着た。えぇー、っと…『それでリヴァイは剃ったの?医者の卵だから、ファーラン知ってるんでしょー?( ^ω^ )』…………トーク削除、と(ほんと懲りねぇな、ハンジ…。むしろ1回ボコられろ)」




「ミカサから聞いてまさかって思ってたけど、リヴァイさんの今カノ、ほんとに女子高生なんだな…。」
「私、嘘吐いてない。」
「いや、別にお前が嘘吐いたとか思ってねぇけど、『あの』リヴァイさんが女子高生ねぇ…。」
「あの人、」
「うん?」
「中学生のフィーナさんに手出した、って。」
「…はっ!!?リヴァイさんロリコンだったのかよっ!!?」
「やっぱりロリコン?」
「いやだって、今で女子高生って、ことは、それ2〜3年前の話だろ!?リヴァイさんいくつだよっ!」
「犯罪の臭いすらする…。」
「うわぁ…、俺リヴァイさんのことすっげぇ尊敬してたのに、今の一瞬でそれが過去形になった…。」
「でも、」
「あ?」
「フィーナさん、今までの人たちとは違う。」
「どこが?歳か?」
「歳、も、若い。けど、…私を見て、変に…ライバル心?燃やさない。」
「あぁ…。お前なんでか浮気相手に間違われた時あったもんな…。」
「あんなチビのどこが良いのかさっぱりわからないのに、変に睨んできたり嫌味を言う馬鹿な女が好きな残念な人だと思っていた。」
「…」
「けど、フィーナさんは、私が一緒にいても、楽。きっと、良い人。…だと、思う。」
「ふーん…。」
「…そう言えば、」
「うん?」
「お母さんから電話で、あの人婚約したらしいって…。」
「…………は?え?それって相手フィーナさん?だよ、な?え!?だって女子高生だろ!?」
「…手に負えないロリコン…」
「(どうしよ、リヴァイさんに対する見方が今日1日でガラッと変わっちまった気が…)」




「安静期間、過ぎてからでも良かったのに…、」
「早い方が良いだろう。」


リヴァイさんが退院した翌々日の土曜日、うちに来るって言い出して…。
なんで、なんてそんなの…。


「いらっしゃい!退院後間もないのに、わざわざありがとう。」
「いえ、俺の方こそご迷惑をお掛けしました。」


うちに着くとママが出迎えてくれて、とにかく座って休んで、と、すぐ部屋に通した。


「お邪魔します。」


リビングに行くとパパがいて。
リヴァイさんがパパに挨拶をした。


「『ただの』盲腸だったらしいから、家で休んでいた方がいいんじゃないか?」
「そうですね。お嬢さんのつききりの看護があるんでそっちの方が気が楽なんですけどね。」


パパとリヴァイさんは、なんて言うか…舌戦を、楽しんでいる、ような関係に見える。
…や、パパはどうかわからないけど、少なくともリヴァイさんは楽しんでいる気がする…。


「それで?」
「はい?」
「わざわざ退院後すぐに来たのは何か目的があるんだろう?」


ママがお茶を持ってきた時、パパがリヴァイさんに向けて尋ねた。


「えぇ。今日はコレについてお話にあがりました。」


コレ、と言いながらリヴァイさんが出したのは、


「………こっ、婚姻届!?」
「そうです。」


声を裏返したパパに、どこか目を輝かせてるママ。
その2人を前に、リヴァイさんは今回起こった出来事を淡々と語った。


「いや、君、最初に卒業までは待つと言ったじゃないか!」
「ですから先ほども述べたように、」


私はまだ女子高生なわけで。
実際その現場に居合わせたことはないから、ドラマで見た限り、の、知識しかないんだけど…。
リヴァイさんのそれはまるで、ドラマで見た、企業の新商品のプレゼンか何かのような印象を受けた…。
リヴァイさんは淡々と、如何に「今」籍を入れることにメリットが生じるかを語る。


「まぁ…世間的には多少好奇の目で見られるかも知れませんが、」
「多少!?多少じゃないだろう!高校在学中に結婚だぞ!?俺が君の言うところの世間一般だとしても、どんな奴だと好奇の目で見るぞ!?」
「そこらへんは気にしないんで。」
「君の話をしているんじゃない!娘の心配をしてるんだっ!!」


すっかり頭に血が上ってしまったパパでは、リヴァイさんに良いようにあしらわれるだけで…。


「俺としてはこれが1番手間がかからず手っ取り早い方法なんでお薦めなんですが、」
「俺は断固反対だ!!」
「ならもう1つの方法として、」


リヴァイさんは顔色1つ変えず、もう1つの方法、会社における有事の際の緊急連絡先を、うちにすることを提案した。


「なんだ、入籍以外に方法があるなら早く言いなさい!…ママ、印鑑持ってきてくれ。」
「…サインするの?」
「娘を高校在学中に嫁に出すことに比べて、電話くらいどーってことない。」


パパはそう言って、ママに必要書類にサインするように告げ、リビングから出て行った。


「…ほんとに呆気なかった…」
「え?」
「だから言ったじゃねぇか。こっちは簡単に了承するだろう、と。」


パパが出て行った後で、目の前の紅茶に手を伸ばしたリヴァイさん。


「…やだ、もしかしてこれって作戦だったの?」


私たちの会話に、ママが驚いた顔をした。


「入籍日自体はいくらでも譲歩出来ますが、こっちは譲歩出来ないんで確実に落とさせてもらいました。」


リヴァイさんの言葉にママは苦笑いした。


「でもあの人、入籍ってなっても反対しそうよね。」
「あぁ、それは大丈夫です。」
「うん?」
「いくらでも譲歩出来ると言っても、譲歩出来て『卒業まで』なんで、卒業した日に入籍しますから。」


ズズーッと、お茶を飲むリヴァイさん。
…私の人生なのに…、私を置き去りに、どんどん話が進んでいく気が…。
私が呆然としてる中、くっくっ、と笑って頑張ってと声をかけてくれたママの言葉、やけに頭に残った。



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bkm

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