2000年後もラブソングを


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Devote early summer to you+


4


「フィーナ、アナ雪観たんでしょ?」


映画を観に行った翌々日の塾で、リコちゃんに聞かれるだろうことを聞かれた。


「う、うん…!」
「どうだった?」


リコちゃんには誰と行ったとまでは言っていない。
ただ映画を観に行く、とだけ言った。
ん、だけど…。
実はあんまり内容覚えてなかったりする…。
だって!
初めてのデートで!!(しかも好きな人と!)
直前に、あのぬいぐるみを自分で買いに行って(しかも雑貨屋はしご!)恥ずかしかったとか聞いたらもう頭がお花畑になってしまって。
むしろ私が「Let it go」と歌いだしそうなくらい舞い上がったくらいなんだから…(券を購入してから「そういや字幕だけどいいよな?」って言われた。字幕に集中しちゃうから吹き替えの方が好きなんだけど、もっと英語も頑張ろうって、次の約束なんかしてないのに、そう思っていたくらいだ)
映画の内容なんて頭の中を綺麗に通り抜けていった。
でも…。


「すっごくおもしろかったよ!」


内容どうのより、「先生と2人で行けた」ことが、すごく楽しい思い出になった日だった。




「〜♪〜」
「あはっ!」
「あ?」
「リヴァイも鼻歌、歌うんだ?良いことあったの?」
「…別に。」
「それアレでしょ、アナと雪の女王!頭に残るよね。おもしろそうだし、私たちも観に、」
「あぁ、それなりにおもしろかったぞ。」
「え?」
「ディズニー映画にしては、だがな。」
「……観に行ったの?」
「あ?あぁ。」
「………誰と?」
「………………ファーランとだ。」



「ファーラン!!」
「んー?えーっと…、君は確かこの間の飲み会(と言う名の合コン)の時にいた(いつの間にかリヴァイと消えた)子、だっけ?」
「聞きたいことがるんだけどっ!?」
「え?俺に?何?」
「あなた、アナと雪の女王観に行ったっ!!?」
「え?あぁ、行った行った!あれそれなりに楽しめて、」
「し、」
「…『し』?」
「信じられないっ!!恋人がいるのに男2人でディズニー映画ってあなたたちゲイ!!?そんな人間が合コンに来るんじゃないわよっ!!!!」
「…………えっ?あ、ちょっ、」
「……………………煩ぇ女の思い込みって怖ぇもんだな。」
「…………おい、リヴァイ。どういうことか説明あるんだよな?」
「………」
「俺の聞き間違いじゃなかったら、大学構内、しかも俺が在籍してる学部の敷地内で、お前とゲイカップルにさせられた俺には聞く権利があると思うんだけどな?」
「…説明も何も、俺が映画観に行ったと言ったら勝手に切れてお前のところに行っただけだ。」
「映画ってアナと雪の女王か?1人で行ったのか?」
「んなわけねぇだろ。」
「じゃあ誰と行ったんだよ?浮気でもしてたのか?そんなわけねぇよな?浮気するくらいならさっさと捨てるもんな?お前。」
「………」
「じゃあ誰、って、……………今、すっげぇ怖ぇこと思い出しちまった…。」
「あ?」
「リコがフィーナちゃんがアナ雪観に行ってすげぇおもしろかったって言ってたから自分も行きてぇって言ってたんだが…。」
「…」
「まさかとは思うが、相手はお前じゃないよな?」
「…………」
「おい!この前も言ったけどっ、」
「別に、」
「あ?」
「成績あがったって言うから褒美に連れてっただけだ。普通だろうが。」
「…………いいか、お前は知らないんだろうが、『普通』の家庭教師はテストで成績あがったってだけで中学生を映画に連れてったりしない。第一お前は今『家庭教師』ですらないんだ!」
「………」
「なぁ、よく聞けリヴァイ。いいか、今ならまだ間に合う。お前にはフィーナちゃんが物珍しいだけだ。そりゃそうだろうな、あんな純粋で真面目な子今までお前の周りにいなかったし、俺が紹介する女もあんな子いないもんな?だからお前はちょっと物珍しくて気になってるような気がしてるだけだ。早まるんじゃない。」
「ただ映画行って帰ってきただけじゃねぇか。何目くじら立てて、」
「俺はお前の心配をしてるんだっ!」
「お前なぁ…、あんなガキとどうこうなるわけねぇだろ。」
「(なりそうだから言ってんじゃねぇか!)…あぁ、そうだな。お前もフラレたことだし、来週にでもまた合コンしてやるから待ってろ(こうなったら誰でもいいからコイツが本格的にロリコンに走る前に止められる女連れてこねぇと、)」
「………そういや、」
「あ?(くっそ、誰かいねぇかな…)」
「お前が馬鹿みてぇにせっせとスマホ弄ってメール送る理由がなんとなくわかる気がした。」
「………は?」
「変に裏がないメッセージはもらっても嫌な気はしない。…し、返信したくなる。」
「……」
「それが延々続いて、気がついたら1時間経ってて最初から電話すりゃ良かったと思った。」
「…………」
「と、言うか、あの真面目馬鹿一直線なところはメールなんかよりも、直接会って会話してた方がおもしれぇし…和む。」
「………嘘だろ、」
「あ?」
「お前いつの間にそんな重症患者になっちまったんだ…。」
「あ゛?」
「おい、俺治療法なんか知らねぇぞ…。」
「(何か知らねぇが、すげぇムカつく…)」




「お前、まだこれ持ってたのか?」
「当たり前じゃないですか。持ってますよ。」


私のカバンについてる、小さなリトル・グリーン・メンのぬいぐるみ。
それは大事な思い出の品。
リヴァイさんからの、初めてのプレゼント。


「だってそれ、私の宝物ですから!」

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bkm

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