2000年後もラブソングを


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Devote my life to you+


1


ホワイトデーの翌日に所謂「婚約指輪」を貰ってからしばらく。
普段学校に行っている私は、そんな高価なものを身につけていられるはずもなく、大事に大事にその指輪をしまっていた。


「ちょっとフィーナ!こっちに来なさいっ!」


デートの時はした方がいいのかな?とか。
でもそうすると無くしたら困るしな、とか。
若干(?)小心者な私は、リヴァイさんちのお家デートの時以外は、デートの時も指輪をせずに会うことにしていた。
し、リヴァイさんもそれは「お前らしい」と言っていたので、それがすっかり定着していた。
だからその日も、指輪はせずにリヴァイさんと出かけていた。


「何?」
「いいからそこに座りなさいっ!」


そして帰ってきたら、ママが仁王立ちしてリビングのソファに座れ、と言ってきた。
何事だろう、と言われるがまま、ソファに座った。
ら、


「これは何!?」


コトン、と、テーブルの上に、リヴァイさんから貰った指輪のケースを置かれた。


「あなたこれ本物でしょ!?こんな高価なものどうしたのっ!?」
「……しっ、信じられない!人の部屋勝手に入ったの!?」
「洗濯物置きに行っただけでしょう!そしたら机の上に明らかに高そうなケースが置いてあるじゃない!」


そう言われて、今日出かける前の自分の行動を思い返した。
…………言われてみたら、今日はお家デートじゃないとは言え、ご近所だから、はめて行こうかどうしようかギリギリまで悩んでいて、結局そのままはめずに、ケースごと机の上に出していた気がする…。


「勝手に見たのはそりゃあ悪かったと思うわ。でもまだお小遣いだって渡してる娘の部屋に、宝石が入ってると思われるケースがあったら気になるのが親でしょう!?」


そう言われると、確かにそうな気がする…。


「開けてみたらそれダイヤよね!?本物でしょう!?あなたそんな高価なものどうしたのっ!!?」
「…も、貰った、の。」
「貰った!?誰から!!?あなたまさかおかしなことしてるんじゃ、」
「ち、違うよ!これはママが思っているようなことじゃなくて、」
「じゃなくて何っ!!?」
「こ、」
「こ!?」
「…婚約、指、輪?」


改めて親にそのことを口にすると、途端に申し訳なくなってきた(何も悪いことしてないけど!)


「………ねぇ、フィーナ。」
「う、うん?」
「冷静になりましょう。ママも冷静になるから。」
「う、うん。」


そう言うと、ママは何度か大きく深呼吸をした。


「あなた、婚約指輪の意味わかってるの?」
「わ、わかってるよ、それくらい。」
「相手はどこの誰?まさか学生でその指輪をパチンコか何かで儲けた勢いで買った、とか言わないわよね?」
「違うって!相手の、人は、働いてる人で、ママも聞いたことあるでしょ?ダリスコーポレーションて会社に勤めてる、」
「…ダリスって『あの』ダリス?」
「た、ぶん、そのダリス。」
「………どこで知り合ったの?そんな人と。」
「え、えぇ、っと、リコちゃんの、お兄さんの親友で、」
「リコちゃんのお兄さん、て、家庭教師してくれた?」
「うん。」
「…そう、彼のお友達なの…。」


私の話を聞いて、ママは一気にトーンダウンし、隣に座ってきた。


「マ、ママ…?」
「なぁに?」
「だ、大丈夫…?」


伺うように見た私に、ママは1つため息を吐いた。


「てっきりあなたが何か悪いことでもしたのか、悪い男に騙されてるんじゃないか、って思ったけど、」
「…」
「リコちゃんのお兄さんの友達なら、大丈夫なのかな?」


そう言って、困ったように笑っていた。


「どんな人?」
「う、うん、ちょっ、と、口が悪い、けど、優しい人?」
「ダリス、ってことは、優秀な人なんだ?」
「え?う、うーん、でもリヴァイさんと同じ会社の人の話だと、」
「え?」
「うん?」
「…同じ会社の人と会ったことあるの?」
「え?うん、何度か。」
「…そう…。」


ママはソファの背もたれに体を預け、うーん、大きく伸びをした。


「そんな指輪、くれたってことは、今度ちゃんと挨拶に来てくれるのよね?」
「え?あ、う、…たぶん?」
「いつ来るの?ママも会ってみたいなー!」
「え!?…や、でもほら、忙しいみたいだし?」
「今度来てくださいー、って、言ってみてよ。パパも会いたいと思うし?」
「………い、言って、みる。」


楽しみ、と言って、ママはリビングから出て行った。
その日の夜、リヴァイさんに電話したら、


「だ、だか、ら、別にいつでもいいんです、が、」
「…わかった、今週末行く。」
「え!?い、いや、別にそんな急に、」
「いや、今まで行かなかった俺も悪い。土日のどっちが都合が良いか聞いておいてくれ。」


随分とあっさり、うちに挨拶に来る流れになってしまった…。
どうしよう、と、慌ててママに言ったら、


「あら、じゃあ日曜日に来てもらいましょうか。パパには言っておくから!」


こっちも随分とあっさり決まってしまった…。
…………こんなものなんだろうか?
なんて思いながら、リヴァイさんに日曜日が良いそうです、とメッセージを送ったら、すぐにわかった、と返信が来た。
こうして、リヴァイさんが初めてうちの親に挨拶に来ることが決まった。

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bkm

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