2000年後もラブソングを


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Devote early summer to you


7


「お、お邪魔、します…。」


チャイムを鳴らさなくていいとリヴァイさんは言ったけど、本当に鳴らさずに人の家に入ることがすっごく躊躇われて、ドキドキしながら室内に足を踏み入れた。


「…先生…?」


静まり返った室内に、リヴァイさんの気配はなく…。
あれ?と思った時、ベッドの上でごそっと何かが動いた。


「…」


近づいてみるとリヴァイさんが、少し赤い顔で規則正しく寝息を立てていた。


「…………」


この時の私はただひたすらに、「先生の寝顔だ!!」って心の中で興奮していたんじゃないかと思う。
このまま見ていたい気もしたのは確か。
だけど、このままリヴァイさんが起きるまでここで待っているわけにはいかないし…。
どうしようかと少し悩んだ後、メモを残して帰ることにした。
カバンの中からいつも使っているメモ帳を取り出してリヴァイさん宛に置き手紙を書いた。
書き終わって帰る直前、もう1度ベッドサイドに行って、リヴァイさんの顔を覗き込んだら、やっぱりいつもより赤い顔をして規則正しく、寝息を立てていた。
この時どういう心境でこういう行動に出たのか、はっきりとは覚えていないけど…。


「早くよくなってね、先生。」


生まれて初めて、男の人の頬にキスをして、リヴァイさんの部屋を出た。




「…………何の用だ?」
「(すでに機嫌悪い)調子はどうだ?」
「………」
「(返事もなし、と)フィーナちゃん、そっち行ったか?」
「………」
「自分でお礼したい、って言うし、あの子なら大丈夫だろうって思ったからお前の家教えたんだけど、」
「………」
「…そんな怒るなよ、悪かったって。」
「…………ファーラン。」
「うん?」
「…俺は今、経験したことがないほど犯罪者のような気分を味わっている。」
「………は?」
「なんだ?何が原因だ?あの呼ばれ方か?それともあの制服か?」
「いや、言ってる意味わかんねぇんだけど…。」
「ただでさえ今頭痛ぇのに、あのガキ何しやがる。」
「…なんかあったのか?」
「………」
「え?マジでなんかあったのか?『あの』フィーナちゃんの話だよな?は?マジで?」
「………」
「いや、お前しっかりしろ。何があったか知らねぇが、相手は中学生だぞ?」
「………」
「お前が家庭教師期間で真面目なフィーナちゃんのこと気に入ったのは知ってる。それもかなりな。だけど、それは妹みたいな感情だろ?そこ間違えるな。」
「………」
「おい、なんとか言えって!」
「…………クソがっ!」
「(マジかよ…)大事なことだからもう1回言うが、相手は中学生だからな?フィーナちゃんがお前を、ってなら微笑ましいで済むが、その逆は本当に洒落になんねぇってわかってるよな?」
「………」
「だいたい何があったんだよ?」
「…別に、」
「うん?」
「特に何もない。」
「…いやでもお前、」
「ただ、」
「『ただ』?」
「クッキーが美味かっただけだ。」
「………は?クッキー?って、お礼って言ってた奴か?どこの店のだ?俺が買ってってやるから目覚ませ。」
「いや手作りだろ?微妙に不揃いだし。」
「は?手作り?他人の手作り食ったのか?お前が?」
「………」
「他人の手作りなんか何入ってるかわかるもんじゃねぇとか言ってバレンタインチョコゴミ箱に捨ててたお前が?」
「知らねぇ奴ってわけでもないしな。」
「(すでに手遅れかもしれない…)」




「でもさぁ、そんな年上の彼氏、どうやってつきあうことになったの?」
「…………気がついたら?」
「はぁ!?なにそれ!気がついたらヤられてたってこと!?」
「ち、違うって!そういうんじゃなくて、…ねぇリコちゃんも何か言って、」
「アイツ、ロリコンな上フィーナがボーッとしてるから気がついたらヤられてたに一票!」
「…リコちゃんまで酷い…」
「けど気がついたらヤられてって言ってもちゃんと責任とって彼氏になってくれるならいいよね。」
「わかる!ヤリ逃げじゃないだけ、リコが言うよりもずっと良い奴だと思う!」
「馬鹿だなぁ、お前たち。あのチビがヤリ逃げたらフィーナだけじゃなく、兄さんとも縁切ってもらうからな。」


鼻息を荒く、そう言ったリコちゃん。
なんでも話すことが出来るリコちゃん。
でもリコちゃんにも言ってないことが、1つだけある。
リコちゃんは、たぶん、リヴァイさんが何かしらのアクションを起こしたから結果今に至る、と、思っているんだと思う。
でも本当は、先に恋に堕ちたのは、きっと私の方。

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bkm

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