2000年後もラブソングを


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Devote early summer to you


4


お祭りの時のちょっとした事件があった2日後、リヴァイさんの4回目の家庭教師の日がやってきた。


「お待たせしました。」


勉強を見てもらう場所と化している駅マックのカウンター席(普通のテーブル席で向かい合ってると見辛いそうだ)
リヴァイさんはいつもここで、私より先に来て100円コーヒーを飲んでいた。


「先週出した宿題は?」
「それなんですが、」
「あ?」
「一応、やったんです、が、えぇ、っと、…ここ、ちょっと自信なくて、」
「見せてみろ。」


リヴァイさんは何事もなかったかのように、今までと変わらずに勉強を見てくれていた。
ただ私だけが、ドキドキドキドキ、していたんじゃないかって思う。


「あぁ、ここはこっちの公式を使うより、」
「は、はい。」


それまでは、「先生」の顔を見て話すなんて恐れ多くて出来ずにいたわけだけど(何より怒ってるんじゃないかと思っていたくらいだし)ほんの数日しか経っていないのに、今は全く別の意味で顔を見て話せなくなってしまうだなんて、思いもしなかった。


「お前ここどうした?」
「え?」


そんな時、リヴァイさんが自分の頬を指差しながら聞いてきた。


「あぁ、違うそこじゃない、ここだ。」
「!」
「赤くなっ、てる…」


ここだ、と言ってリヴァイさんは私の頬に人差し指で軽く触れてきた。
その瞬間、私は一瞬で顔が真っ赤になったんじゃないか、って。
…じゃなきゃ、あんなに驚いた顔、するわけない、ってくらい、リヴァイさんは目を見開いて私を見た。


「あっ、う、こ、これはっ、今日の体育でっ、ちょっとっ…」
「…そうか。」
「はっ、はい、そうですっ。」
「…………」
「…………」


この時の、頬を抑えて俯く私とリヴァイさんの間に、ものすっごく、気まずい空気が流れたことは、今でも忘れられない。


「腹減ったな。」


恥ずかしすぎてもう帰りたいけどまだ帰りたくない、っていう心の葛藤を繰り広げていた私に対してリヴァイさんがポツリ、と言った。


「ポテトでも食うか。お前は?」
「え?」
「ポテトだ。お前も食うか?」
「い、いえっ、」
「飲み物は?」
「え!?あ、や、」
「…アイスティか?それ。」
「あ、は、はい。」
「待ってろ。」


そう言ってリヴァイさんはスタスタとレジカウンターに消えていった。
リヴァイさんのこの突然の行動が私に対して気を使ってくれてたから、なんて、考えられるほどの余裕なんて全くない当時の私は、とにかくリヴァイさんが離れたこの隙に、顔の熱だけでも取らなければと、パタパタと顔の辺りを手で必死に仰いでいた。


「ミルクとガムシロは?」
「あ、いり、ます。」


リヴァイさんはポテトとアイスコーヒーとアイスティーを買って戻ってきた。


「す、すみま、せん。ありがとう、ございます。」
「あぁ。」


お金を渡そうとしたら、要らねぇ、とバッサリ切り捨てられたため、お礼を言った。
その後勉強に戻り、しばらくしてその日は解散となった。


「あ!返し忘れちゃった…。」


………この日のこの突発的な出来事に、頭を持って行かれて、お祭りの時にリヴァイさんが貸してくれて、綺麗に洗ってアイロンまでかけたハンカチを、すっかり返しそびれてしまった。
あと2回、リヴァイさんとは会う機会がある。
だからその時にでも、って思った直後、


「…あと2回…」


あと2回でお別れなんだ、って、胸が痛くなったのを覚えている。


「え?お礼?」


翌日、学校でリコちゃんに、代理家庭教師の期間があと2回で終わるリヴァイさんに、何かお礼をしようと思う、と相談したところ、


「あー、いらないいらない!アイツにやる必要なし!」


なんでこんなに仲悪いのかなぁ…、って返答をされた。


「で、でも、」
「んー?」
「…お祭り、の、時も、助けてもらった、し?」
「あぁ…、そういやそうだったね。」


じゃあお礼した方がいいかもね、とリコちゃんが言った。


「な、何、したら、いいと思う?」
「んー…、そうだなぁ…。あ!クッキーは?」
「え?クッキー?」
「そう!ほらフィーナってお菓子作り得意だろ?クッキーならそんなお金かからないし!」


なんて名案!て勢いでいうリコちゃんに、そう言われてみたらそうかもしれない、と思った私は、その案でいこう、と頷いた。

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bkm

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