2000年後もラブソングを


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Devote my life to you


2


「既読がつかない…。」


リコちゃんに言われて、とりあえずリヴァイさんの会社の近くまで、は、来た(さすがに会社の前まで行く勇気はない)
Lineを使ってリヴァイさんにその旨伝えるものの、仕事中だから当たり前と言えば当たり前なんだけど、既読が、つまり読まれたと言う形跡が残ることはなく…。
あぁ…、どうしよう、と思いながら、リヴァイさんの会社のある最寄り駅のあたりをウロウロとしていた。




「ね!?ウケるだろっ!?」
「いやー…、それって明日は我が身じゃないですか、」
「ないない!慎重派なモブリットなら、まさかプロポーズにやった指輪突き返されるようなこと、ナイって!」
「…いやまぁ、俺は確かに勝算なかったらしないですけどね…。」
「だろっ!?まさか!あの!!リヴァイがフラれるなんてねっ!!もうこれは弄り倒すしかないよね!?」
「……だからあんた、いつかあの人に刺されますよ…。」
「いやー、いつになく不機嫌でいつになく寝不足そうだったからこれはフィーナと何かあったんじゃないか、って思って、リヴァイに張り付いて無理矢理にでも聞き出して良かったよ!!!」
「…だから今日、俺のデスクにやたら書類が回って来たんですね…!?」
「でもぷぷっ!まさかフィーナに指輪受け取ってすら貰えないなんてぶはっはっはっ!!!」
「…だからですね、そういうこと言ってると、…うん?」
「ん?どうしたの?モブリット。」
「…あの子確か以前ハンジさんの写メで見せてもらった、リヴァイさんの、」
「うん?…あーっ!フィーナ!どうしたの、ここで!!」



私がウロウロと駅付近を彷徨っていた時、リヴァイさんのお友達のハンジさんに声をかけられた。


「ハンジさん!お、お久しぶり、です。」
「うんうん、久しぶり!あ、モブリット。この子、フィーナね。フィーナ、こっちモブリットで私の部下!」
「どーも。」
「は、初めまして。」


ハンジさんが紹介してくれた人に深々と頭を下げた。
…ハンジさんの部下、と、言う、こと、は、リヴァイさんのことも、知ってる、の、かな…?
そういう人には、迂闊な行動を出来ない、と言うか…。
あまりリヴァイさんが困るようなことにならないようにと心がけている。


「何、どうしたの?」
「…あ、の…、」
「もしかしてリヴァイ待ち?」
「……は、い。」
「あー…、そろそろ来るんじゃないですか?今日は残業ない、って言ってたし。」


私とハンジさんの会話にモブリットさんが加わった。


「ここで待ってたら来るんじゃない?連絡した?」
「あ、一応、Lineで…。でも、まだ見てないみたいで、」
「あー、そういやリヴァイさん、今日ハンジさんにスマホ充電し忘れたって言ってなかったっすか?」
「そういえばそんなようなこと言ってたね。じゃあ電源落ちてるのかも。」
「そう、なん、です、か、ね…。」
「大丈夫?ここで待ってると見つけられないかもしれないし、会社の前に行ったら?」
「い、いえ、それは、さすがに、」
「いいって!なんなら私たちもつきあってあげるからっ!!さぁ、行こうっ!!」
「あ、ち、ちょっ、」


グイグイと私の腕を引っ張るハンジさんに、駅からほど近いリヴァイさんの会社の前へと行くことになってしまった…。




「(……これは明日の業務を円滑にさせるためにも、リヴァイさんにこの子引き渡した後で、この人を俺が連れて帰らねぇとなんだろうな……)ハァ…」




「それにしてもさぁ、」
「はい?」
「寒くない?その格好!」


結局、リヴァイさんの会社の前でハンジさん、モブリットさんの3人で待つことになってしまった…。


「寒くない、わけ、じゃ、ないです、が…、耐えられる寒さ、だし、」
「そうなの?若いっていいよねー!ねぇ、モブリット?」
「もうその足、見てる方が寒くなる!」


ブルッと身を竦めたモブリットさん。
………思わず、勢いで来ちゃったけど…、制服で来たの、やっぱりまずかったな、なんて、そんなこと思った時だった。


「…お前ら何してる?」


リヴァイさんがビルから出てきた。


「あ!リヴァイお疲れ!フィーナがあなたに会いたい、って言ってたから連れてきてあげたの!」
「…は?」
「ほら、こんな格好で駅でうろうろしてたら変な男に声かけられちゃうだろう?」
「…………」
「だから心配で心配で、」
「…………」
「で、どうせここまで戻ってきたんだからこれからみんなで夕飯でも、」
「おい、モブリット。」
「はい、連れて帰ります、連れて帰ります。行きますよー、ハンジさん。」
「え!?ち、ちょっと!私まだここにいたいんだけど!!」
「そうですか。じゃああんたもうここで人生終わらせますか?」
「モブリットは冷たいなぁ!どうしてそんな子になっちゃったんだい!」
「どうしてじゃないでしょう!俺もう腹減って仕方ないんですから行きますよ!」
「なになに、どこか飲みに行くの?」
「…そういや最近この近くに新しく出来た店が、」
「ほんとに!?じゃーそこ行こうか!!」
「いや、誰もあんたと行くなんて一言も、」
「さぁ、しゅっぱーつ!!」


賑やかにモブリットさんに連れて行かれたハンジさんが去った後で、


「で?お前はどうした?」


リヴァイさんが私を見ていった。
……………どうしよう、すでに機嫌が悪い気がする………。


「あ、の…、」
「ちょっと待ってろ。」
「え?」


リヴァイさんはそう言うと、再び会社に戻っていった。
…………忘れ物でも、した、の、かな?
あぁでも、すでに機嫌が悪い気がするリヴァイさんにどう言ったら…。
なんて思っていると、


「ほら、」


少し息を弾ませたリヴァイさんが、会社の中にあるんだろう自販機で買ってきたらしい温かい紅茶のペットボトルを差し出してきた。


「あ、あり、が、とう、ございます…。」
「このクソ寒ぃ中そんな格好してんじゃねぇよ。」


そう言ってリヴァイさんは自分が着ていたコートを脱ぎだした。


「着てろ。」
「い、いいです!そこまで寒くないんで、」
「その足、見てる方が寒ぃんだよ!黙って着てろ。」
「…は、あ…。」


モブリットさんもさっき言ってた「その足」と言うのは、制服のスカートから出ている生足のことで…。
まぁ…、確かに寒いは寒いけど、でもこれは毎日のことで慣れてる、って言うか…。
なんて思いながらリヴァイさんのコートを肩にかけた。

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bkm

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