2000年後もラブソングを


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Devote Xmas to you


3


「クリスマスいないのか?」


クリスマスイブまであと少し、ってなったある日。
久しぶりに仕事が早く終わったパパと、3人で夕飯を食べている時、パパが驚いた顔をして聞いてきた。


「う、うん。その、日、は、リコちゃんちに、お泊りで、」


あまりにもべったべたな言い訳に、ママは(恐らく)気づいていると思う。
このことを口にした時、ニヤニヤしてたし。


「そうかぁ…。じゃあ、リコちゃんちに迷惑かけないようにな?」
「あら、大丈夫よ。ねぇ?フィーナ。」
「え!?う、うんっ…。」


ママの言うところの何が大丈夫なのか、聞いてみたい気もするけど、黙って頷くことにした。
…リヴァイさんは、基本お泊りとか禁止な人だ。
私が学生、ってことを気にして、絶対に帰れって言う。し、帰される。
でも、さ…。
せっかくのクリスマス、と言うイベントだし、今年のクリスマスは土日だし!
ちょっと…、こう…、前日から泊まり込んで、日付変わったらお誕生日おめでとう、って、言ってみたいなぁ…、とか思って…。


「だ、だめ、です、か…?」
「………親の了解が取れたらな。」


リヴァイさんに聞いたところ、うちの親が許可を出せば泊まりに行っていい、って言われて。
晴れてお泊りとなったわけだ。
そしてクリスマスイブ当日。
今日は土曜日、ってこともあって朝から至るところに人が溢れていた。


「ケーキ、持ってきましたよ!」
「…2つも買ったのか?」
「クリスマス用とお誕生日用ですっ!」


リヴァイさんはいらない、って言ったけど、絶対ケーキは必要!ってことで、ブッシュドノエルと、ホールのケーキを2つ用意した(1番小さい奴だけど)


「あぁ、頼まれてたチキン、そこに置いておいた。」
「ありがとうございます!」


リヴァイさんにはチキンを頼んだ(ケーキ2つに七面鳥はさすがに無理!って思って、ケンタッキーのチキンにした)
いそいそと準備に取り掛かろうとした時、フッ、と、戸棚に目がいった。


「時計、」
「あ?」
「…新しいの、買ったんです、か?」
「は?時け、い…」


そこには、いかにも高そうな、私じゃ買えなそうな腕時計が置かれていた。




「(しまった…。日が経って、ファーランの忠告、すっかり忘れてた…)」




「…リヴァイさんに似合いそうですね。」
「え?あ、あぁ…。」


あぁ、なんだ…。
リヴァイさん、もう腕時計買ってたんだ…。
なんだ、なんだ。


「フィーナ、これは」


ピンポーン


リヴァイさんが何かを言いかけた時、玄関チャイムが鳴り響いた。


「チッ!誰だ、こんな時に、」


悪態をつきながら、リヴァイさんは玄関に向かった。
………これ、高そうだなぁ…。
てゆうか、絶対高い。と、思う…。
…そう、だよ、なぁ…。
リヴァイさんの歳を考えたら、こういう高い腕時計の方が、いいのかも、しれない…。


「だから要らねぇと言ってるだろう!」


私が悶々と考えていたら、リヴァイさんが突然、玄関先で大声を出した。
何事かと、コソコソと身を潜めながら、そちらを伺った。


「でもせっかく作ってきたし、」
「作ったのはお前の勝手だ。俺に押しつけるな。」
「けど明日誕生日でしょう?さすがに誕生日当日は日曜だし予定あるかも、って思って今日届けに来たの。どうせクリスマスなんて興味なかったでしょ?」
「…お前に祝ってもらわなくとも、祝ってくれる奴ならいる。」
「出来たんだ?彼女。」
「…」
「でもまた長続きしないんじゃない?私以上に続いたコ、いないじゃない。」
「要らん世話だ。」


…………漏れ聞こえる内容を聞く限り、今来てるのは、リヴァイさんの、元カノ、さん…?
え?なんで?
いや、リヴァイさんの誕生日を祝いたい、ってことなんだろうけど…なんで?
だって「元カノ」さん、てことは、別れたんじゃ、ない、の…?


「とにかく帰ってくれ。」
「…あぁ、来てるのか、今カノが。」


玄関、ということは、私がここまで履いてきたブーツが置かれているわけで…。
男の人の1人暮らしの部屋に、確かにあのブーツはおかしいわけで…。


「何、もしかしてクリスマスパーティーでもするの?」
「おい、お前本当にいい加減にしろ。」
「リヴァイがそんなこと、考えられない。リヴァイにそんなことさせるなんて、その子と絶対長続きしないよ。」
「テメェ、もう2度と来るんじゃねぇ。仮に今が続かなかろうが、お前にだけは戻ることはない。」
「何それ!もう電話してきても知らないからね!?」
「してねぇだろっ!適当なこと言うんじゃねぇ!とっとと出て行け!!」


バタン!と、玄関で扉が閉まる大きな音がした。


「…フィーナ、」
「あ、あ!チキン、温めますね!」
「………」


部屋に戻ってきたリヴァイさんが何かを口にしようとする前に、バタバタと動き出した。
…どうしよう、今すごく帰りたい…。
今日やっぱり泊まるって、言わなきゃ良かった…。
そんなことを考えながら、クリスマスイブの時間が流れていった。



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bkm

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