2000年後もラブソングを


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Devote breakfast to you


3


現在、


「…………」
「…………」


シャワーを浴びに行っているミカサ不在の部屋に、不機嫌さを隠そうともしないリヴァイさんと2人きり…。


「そ、んなに、怒らなくて、いいじゃない、です、か、」
「怒ってるんじゃない。お前の馬鹿さ加減に心底呆れているんだ。」
「…………」


そりゃあ、リヴァイさんの立場だったら、そうかもしれないけど、さ…。
でも私としてはやっぱり、例え中学生のいとことは言え、あんな綺麗な子(しかも中学生に見えないどころか私より色気を感じる…)家に泊めるなんて、ちょっと…、って、思うわけで…。
信用ないとかあるとかじゃなく、こう…うまく言えないけど、とにかく嫌だなぁ、と思うわけで。
けど、リヴァイさんにはそういうの、わからないのかなぁ……。


「でも、」
「あ゛!?」
「……………」


もう話す気力も失くすようなリヴァイさんの「あ?」に、ひっそり泣きそうになった。


「『でも』なんだ?」
「…どういう理由であれ、」
「あ?」
「リヴァイさんと朝まで一緒にいれるんだなぁ、って…。」
「……………」


リヴァイさんは、学生の私にすごく気を使ってくれている。
それはもうリコちゃんも驚くほどに。
だからなんというか…、どんなに盛り上がっても(と言う表現が正しいのかわからないけど)絶対にうちの門限を守ってくれる。
門限に間に合わない、なんて言うのは、だいたい遠出をして電車の乗り継ぎを失敗してしまった、とか、そんな時だけだ。
基本門限を破ることもなければ、泊まるだなんてもっての外。
1度、たまたまイザベルさんのお店で酔いつぶれてしまった私は、リヴァイさんに回収され、初めてリヴァイさんちにお泊り、と言うことを経験させてもらったわけだけど…。
でもあれは意識がなかった状況で、気がついたらそうなっていた、と言う状態だったわけで…。
こうやって「泊まります!」で泊まるなんて、本当に初めてのことで…。
そりゃあ、ミカサがいる、と言う前提はあるけど、私としてはやっぱりどこか、嬉しい部分があるわけで…。
でもどこか気恥ずかしくもあるような部分もあるわけで…。
それに対して何も言わないリヴァイさんをチラリ、と盗み見ると、


「…………」


右手で顔を覆って、大きなため息を吐いていた。


「あ、の?」
「もういい。少し黙ってろ。」
「……………」


右手で顔を覆っているわりに、その隙間から見える眉間にくっきりとシワが寄っているのがわかる。
………そんな苦悶の顔しなくても………。


「わ、たし、」
「…」
「か、えり、ま、しょう、か?」
「だから少し黙ってろ。」
「…でも、」
「お風呂どうも。」


リヴァイさんの苦悶の表情に、どうしようかと思っていたら、ミカサがシャワーを浴び終わり出てきた。
…ちなみに、自発的に家を飛び出して来ただけあって、ミカサは着替えをばっちり用意していた。


「お前はコレを着ろ。」


そう言ってリヴァイさんから、リヴァイさんの部屋着を手渡された。
………さらに帰りそびれてしまったけど………。
でも、部屋着を渡された、って、ことは、いて、いい、ん、だよ、ね…?
けどさっきのあの苦悶の表情は………。


「おい、俺も入るんだ。早く入れ。」
「あ、は、はい!」


うーん、と、悩んでいたらリヴァイさんに急かされ、流されるままシャワーを浴びに行った。




「フィーナ、さん?」
「あ?」
「今までのあなたが傍に置いていたタイプと本当に違う。」
「…」
「でも、……だから、安心しました。」
「あ゛?」
「どーでもよさそうな人と、どーでもいい様なつきあいしかできない人だと思ってたんで。」
「…」
「だけど、あの人はどう見ても、どーでもいいようなつきあいが出来る人には、見えない。」
「……」
「ようやくまともに人と関わる気になったのかと、安心しました。」
「…ガキが何言ってやがる。お前こそエレンと何があった?」
「……………」
「大方お前が過保護なほどつきまとって嫌がられたとかだろう?」
「あれは私のせいじゃない!あれは…エレンが勝手に1人で行こうとするから、」
「お前なぁ…。いい加減学習しろ。男は追われれば追われるほど逃げるもんなんだよ。」
「…………それはあなたがフィーナさんを追っていたってことですか?」
「俺のことはどうでもいい!いいか、エレンが来ようが来まいが明日帰れ。わかったな?」




「お風呂、空きました。」


リヴァイさんから借りた服は、やっぱり私には少し大きめで。
そこがどこか、照れくさいような気がした。


「あぁ、制服はそこらへんにかけとけ。」
「はい。」
「じゃあシャワー浴びてくる。」


私と入れ替わるように、リヴァイさんがシャワーを浴びに行った。
………と、言うことは、この空間にミカサと2人きりなわけで………。
どうしようかな、と思っていたら、


「どうぞ。」
「あ、は、はい。」


ミカサが自分が座っているソファの半分を指差してきたので、そこに座ることにした。


「フィーナ、さん、は、」
「はい?」


この子は中学生で、うっかり名前も呼び捨ててるけど、突然声をかけられ、思わず敬語で返していた。


「いくつ?です、か?」
「あ、わ、私は、17歳で、」
「…………」


年齢を聞いたミカサは黙り込んでしまった…。


「な、なに?」
「きっかけ、」
「え?」
「…あの人とつきあうきっかけ、というか、仲良くなったきっかけ、って、なんだったのか、聞いていいです、か?」


じー、と私を見てくるミカサ。
………い、居た堪れない………。


「き、っかけ、と、言う、か、」
「うん。」
「ち、ちょう、ど、私受験生で、」
「…中学生?」
「あ、うん。中3の受験生で、私の友達のお兄さんに家庭教師をお願いしてたんだけど、お兄さんのレポートか何かが重なってしばらく見れなくなるって時に、その時もう内定も決まって時間もあったリヴァイさんが代わりに家庭教師になってくれるってなって、」
「……あの人、」
「うん?」
「中学生に手出したの?」


ミカサがまるでリヴァイさんのように眉間にシワを寄せながらため息を吐いた。


「い、いや、それは違って、」


なんだかすごく誤解されたような気がするから慌てて否定しようとした時、ガチャ、とお風呂場のドアが開いて、髪を湿らせたリヴァイさんが出てきた。

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