2000年後もラブソングを


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Devote bathing suit to you


6


現在、浜に向けて黙々と泳ぐリヴァイさんの背にしがみついてる私。
…………なんだかすっごい、激動な1日な気がしてならない…。
リコちゃんに言われて海に来たのはいいけど、まるで合コンか何か的な集まりなんじゃないか、って思ったところから始まって、リヴァイさんにちょっとした罪悪感を感じて…。


「あ、の、」
「…あ?」


ぷはっ、と、息を吐いた後で短く答えたリヴァイさん。


「あ、へ、返事、しなくていいんで、」
「…」
「ち、ちょ、っと、独り言、言います、ね。」
「……」


私の言葉に、リヴァイさんの返事はなかった。


「今日、は、ほんとに、…黙ってて、すみませんでした…。」
「…」
「でも、私も、こういう感じの集まりだ、って、思ってて来たわけじゃなく、て、」
「……」
「リコちゃんが、こういうことに誘うって、珍しい、し、…イアンさんと、一緒に遊びたいんだろうな、って思ったから、うん、て、言ったけど…、」
「………」
「でも、本当に、こういう集まりだ、って、思ってたわけじゃなくて…、」


ちゃぷちゃぷ、と、揺れる波間を漂う中、真っ直ぐ前を見ているリヴァイさんの黒く綺麗な髪を見ながら話していた。


「本当に、嘘ついたわけでも、言わなかったわけでもなくて、」
「別に、」
「はい?」
「もうどうでもいいけどな。」
「ど、」


不意に口を開いたリヴァイさんは、そう言い捨てた。
……それ…、どうでもよくないじゃ、ないです、か…。


「それよりも、」
「はい?」


どうしようかと思っていたら、リヴァイさんがまた、話しかけてきた。
真っ直ぐ、浜辺を見据えながら…。


「お前は、俺を幸せにしてくれるんだろう?」


ざざー、っと、波音に乗ってリヴァイさんの声が聞こえてくる。


「…………」
「…なんだ、違うのか?」
「え?い、いや、ち、がわ、ない、です、けど、」
「ならば今度だけは大目に見てやる。」


そう言うリヴァイさんは、変わらず真っ直ぐと、浜辺を見据えていた。


「あ、の、」
「あ?」
「ず、図々しいかも、しれません、が、」
「なんだ?」
「リヴァイ、さん、は、私が幸せにするので、私は、リヴァイさんに幸せにして、もらいたいなぁ、とか、」
「……………」
「思ってしまったり、なんて、思うのです、が、」
「そうだな。そこはお前次第だ。」


スーっと波間をゆっくりと動く私たち。


「そ、そこは、頑張ります!」
「そうか、頑張れ。」
「はい!」


具体的に何をどう頑張るのかわからないけど、そう言った私は、有言実行、とでも言うかのように、ぎゅっ、と、さらにリヴァイさんに抱きついた。




「(ここ遠浅で、もう俺の足着いてんだが、まぁ…もうしばらく放っておくか…)」




「あーあー…」
「おい、そこダラけてないで手伝ってくれ。」
「だってモブリットさん!酷いと思いません?普段ぜんっぜん、女に興味ねぇ!って感じのクールなリヴァイさんが、よりにもよっていっちばん若い女子高生持ってったんですよ?」
「いや、あの2人は、」
「何もそこで手出さなくてもあんた困らないでしょ?って思いませんか?」
「あぁ、あの2人はいいのいいの!」
「ハンジさん。何がいいんです?」
「だってあの2人、正真正銘恋人同士だから!」
「…………は?恋人?えっ!?リヴァイさん女子高生とつきあってんですかっ!?」
「えっ!!?先輩彼女いるんですかぁ!!?」
「そうだよ。しかも女子高生どころか、リヴァイってばまだ中学生だったフィーナと」
「なにーーーーーっ!!!?中学生っ!!?中学生に手出したのかよっ!!!」
「やだ、先輩もしかしてロリコンッ!!?」
「多少背低くても、頭良い、顔も良い、仕事出来て金持ってて、欠点ねぇだろ、ってリヴァイさんにそんな致命的欠点があったとは…!!」
「ロリコンなら私が落とせるわけないじゃんっ!!」
「……………で?」
「うん?で?って何?モブリット。」
「…実際は『中学生だったフィーナちゃんと』なんなんです?」
「出会ったんだよ、って!」
「……………あんた、この騒動どーすんですか。今の一瞬でリヴァイさんロリコン上司決定ですよ?」
「私一っ言もそんなこと言ってないけど?日頃の行いかな?あははー!」




「お肉、持ってきました。」
「…ほとんどねぇじゃねぇか。」
「みんなが食べちゃった、って…。」
「アイツら…。」


なんとか浜辺に泳ぎ着いた私たちは、無事バーベキューにありつけた。


後日
「つきあうことになったの!?」


リコちゃんが珍しくカフェ行こうって誘ってきて(私から誘うことが多い)行ってみたら、唐突にイアンさんとおつきあいする宣言を出された。


「ま、まぁ、向こうが必死だったし?つきあってやってもいいかなぁ、って。」


どこか赤い顔しながもそう言うリコちゃんは、本当に典型的なツンデレさんだと思う。


「で、でも、バーベキュー行った日にコクられたのに、昨日やっと返事したの?」
「馬鹿だな、お前!そういうのは最初が肝心で、適度に焦らすことが必要だろう!」


私から見たら、リコちゃんは明らかにイアンさんを気に入っていた、ひょっとしたら、好きだったはず。
なのに即答しなかったのは、私にはわからないリコちゃんの理論があるかららしい…。


「で、でも良かったね!」
「…どーも。」
「じゃあ今度ダブルデートとか」
「絶対嫌。」
「…リコちゃん…」
「お前ダブルデートの意味わかるのか?お前だけならまだしも、あのチビもいるとか絶対嫌!」


…でもそれだど私、デートするカップルに無理矢理くっついていくすっごい寂しい人にならない…?
私の思いなんて知ろうともせず、ダブルデートはとにかく駄目!とリコちゃんに宣言されその日は家路についた。




さらに後日
「おい、ハンジ。」
「んー?なんだい、リヴァイ?」
「………最近、俺に対する部下の態度が変わってきた気がするんだがお前何か知ってるか?」
「へ?部下?んーん、知らなーい。何?何か問題?」
「いや…、業務に支障はない。…ただ、どことなく壁を感じる…。」
「あぁ!お互い下を束ねるようになるとそういうことに遭遇して大変だよねぇ!」
「まぁ、仕事が滞らなければ問題ないがな。」
「そ?もっと酷くなったら相談乗るからいつでも言って。」
「あぁ。じゃあ俺はコレを上に持って行く。」
「はいはーい!」
「(……リヴァイさん、行っちゃったけど、そもそもハンジさんが原因だろ、と、言わない方が得策だよな…)」

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