2000年後もラブソングを


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Devote bathing suit to you


5


「ねぇねぇ、バナナボート乗らない!?」
「俺は乗らん。」


ハンジさんのお誘いにあっさり却下したリヴァイさん。


「えー?つまんないなぁ!フィーナは!?どうする!?」


水上バイクをこんな近くで見たこともなければ、バナナボートに乗ったことのない私は、実はすっごい乗ってみたい、とか。
思ってしまったわけだけど、リヴァイさんの手前、乗りたいです!とは言えないような気がして、どうしようかと悩んでいたら、


「乗ったことある?」


ハンジさんが話しかけてきた。


「な、ないです。」
「興味ない?乗ってみたいと思わない!?」
「…ちょっと、だけ、」
「でしょ!?はい、決まりー!!」
「おい、ハンジ!」
「フィーナが乗るならあなたも乗るよね?準備してくるー!」


あ!っという間に結論づけて走り去っていったハンジさん。
…を、眉間にシワを寄せて見ているリヴァイさん。


「す、」
「あ?」
「す、みま、せん…。」


せっかくさっきまでのお怒りモードから身を持ち直しのに、また機嫌を悪くしてしまったんだろうかと、口から謝罪の言葉が溢れた。


「まぁ…、乗りてぇもんは仕方がない。」


リヴァイさんは大きくため息を吐いた。


「で、でも、」
「あ?」
「ハンジさん、水上バイクの免許持ってるって、すごいですね。」
「…何がすごいんだ?」
「え?」
「うちの社員なら半分は免許持ってるぞ。」
「…え!?」
「会長の趣味で2台、会社保有の水上バイクがあって、一定条件があるが社員なら誰でも借りることが出来る。」
「…そ、そう、なんです、か?」
「あぁ。」


…さすが、世界に名だたる大企業…。
会社保有の水上バイクだなんて、スケールが違う……。


「リヴァイさん、も?」
「うん?」
「持ってるんです、か?」
「あぁ。」
「そ、そう、なんです、ね…。」


そんなこと知らなかった、と、思いつつも、なんて言うか、一瞬で水上を走り抜けるバイクを運転しているリヴァイさんが脳内で再生され、やだ、それすっごく似合う、とか。
そんなこと思った。


「おーい!準備出来たよー!」


本人を目の前にして、ちょっとした妄想を繰り広げていた時、ハンジさんの陽気な声が響いた。


「フィーナ。」
「はい?」
「いいか、絶対落ちるな、手を離すな。」
「…そ、れは、まぁ、頑張ります、けど、」
「ハンジが運転中のバナナボートは、誰か落ちても戻ったことなどない。海に落ちたら自力で浜辺まで戻ることになる。」
「え!?」
「それが嫌ならしがみついてろ。」


それなんの罰ゲームですか?
なんて思いながらも、初バナナボートに乗った。


「…っ、」


そりゃあスピードあるなぁ、なんて思ったけど、でもなんとかなる速度で。
なんだリヴァイさんが脅すようなこと言うからどんなに猛スピードなのかって思ったけどこれなら、そう思った矢先に、


「じゃあそろそろ速度あげるよー!!!」


ハンジさんの声が波音と共に聞こえてきた。
直後、


「きっ、きゃぁぁぁぁぁっ!!!!」


いくら他に誰もいないからって何キロ出してるんですかっ!!?って速度を出し始めた水上バイク。
…に、見事振り落とされた…。




「おいっ、ハンジッ!!戻れっ!!フィーナが落ちたっ!!!」
「あははははーっ!!!」
「…クソがっ!!」




ザバーン、と落ちたせいで、少し鼻に水が入ったようで、海面に上がった時ツーンと、鼻の奥が独特の痛みを訴えていた。
ぷはっ!と、息を吐き出した後、冷静にハンジさんの運転するバイクを探すと、


「…ほんとに戻ってこないんだ…。」


波の向こうで小さく揺れていた…。
ここから自力で戻るのかと、ため息が出た時、


「フィーナ!」


波の狭間からリヴァイさんが現れた。


「リヴァイさん!リヴァイさんも落ちたんですか?」
「…落ちてやったんだ、お前が落ちたと言ってもハンジが戻らなかったからな。」


私の言葉に少しムッとした顔をしたリヴァイさん。
…そうか、わざと落ちたなら、申し訳ないこと、したなぁ…。


「お前泳ぎは?」
「…苦手ではないです、けど、得意ってわけでも…。」
「そうか。」
「ただ、ここから浜に戻れる体力はちょっと…。」
「………」


実際ここから浜までどのくらい距離があるかはわからないけど…。
泳ぎは苦手と言うわけじゃないし、一応、救命胴衣を着ているから浮いてはいるけど、パッと見た感じ、浜までたどり着ける自信が湧いてくるほど体力に自信がるわけでもなかった。


「わかった。お前は俺に掴まれ。俺が泳いで連れてってやる。」
「え?」
「俺が疲れたらそこから自力で泳げ。」
「で、でも、初めは私も泳いだ方が、」
「そうすると俺もバテてるかもしれないだろうが。」


ほら、早くしろ、と、私に背を向けたリヴァイさん。
…リヴァイさんの言うことは一理あるな、と、


「じ、じゃあ、」
「あぁ。」
「し、失礼、します。」


少し躊躇いながらも、リヴァイさんの背中に抱きついた。

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bkm

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