2000年後もラブソングを


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Devote bathing suit to you


4


「私の方がっ、リヴァイさんを幸せにしますっ!!」


そう言った私に対して、


「…………」


リヴァイさんは一瞬、驚いた顔でこちらを見たけど、


「…………」


またすぐ私から目を逸らし、ポリポリと、うなじを掻き始めた。


「……………」
「……………」


私の方を見ずに、自分のうなじを掻いているリヴァイさん。
そしてそのリヴァイさんのパーカーの裾を握り締め、リヴァイさんを見つめる私の間に、長く短い、沈黙が続いた。
その沈黙を破ったのは、


「お前、」


リヴァイさんだった。


「かき氷食うか?」
「……………はい?」


長いようで短い、一瞬のようで目眩を起こすほど続いた沈黙の後に聞こえたリヴァイさんの言葉に思わず声が裏返った。
その声に私を振り返ったリヴァイさんからはもう、眉間のシワは消えていた。


「かき氷だ。そこの浜茶屋に売ってる。食うか?」
「あ、は、あ…?」
「なら着いて来い。」
「え?ちっ、ちょっ、」


状況を理解出来てない私の生返事を肯定と受け取ったらしいリヴァイさんは、私の手を引っ張り、かき氷が売ってると言う浜茶屋へ向かった。
…………………なんでいきなりかき氷?
今の会話の流れのどこにかき氷?
え?この行動の意味がわからないのは、私が対人コミュケーションと言う能力が無いから…?
いやでもだって今さっきまで私たち喧嘩みたいな流れになってなかった…?
それのどこにかき氷なんて単語があった?
なんでなんでなんで。


「おいフィーナ。」
「は、はい?」


リヴァイさんに手を引かれながら、ぐるぐると考えていたら、立ち止まったリヴァイさんが私に声をかけてきた。


「好きな物を選べ。」
「え?」


いつの間にかついていた浜茶屋には昔ながらのかき氷機と、メロン、イチゴ、レモン、ブルーハワイ、と言うポップが垂れ下がっていた。


「リ、リヴァイ、さん、は?」
「俺はお前のをもらう。」


だから好きなの選べ、と言うリヴァイさん。
……………よくわからないけど、リヴァイさんの機嫌はなんとか持ち直すことに成功したみたいだ。
でなければ、私と同じかき氷をこの人が食べるわけがない。
とりあえずそれは良かったとして…。
リヴァイさんも食べるかき氷…。


「じ、じゃあレモンで、」
「レモン1つ。」
「はい、まいどー!」


私の言葉を聞いて、店員さんに注文したリヴァイさん。
…ほんとはブルーハワイの方が好きなんだけど、リヴァイさんの舌を真っ青にする勇気が今の状態では全く湧かず、無難にレモンにした。


「ほら。」
「あ、あり、が、とう、ございます…。」


出来上がったレモン味のかき氷をリヴァイさんから受け取った。


「あ、で、でも、リヴァイさん先、食べます、か?」
「………」


私の言葉に、まるで「あーん」とでも言うかのように口を開けたリヴァイさん。


「………」


それに一拍の間固まってしまったけど、なんとか持ち直した私は、そのままかき氷を乗せたストローをリヴァイさんの口に運んだ。


「お、美味しいです、か?」
「…頭痛ぇ。」
「…そ、れは、そうだと、思います…。」


パクッと一口で頬張ったリヴァイさんは、冷たさが頭に来たようで、トントン、と軽く頭を叩いていた。
その行動に、少し笑みが溢れた。


「お前も、」
「え?」
「口開けろ。」


私からストローを取り上げたリヴァイさんは、私が持っていたかき氷の山から器用にひと匙かき氷を掬い上げ、私の口元に持ってきた。
…………さっきから、普段のリヴァイさんからはちょっと、考えられない気がしなくもない行動をされてる気がするけど(しかも屋外で)こういうこと、滅多にない、し。
ちょっと、恥ずかしい気がするけど、軽く視線を外しながら口を開けた。


「………」


舌先に冷たい感触が広がった瞬間、口を閉じて、かき氷を一気に飲み込んだ。


「…………」


のが、間違いだったようで、さっきのリヴァイさん同様、頭をトントンと、叩くハメになってしまった…。


「何やってんだ、お前。」
「リ、ヴァイ、さんだって、人のこと、言えないじゃない、です、か。」
「…確かにな。」


そう言って、リヴァイさんが笑った。
直後、


「おっ、ふったっりさぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!!」


ざばーーーーん!!!と波を立てながら、水上バイクに乗ったハンジさんが近づいて来た。


「…………」
「…………」


ハンジさんが立てた波(およそ2メートルくらい)は、見事に私たちを飲み込み、手に持っていたレモン味のかき氷は、無残に塩味のレモン水と化した…。


「…おい、ハンジテメェ」
「これからバナナボート出すんだけど乗らなーい?」


リヴァイさんの言葉をまったく聞いていないハンジさんは、陽気にゴーグルを上げて言ってきた。

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bkm

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