2000年後もラブソングを


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Devote my heart to you


1


リヴァイさんと歩いていると、


「あっ!にっ!きーーーーっ!!!!」


後ろから声高らかにリヴァイさんの背中に飛びつくように抱きついてきた女の人が現れた…。


「………イザベルか。」
「兄貴、ちょーー久しぶりっ!!!全っ然、店来てくんねぇんだもん!!元気だった!!?」


イザベル、と呼ばれた女の人は、そのままリヴァイさんにおんぶするような格好のまま話始めた。


「まぁ、それなりにな。」
「なら店に顔出してくれよっ!!寂しいじゃんっ!!」


そしてそれを許容するかのように、そのままリヴァイさんも話始めた。
…………この人、………誰?


「イザベル。」
「なになに、兄貴!」
「離れろ。」
「なんだよ、それ!兄貴、久しぶりなのに冷たい!!」
「耳元で叫ぶな、煩ぇ。」


リヴァイさんの言葉も意に介さず、まるで猫か何かのようにリヴァイさんに抱きついて擦り寄ってるイザベルさん。
………………な、何…、この人………。
その時、隣にいた私に気がついたらしいイザベルさんは、


「なに、兄貴の『新しい女』?」


私の方を見ながら聞いてきた。


「だから離れろと言ってるだろうが!」
「ぎゃっ!?」


リヴァイさんに無理矢理引き剥がされ、地面に尻餅をついたイザベルさん。


「フィーナ、イザベルだ。昔少し助けてやったら妙に懐いて来やがった。」
「なんだよ、その迷惑そうな言い方!…俺はイザベル、よろしくな!」


イザベルさんは、言葉遣いが若干悪い気もしなくもない、けど、スタイルもよくて、ハキハキしている、…私とは明らかに真逆なタイプのお姉さんだった。


「は、はじめまして…!」


元々、人づき合い、と言うものが苦手な私は、すでに声を裏返しながら、なんとか挨拶をした。


「…ふぅ…ん…」


深々と頭を下げた私を、…………まるで値踏みするかのように、イザベルさんは見てきた。
…………………どうしよう、この人、すごく苦手なタイプかもしれない…!!
私のその思いに、リヴァイさんは気づいたのか、


「お前、仕事じゃないのか?」
「え?あっ!!やっべ、遅刻するっ!!」
「さっさと行け。」
「じゃあ兄貴!また来てくれよな!?」
「わかったわかった。」
「絶対だからなーーー!!!」


リヴァイさんは、イザベルさんをこの場から遠ざけるような一言を言い、それに反応したイザベルさんは仕事に向かった。


「…………」
「…………」


まるで一瞬の嵐のようだったイザベルさん。
その存在がいなくなった今、私たちの間に思い沈黙がのしかかってるわけで…。
どうしよう、どうしよう、と思っていたら、


「帰るぞ。」
「あ、は、はい。」


まるで何事もなかったかのように、リヴァイさんは再び歩き始めた…。
そしてその日はそのまま、イザベルさんのことが話題になることは、なかった…。


「は?女?」


翌日の学校で、お昼ご飯をリコちゃんと2人で食べている時。
今日はいつになく辛気臭い、とリコちゃんにバッサリ切り刻まれ、実はこういうことがありました、と打ち明けた。


「お、んな、の、人、は、女の、人、だけ、ど、…リヴァイさん、の、元カノさん、とか、では、ない、気が、する…けど…、」
「でもお前の目の間で抱きついた、と。」
「…………うん。」
「それを『当たり前かのように受け入れていた』と。」
「う、ん……。」
「しかもそれは、お前とは真逆なタイプの女。」
「……」
「それはアレだね。」
「うん?」
「別れ時。」
「…………………」


リコちゃんとリヴァイさんの仲からは、ごくごく普通の言葉なのだろうけど、今日の私には胸に鋭角な何かが刺さった気がした。


「て、言うのは冗談でさ。」
「…………」


あまりにも深く鋭角に何かが刺さった私に気がついたらしいリコちゃんは、リヴァイさんのことに関して珍しくフォローを入れようとしてくれた。


「あのチビは何も言ってないの?」
「…昔、」
「うん?」
「…助けてやったら懐かれた、って、言ってた、けど…。」
「昔ってどのくらい昔?」
「…わかんない…。」


結局、リヴァイさんとイザベルさんがどのくらい親しいのか、全くわからない。
そもそも、イザベルさんはなんでリヴァイさんを「兄貴」なんて、呼んでいるのかも、わからない。
それだけ慕っている、って、ことなんだろう、けど……。


「その人、」
「うん?」
「私のこと、」
「うん。」
「…リヴァイさんの『新しい女』?って、聞いてきたんだけど、」
「…」
「それって、やっぱり、その人に、元カノさん、とか、紹介してたのか、な…?」
「……」


それってつまり、私は偶然イザベルさんに会うまで、紹介してもらえなかった、って、わけで…………。


「……まぁ…、アイツなりになんか考えてんじゃないか?」


リコちゃんとリヴァイさんは仲が悪い。
………だからこそ、リコちゃんがリヴァイさんを庇う時と言うのはいつも、それだけ「まずい」と、リコちゃんが感じてる時だ、って、思う。


「何かって、何?」
「…そこは私もわからないけど…。」
「私、」
「うん?」
「…リヴァイさんが、あぁ言う人と仲良さそうにしてるとこ、初めて見た…。」
「………」


リヴァイさんはモテる。
と、ハンジさんは言っていた。
その話を聞くと、リヴァイさんに近づこうとするのは、イザベルさんのような、私と真逆なタイプの人で…。
どうも、元カノさんも、そういう人だったようで………。


「…………」


珍しくリヴァイさんを庇うような発言をしたリコちゃんは、椅子の上で体育座りをしだした私の頭を、何も言わず、撫で始めた。

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