2000年後もラブソングを


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Devote present to you


2


「じゃあ改めて、ここの店長を務める、」


リヴァイさん、なんで機嫌悪くなったんだろう、とか。
でも本人が「怒ってない」と言い張ってる以上聞けないしな、とか。
そんなこと悶々と考えていたら、あ!っという間にアルバイト初日を迎えた。
行く前からドキドキしていた私は、店長の自己紹介に緊張はピークに達していた。


「よ、よろ、しく、お願い、します…!」


自分でも、若干声が震えてるのがわかった。
店長に、私の教育係となる人を紹介してもらい、その人に着いて周り、その日は過ぎた。


「つ、かれ、た…。」


きっとどう贔屓目で見ても、疲れたのは私じゃなく、私の教育係となった人だと思うんだけど、とにかく私は「人生初アルバイト」と言うのに、すでに心も頭をテンパっていて帰宅後はドッと疲れが出た。


キンコン


お風呂にも入って、今日はもう寝よう、って思った時、Line通知が着た。
見るとリヴァイさんからで、たった一言


『どうだった?』


と、メッセージが着た。


『よくわからないまま、初日が終わりました。疲れだけがすごいです…』
『仕事なんてそんなもんだ。まぁ、頑張れ』


リヴァイさん、機嫌直ったのかなぁ…?なんて、そんなことを思いながらも、


『ありがとうございます。頑張ります。』


と、返し、その日は眠りについた。




「噂は本当だったのか。」
「…エルヴィン、てめぇ何しに来た?」
「いやなに、お前がらしくもなく、足繁く1人喫茶店に通っている『らしい』と言う話を聞いて、一体何があったのかと思ってな。あぁ、私にはコーヒー1つ。」
「かしこまりました。」
「おや、この席は向かいの本屋が良く見えるんだな。」
「…ハンジか?ファーランか?どっちだ?」
「なんのことだ?」
「とぼけてんじゃねぇよ。」
「まぁまぁ…。お前も随分と可愛い男になったともちきりだぞ。」
「………」
「可愛い年下の恋人の帰りが遅い時は、向かいの喫茶店で恋人のあがり時間まで暇つぶしをして家まで送ってやってるんだって?」
「その言い方はハンジだな?」
「さぁ、どうだろうな?」
「(あのクソメガネ明日ただじゃおかねぇ…)」




「す、すみません、お待たせしました…!」


週3日入れている本屋さんのアルバイトで、たまに21時まで、と言う日があり、そういう時はリヴァイさんが家まで送ってくれていた(普段は19時まで)


「別に俺も残業だからな。」


リヴァイさんはいつもそう言うけど、私のこと心配して送ってくれているらしかった(ハンジさん情報)


「少しは慣れたか?」
「は、はい。ほんの少し、です、が…。」
「そうか。」


アルバイトをすることで、何が1番嫌だって、リヴァイさんと会う時間がますます減ってしまう、と言うことだったわけだけど。
でもそれもこうやって解消されてるから、私としては何の問題もなくなっている。
…もっとも、リヴァイさんにとってはいい迷惑な話な気がしてならないけど…。


「あ、あの!」
「うん?」


並んで歩くリヴァイさんに声をかけた。


「も、もうすぐ、お給料出るんです…!」
「……だから?」
「だ、だから、どこか、行きませんか?」
「………あ?」


私の言葉に、リヴァイさんが短く答える。
…………今、おかしな誘い方、してしまったんだろう、か……?


「……………」
「……………」


眉間にシワを寄せ、私を見るリヴァイさんに、思わず目を逸らし、そのまま目を泳がせるように、辺りを見るとはなしに見ていた。


「お前まさか、」
「はい?」
「……………」


何か言いかけたリヴァイさんを不思議に思いチラッとリヴァイさんを見ると、


「……………」


苦々しい顔で、私から目を逸らし、空を睨みつけていた…。


「あ、の…?」
「………なんでもない。帰るぞ。」


そう言い歩き出すリヴァイさんに、頭にクエスチョンマークをつけながらついていった。




「…………………」
「今日はいつになく不機嫌だねー!なになに、何か問題?いいよ、私ならいつでも話を聞いてあげるから、さぁ!大船に乗ったつもりで言ってごらん!!」
「モブリット、ハンジを黙らせろ。」
「はいはい、あんたはこれでも飲んでちょっと静かにしててくださいねー。」
「ち、ちょっ、……ナニコレ!美味しいんだけど!モブリット、これどうしたの!?」
「あー、それ、うちの親が送ってきた茶です。」
「うん、美味しい、美味しい!」
「モブリット。…お前に聞きたいことがある。」
「はい?」
「お前、女と出かける時、金はどうしてる?」
「え?金?」
「割り勘か?奢りか?」
「あぁ…、まぁ…人にもよりますが、基本割り勘ですね。」
「え!?そうなの!?モブリット、私と出かける時はいっつもおごってくれるじゃない!!」
「そりゃ、あんたが財布持って来ないからでしょうが!それを割り勘にしたら下手したら俺まで無銭飲食で連れてかれるからでしょうっ!!いい加減財布持ち歩いてくださいよ!!」
「いやー、気持ちはあるんだけどね。モブリットが奢りたそうにしてるから、奢りやすいようにしてあげようかな、って言う優しさだよ!」
「……………で、リヴァイさんの話は、なんでしたっけ?」
「お前は女が割り勘や奢ろうとしている時、甘んじて受けるか?」
「え?俺ですか?」
「モブリットは受けるよ!!何せ今まで奢ってやってるお返しだ、とでも言わんばかりに私のボーナスを一晩で使い切る奴だからっ!!」
「それでも俺の方があんたを奢ってますよね!?………で、話戻しますけど、俺はそもそも『甘んじて受ける』とは思わないですから。」
「………」
「そういうのって、片方が金出してばっかいたり、奢られ慣れたりしてると、あんまりいい気しないもんじゃないですか?だからたまには奢ってもらう、奢らせてやる、ってのも大事だと思いますけど?」
「………」
「まぁ…、リヴァイさんとこは年の差があるから、それが適応されないかもしれないけど、でもリヴァイさんの彼女さん、そんなに話したわけじゃねぇけど、若い子にしてはそういうのキチッとしてる、っていうか、真面目、って言うか、そういうタイプじゃないですか?だからリヴァイさんがいつも払ってる、とか。そういうところ、気にしてそうなタイプに見えますけど?何も高い奴じゃなく、やっすいメシでも奢ってもらったらいいんじゃないですか?」
「ぷっ!女子高生捕まえて若い子、だって!モブリットもおっさんだねー!」
「…干物になりかけてるおばさんに言われたくないんですけどね…!!」
「(奢らせてやる、か…)」




初お給料出たら、リヴァイさんに何かプレゼントをしよう、とか、どこかのレストランに行って、とか。
そんな私の目論見が丸っと見透かされてるなんて知る由もなく、今からどうしよう、何しよう、なんてソワソワと考えていた。

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bkm

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