2000年後もラブソングを


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Devote my memories to you


6


「フィーナー、交替だよー!」
「あ、う、うん…。」


ハンネス先生が来たことで大いに店内が盛り上がった(か、どうかは謎だけど…)
ことで、あ!っと言う間に私の店番の時間は終わりを告げた。
店番が終わったことで、アリスの衣装とさよならすべく更衣室で着替えて荷物を置きに教室に戻って来てもまだ、リヴァイさんとお兄さんはハンネス先生に絡まれていた(先生もちゃっかりコーヒー飲んでた)
これ、私交ざらない方がいいよな…、なんて思っていたら、おいでおいで、と、お兄さんが手招きしてきた。


「お疲れ様。店番終わった?」
「あ、は、はい…。」


近くにあった椅子を引いて、私に座るよう無言で促すお兄さん。
それに対してチラッとリヴァイさんを見ると、ハンネス先生に絡まれすっかり(というより元々?)機嫌を悪くしてる様を隠そうともせず、ぶすっ、とした顔をしながら紅茶を飲んでいた(ハンネス先生が店番の子にもう1杯持ってこさせたらしい)


「…さっきも聞いたが、お前ら知り合いだったのか?」


お兄さんに促され席に着いた私に、ハンネス先生が聞いてきた。


「知、り合い、と、言えばまぁ…、」
「おい、お前ら本当に女子高生ナンパしに来たんじゃないだろうな?」


ハンネス先生が、リヴァイさんの顔を見ながら言った。


「誰がするか。」
「本当かぁ?お前、俺の生徒に手出したら、」
「自分の女、こんなところでわざわざナンパする馬鹿がどこにいる?」
「………は?」


リヴァイさんの言葉に、目が点てこういうことだろうな、と言う表情をハンネス先生はした。


「おい、リヴァイ今のどういう意味だ?」
「……………」


ハンネス先生のその問いに、リヴァイさんはもちろん答えない。


「おい、フィーナ、」
「………」


私に話を振られたけど、リヴァイさんが答えないのに私が答えられるわけがない。
すー、っと、ハンネス先生から視線を逸らし、少し顔が引きつるのを感じながら俯いた。


「…おい、ファーラン聞かせてくれ。」
「いや、たぶん聞かない方がいいんじゃないかと思うんだけどな。」


私のその態度を見たハンネス先生は、今度はお兄さんに話を振った。
それに対し、すかさずお兄さんは答えた。


「今のはつまり何か?コイツらつきあってるってことか?」


でもそれを全く聞いていないハンネス先生はお兄さんに問い続けた。


「そこは否定しない。」


短くそう答えたお兄さん。
………なん、か、ほんとに、顔をあげられなくなってしまった気がする……。


「…じゃあ何か?一端の社会人が17の女子高生に手出してるのか?お前一歩間違えば犯罪だぞ。」
「いや、そこはほら、」
「うるせぇなぁ…。お前には関係ねぇだろうが。」
「関係なくねぇだろ!?俺はコイツの担任だっ!おかしな誘惑する大人から生徒を守るのが俺の仕事だろうがっ!!だいたいお前いつ手出したんだっ!?」
「そこはもう、聞くと本当に後悔しかないと思うから聞かない方が良いんじゃねぇかな。」
「おい、ファーラン。誤解を生むようなこと言うんじゃねぇ。俺は『ちゃんと』卒業するまで待ったんだぞ。」
「…はっ!?卒業!?ちょっと待てじゃあ何か?お前中学生に手出したのかっ!?」
「今『誤解』を生んだのは俺のせいじゃねぇよな?自分でスイッチ押したよな?」
「おい、じゃあコイツが振ったせいで同じ教室で授業なんか受けたくねぇって泣き喚いてた奴らがダメだったのはそもそものコイツの性癖のせいなのかっ!?」
「お前みたいな汚いオヤジに性癖がどうこう言われる筋合いはない。」
「そんなツラと態度でロリコンだったってことよっ!!?しかもよりにもよって俺の生徒に手出しやがって!!在学中から手かかる奴だったが卒業してまで何やってやがるっ!!!」


ことの成り行きを見守ろうと、一歩引いたらどんどん話が進んで行って、口を挟むことが全く出来なくなっていた…。
…もう…帰りたい…。


「おい、フィーナ。こんな奴とつきあってみろ。お前の人生は台無しにされるぞ。お前の親御さんだってきっと悲しむ。」
「あ、いえ…、うちの両親はもう知っているので、」


私のその言葉に、


「はっ!?親公認!?嘘だろ!?」


ハンネス先生は心の底から驚いているようだった…。


「フィーナの父親からは『大企業に勤めていて、相応の収入があり、頭の回転も早い。容姿だって悪くない。引く手あまたの男』と評価された。」


鼻で笑いながらそういうリヴァイさん。


「…あれか。コネ入社のダリスコーポレーションのネームバリューか。」
「俺の実力だ。」
「くっそぉ!世の中間違ってやがる!!」


頭を抱え唸るハンネス先生に(珍しくわかりやすいくらい)勝ち誇ったような顔をしたリヴァイさん。
…リヴァイさん、すごく楽しそう。
表情はほとんど変わってないけど、それでも微妙に、微妙に楽しそうな顔に見える。


「で、でもハンネス先生、リヴァイさんの仕事先よく知ってましたね」


唸るハンネス先生にそう言葉を投げかけると、


「そりゃーお前、アレだけの問題児がどうなったか俺だって気になるだろ?だからコイツらのこと知ってそうな奴らからちょいちょい話聞いてたんだよ。そしたらなー、あの問題児ツートップが片やダリスの社員、片や医者の卵とか世の中舐めくさりやがって!」


ヘッ!とでも言い出しそうな口ぶりでハンネス先生は言った。


「問題児、問題児って、そりゃあ俺らは目立ってたかもしれないけど、そこまで問題視される素行じゃなかっただろ…。」


楽しそうにやり取りするリヴァイさんたち。
もしかしてそれは何年か前の日常風景だったわけで。
なんだか隙間風のようなものが胸に広がった気がした私に、お兄さんが呟くように言った言葉は、耳を掠めただけだった。


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