2000年後もラブソングを


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Devote my memories to you


7


「おい。」
「はい?」
「この間から何むくれてやがる。」


文化祭も無事終わって数日。
リヴァイさんの家でお家デートをしていた時のこと。
唐突にリヴァイさんがそう言ってきた。


「…べ、つに、むくれてなんか、」
「嘘をつくな。この前お前の学校に行った後からむくれてるじゃないか。」


いつものように紅茶が用意されてるテーブルを前に、ローソファの上で思わず体育座りをしてしまっていた。


「大方、ハンネスの言葉が引っかかってんだろ。」


的確に痛いところをつきながら、紅茶を飲むリヴァイさん。


「あの野郎の言うことなんざ信じるな。」


カチャリ、とティーカップを置く音が部屋に響く。
…信じるとか、信じるないとか…。
そう、いうことじゃ、ないんだけどな…。


「……」


なんて思いながらも、口には出来ない私に、


「…それでいつまでむくれてる気だ?」


リヴァイさんは、ツン、と私の頭を突いてきた。


「べ、つに、むくれてるんじゃなくて、」
「うん?」
「リヴァイさん、も、」
「ああ」
「高校生、だったんですね、」
「…あ゛?」


突拍子もなく口にした私の言葉に、リヴァイさんは一段と低い声を出した。


「…ハンネス先生の話、」


ポツリポツリと俯くように話す私を、リヴァイさんが怪訝そうな顔で見ているであろうことが、顔をあげなくてもわかった。


「信じるとか、信じないとかじゃなくて…、」
「じゃなくて?」
「上手く、言えないんですが…、リヴァイさんも高校生であの場所にいたんだなー、って。」
「はぁ?」


私の言葉に案の定、何言ってんだ?みたいな感情をたった一言で表したリヴァイさん。


「…もし、」
「うん?」
「もし、私とリヴァイさんが同い年だったら、どんな高校生活だったのかな、って…。」


リヴァイさんがモテたというのは、今さらな話で。
確かにちょっとだけ、そこも引っかかったけど…。
でもそれよりも、リコちゃんのお兄さんやハンネス先生と会話してるリヴァイさんがすごく自然で、どこか楽しそうにも見えて。
きっとリヴァイさんが高校生の頃もこんなだったんだろうなって思えた。


「リヴァイさんと同い年だったら、リヴァイさんの高校生活に私はいたのかな…?」


それはどんなに想像しても意味のないことだけど。
それでももし今、この場所に同じ目線のリヴァイさんがいたら、なんて。
リヴァイさんがかつてこの場所にいた頃に、もし私もいれたら、なんて。
そんなことを考え出したら、リヴァイさんとかつて、一緒に過ごしたであろう人たちに対して嫉妬とか以前に、ただただ、羨ましく思えた。


「いなかったんじゃないか?」


なんて思っていた私の言葉をリヴァイさんは見事に切り捨てた…。


「よく考えろ。俺とお前が同い年だったとして、まずお前の側にあのクソメガネがいる限り俺に近づかせないだろうし、俺もファーランといた以上、まぁ…なんだ…、もっとアイツが好きそうな女たちの方に行かされてただろうしな。」


首の後ろを掻きながらリヴァイさんは言う。
…確かに、それは一理あるかもしれない。


「友達にも、なってなかったですかね?」
「挨拶くらいはしたかもな。」


それはつまり、どんなに望んでも叶わない世界よりも、今が1番いいのだ、ということで。


「ただの顔見知りくらいだったかもしれませんね。」
「そういやコイツいたよな同い年に、ってレベルだったかもな。」


いるだろうそういう奴、と言いながら再びティーカップに手を伸ばしたリヴァイさん。


「今の年の差で良かったんですね?」


そう言った私に、


「俺の高校生活にはいなかったが、お前の高校生活にはいるんだからいいじゃねぇか。」


そう言って紅茶に口をつけたリヴァイさんを見て、ここ数日のモヤッとした感情が消えていくような、そんな気がした。


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bkm

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