2000年後もラブソングを


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Devote my memories to you


1


「文化祭?」
「はい!」


秋も深まり、芸術の秋に突入したこの頃。
うちの学校も例外ではなく文化祭と言うものが催される。


「今年は外部の人も呼んでいいって言われて、うちのクラス喫茶店するんですが、リヴァイさん来ませんか?」
「…文化祭…」


私がチケットを渡しながら言ったら、リヴァイさんはチケットをしげしげと眺め、呟くように言った。
リヴァイさんがこういうイベントに来るとは到底思えない。
…………のだけどまぁ、早い話が、このチケットを捌かなくてはいけない、と言うノルマ的何かがあるため、誘ってみることにした。
だってリコちゃんに、チケットがなかなか捌けない(そもそもあまり友達がいないから私…)って言ったら「あのチビにやればいいだろう」って言われて…。
ちょっと躊躇いはあったけど、リヴァイさんに文化祭に来ないかと言ってみた。


「お前は調理か?」
「あ、いえ…。じゃんけんで、負けてしまって、」
「うん?」
「当日、ウェイトレスすることになってしまって…。」
「…は?お前がウェイトレス?」


少し、声を裏返しながら聞いてきたリヴァイさん。
…私だってこれは聞き返したかった。
「は?私がウェイトレス?」って。
でもじゃんけんで正々堂々負けてしまったから文句も言えず、ウェイトレスになってしまったわけだ。
リヴァイさんはそのチケットにもう1度目をやった。


「いくらだ?」
「え?」
「このチケット、いくらだ?」
「い、いいですよ!来てもらうのに、」
「お前のことだ、どうせチケット裁けなくて自分で金出したんだろう?」
「…………」


チラッと私を見ながら言うリヴァイさんに、言葉が出てこなかった。
…だって、図星過ぎて……。


「ノルマは全部で何枚だ?」
「…1人、10枚で、」
「あと何枚残ってる?」
「…10枚、です。」
「……………」


リヴァイさんが大きなため息を吐いた。


「全部出せ。俺が捌いてやる。」
「え?で、でも、」
「お前よりも早く捌ける。出せ。」


片手を私の方に出しながら言うリヴァイさん。
………そりゃあまぁ、そうだろう、けど…(と言うか私はむしろ捌けないでいるし…)


「…………」
「…………」


チラッ、と、リヴァイさんを見ると、ほら出せ、とでも言うように、眉を少し動かした。


「…す、みま、せん…。」


リヴァイさんは短く、あぁ、とだけ言った。


「お前何時なら店にいる?」
「あ、はい。朝一からなんで9時半から11時までです。」
「そうか。」


リヴァイさんは財布にチケットをしまいながら頷いた。


「…私がいる時に来るんですか?」
「お前がいない時に行ってなんになる?」
「や、でも…、」


言葉を濁した私に、リヴァイさんは怪訝そうな顔をした。


「ち、ちょ、っと、」
「なんだ?」
「い、しょう、が、」
「衣装?店に出る時の服か?」
「はい。」
「何着るんだ?」
「クラスの、衣装係の子が、作ってくれる服なんです、が、」
「なんだ?」


リヴァイさんにチケットを売る、という事は、つまりこれも言わないといけない、と言う覚悟はあったわけで…。
すー、っと、息を吸い込んだ。


「ア、アリス、の、衣装を、イメージしたもので、」
「…アリス?」
「ほら、あるじゃないです、か。不思議の国の、」
「あぁ…。」
「あれが、こう…なんて言うか、」
「あ?」
「アリスのあの、ふわふわぁと、女の子ーって感じで、」
「…」
「そ、そもそもあの色、私、には、あんまり合わないかなぁ?って、衣装、なん、で、」
「……………」


リヴァイさんはそれに関して、返事をしなかった……。


「………あ、の?」
「……とにかく、お前がいる時間に行く。」


リヴァイさんは眉間にくっきりシワを寄せながら、そう言った。
……あの衣装、ほんとに私に似合わないから、なぁ…。
嫌だな、嫌だな、なんて、少しだけ思っていた。


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