2000年後もラブソングを


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Devote your life to me


5


フィーナが出て行ってからは、熱の怠さに逆らうことなく、何度となく目を閉じ開けてを繰り返していた。
だが、なかなか時間は経過しない。
…仕事じゃあんなに時間が足りねぇと思うのに、実は馬鹿みたいにあるじゃねぇか。
などと思いながら再び目を閉じた。


「………」


空腹に目が覚め、時計を見ると14時になろうとするところだった。
腹も減るはずだ。
今日は今のいままで、何も食ってねぇ…。
幾分楽になった体を起こし何か食い物をと、冷蔵庫の方へ向かった。
途中、テーブルにサンドイッチが置いてあるのに気がついた。
そこにはあの緑の奴が描かれ


「少しでいいんでちゃんと食べて、薬は必ず飲んでくださいね」


とメッセージが書かれたメモ用紙と、医者から貰った薬袋が置かれていた。
…食べてねぇし、薬も飲んでねぇ…。
なんてことがバレたらマズいよな、と思いながらサンドイッチの皿に手を伸ばした。


ガチャ


腹は満たされたが、寝飽きた俺としては何かすることねぇかとテレビを見始めたが、くだらねぇ情報番組しかやっておらず、自前のDVDを見ることにした。
話も中盤に向け盛り上がり、俺自身も見入始めた頃、玄関のドアが開く音がした。


「…あー!なんで寝てないんですかっ!」


音を立てないよう入ってきたフィーナはテレビの前に座っている俺を見て指差しながら言ってきた。


「さっきまで寝てたんだが、」
「嘘言わないでください!これもう映画の中盤じゃないですか!!」


珍しく怒り口調のフィーナに、強制的にDVDが消された。


「おい、この映画は、」
「ここからがおもしろいとか言わないでくださいよ?もう何度も見てますよね?」
「…」


漫画にでも描かれていそうなほど、例えるならプリプリとでも言うのか、そう怒っているフィーナにベッドに追いやられた。


「いいですか?今からご飯が出来るまでは寝てなきゃダメです!」
「いや俺は、」
「ご飯はちゃんと食べてもらいますからねっ!」
「………はい。」


いや俺はさっき朝兼昼ともすれば夕飯を食ったばかりなんだが、と言おうとしたがあっさりそれを遮られ釘を刺された。
そもそも反論する気力もなければ、する気も全くない俺は返事をしたわけだが、


「…」


それを聞いたフィーナは随分と満足そうな顔をして、うがい手洗いしてくると、洗面所に向かった。
…アイツ、意外と教育ママタイプかもしれねぇな…。
などと思いながら再びベッドに潜り込んだ。


「あ!目が覚めました?」


もう寝過ぎで寝れねぇだろ、と思っていたがベッドに入った直後に寝ていたらしい俺は部屋の中が電気の明かりで煌々と照らされるようになってから体を起こした。


「ご飯、食べれます?」
「…少し。」
「じゃあ準備しますね。」


寝過ぎで頭がボーッとするのか、まだ平熱とは程遠い熱で頭がボーッとするのか、わからん俺はフィーナに促されるまま座った。


「美味しいですか?」
「あぁ。」


良かった、と安心したように呟いたフィーナの声を聞きながら夕飯を口にした。


「後は?何かしてほしいこととか、しておいた方が良いことあったら言ってくださいね。」


食った物を片づけ終わったフィーナが、生姜茶を出しながら言ってきた。


「じゃあ、」


その一連の行動をボーッとする頭で見るとはなしに見ていた。


「膝枕。」
「え?」


テーブルに肘をつき頬杖していた俺は、声を裏返したフィーナに視線を投げると、目を見開いて驚いている顔が飛び込んできた。


「…なんだ?」
「え!?あ、い、いえ!…膝、枕、です、ね?ど、どうぞ…。」


そう言いながら、フィーナは自分の腿を軽く叩いた。
その言葉を聞いた後で、フィーナの腿に頭を乗せた。




「(熱があるリヴァイさん…、なんか…可愛い…)」




少なくともあと4日はこのままなのかと思いつつも、これはこれで悪くないと思いながら、病気が治るまでの非日常な今を思い目を閉じた。

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bkm

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