2000年後もラブソングを


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Devote music to you


1


リヴァイさんは、


「これ、おもしろいんですよ!」
「そうか。」


あまり笑わない。
と、言うか基本無表情な人だ。
全く笑わない、ってわけじゃないけど、声を出して笑う、と言うところをあまり見たことがない。
そこがクールでカッコいいと、同じ会社の女性社員にモテるらしい(ハンジさん情報)
クールでカッコいいのはいいんだけど、私としては笑い声も、たまには悲しい声も、いろんな声、聞きたいなぁ…、と、思うわけで…。
そんなこと思い始めていた時だった。


「お、いらっしゃい。」
「お邪魔します。」


リコちゃんのお家に遊びに来た時、リコちゃんのお兄さんと会った。
お兄さんは医学生で、お金かかるから、って、自宅から学校に通ってるらしい。
リコちゃんもそうだけど、頭の良い家系なんだろうなぁ、って思った。


「そうだ、フィーナちゃんコレ見る?」
「え?」
「俺の高校の時の卒業アルバム!」


お兄さんは笑いながらそう言った。
…お兄さんの卒業アルバム、と、言うことは、


「リヴァイもいるよ?」
「み、見たいです…!!」


リヴァイさんも写っている、と言うことだ。
リコちゃんが嫌そうな顔をしていたのは見ないことにして、お兄さんの卒業アルバムを見せてもらった(だってリヴァイさんは「そんな物ない」って言ったっきり話題にすら出してくれないから…)
1枚1枚、ページを捲ると、


「うっわ、兄さん若っ!!」
「俺は今でも若いっての!!」


今よりも、ちょっと(ちょっと、だと、思う)若い、と、言うか幼い?リヴァイさんが写っていた。


「あれ…?」


その中の1枚に、


「バンド、か、何か、してたんです、か…?」


文化祭か何かのイベントで演奏してる写真があった。


「あぁ、それ?そうそう、その時クラスの女の子に言いように言いくるめられてさ。俺がヴォーカル、アイツはベース。」
「まさに黒歴史。」
「…リコ、お前、本当にリヴァイのこと嫌いだよな…。」
「あぁ、嫌いだ。」
「…………」


どこか照れくさそうに笑いながら言うお兄さんに、もう1度、その写真を見た。


「知らなかった?」
「…ギター、弾くのは、知ってました、けど、でも下手だから、って、聞いたことない、し、」
「あぁ、うん。上手くはなかったな。」
「え?」
「アイツが上手いのは歌だろ!」
「え、でも、」
「でもヴォーカルってMCで話すだろ?」
「はい。」
「喋るくらいならこっちが良い、って、俺にヴォーカル押しつけたんだよ、アイツ。」
「…兄さん、そこまで歌上手くないよね?」
「だから本当に黒歴史だな…。」


ははっ、と苦笑いするお兄さん。
……………リヴァイさん、が、歌………。


「あれ?もしかしてそれも知らなかった?」
「……はい…。」
「じゃあ今度歌ってもらったら?」


ほんとに上手いから、って、お兄さんは言った。
リヴァイさんが、歌………。


「なんだ?ジロジロと。」


その数日後、リヴァイさんと会っている時、そんな話を思い出して、どんな歌うたうんだろう、って、思わずリヴァイさんを見ていたら、それに気づいた本人にツッコまれた…。


「…リヴァイさん、て、」
「なんだ?」
「どういう音楽、好きですか?」


いきなり「歌ってください」なんて言っても、絶対歌うような人じゃないって知ってる。
だからやんわりと攻めて行こうと、まず音楽と言う大まかなジャンルから、と聞いたものの、


「………」


スピーカーにセットされてるi-Podを指さされて終わった…。
……あぁ、うん、確かにあの中にはいろんな曲が入ってますよね。
そこから流れる曲をBGMにいろいろ私とお話してるじゃないですか。
だからそれくらいは知ってますよ。
知ってますけど、そこはせめて、自分の口から伝えよう、って言う努力、って言うかね……。


「洋楽、」
「あ?」
「好き、なんです、か?」


i-Podから流れてくる曲は、英詩のものが多かった(たまに英語以外のものもあるようだけど)


「まぁ、そうだな。」
「で、でも、」
「うん?」
「英語上手くないと、歌えなくて困りますよね。」


この流れで…!
と、意を決して言ったものの、


「別に歌わねぇから困らん。」
「………そう、です、ね………。」


バサァ!!と、切り捨てられたような気がした…。
この日から、この人に歌ってもらうことが、私の目下の目標になった…。

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bkm

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