2000年後もラブソングを


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Devote my heart to you++


4


なんで、気が重い(と思われる)空間までの時間て…、あっという間に過ぎて行くんだろうか…。


「…ハァ…」


すっごく久しぶりにリヴァイさんに会える。
しかもお家デート!
2人きりでまったり出来る!!
…の、はず、だけ、ど…。
朝からため息しか出てこない…。
15時でバイトあがったら、リヴァイさんちに行かなきゃで…。
そもそも「行かなきゃ」と言ってるあたり、私の気の重さを物語っているわけで…。
だってそんな改まって話がしたいとか言われても、考えられる話の内容なんて、あの日見た光景しか浮かばないわけで…。


「ハァ…」


それってつまり、別れ話な気がするわけで…。
そんなこと思ってる中で、浮かれて会いになんて、いけないと思うの。
なんて思っていたら、


「お疲れ様、でし、た…。」


あっという間にバイトが終わってしまった…。
本当に、すっごく久しぶりにリヴァイさんに会えると言うことが嫌なわけじゃない。
…の、だけ、ど。
いつもの倍近くの時間をかけてバイト先からリヴァイさんのマンションにたどり着いた事実は、変えられない何かがあった…。


「お、ひさ、し、ぶり、です…。」


チャイムを鳴らしてすぐに、カチャリ、と金属音が響いた後で、重たい扉の向こうから、すごく久しぶりにリヴァイさんが顔を覗かせた。


「あぁ、まぁ入れ。」
「…お、じゃま、します…。」


驚くわけでもなく、至って普通。
今まで通りの対応で、部屋に入ることを促して来たリヴァイさん。
…に、1人異常にキョドってたんじゃないか、って言う私。
あぁ、気が重い、気が重い、と思いながら、リヴァイさんの家の玄関ドアを閉めた。


「紅茶で良いよな?」
「は、はい。」


淹れるから座ってろ、と言うリヴァイさん。
…いつもは、お前が淹れた方が美味いとか言って自分で淹れないのに…。
なんかもう、なんかもう…なんて思いながらソファに腰を下ろした。


「…」


しばらくして、何も言わず私の前に紅茶の良い香りを漂わせたカップを置いてくれたリヴァイさんは、


「あ、りがとう、ござい、ます…。」


自分用のカップもテーブルに置き、私の隣に座った。


「お前、何してた?」


紅茶の入ったカップを片手にリヴァイさんが口を開いた。


「バ、イト…?」
「そうか。」
「…」
「…」


それに答えたら、答え方がまずかったのか、沈黙が訪れた…。
あぁ、どうしようどうしよう。
次に話しかけられたら別れ話かもしれない…!
だってよく考えてよ。
リヴァイさん、前に海に行った時とか?
女の人に腕組まれてすっごい迷惑そうにしていたのに、この間見た時は、腕組まれても嫌そうにしてる素振りもなく、むしろもう1軒行くぞ的に普通に歩いて去って行った、って言うか…。
後ろ姿だったから顔はわからなかったけど、髪が長くて、リヴァイさんよりも背の高いスラっとした、私とは全然違うタイプの人だった…。


「フィーナ。」


そんなことぐるぐるぐるぐると1人考えていた時、リヴァイさんが改まったように私の名前を呼んだ。


「一応、お前の意見を聞いておきたいんだが、」
「別れたくありませんっ!」
「…あ?」


リヴァイさんの前置きに、俯きながらもそう叫んでいた。


「嫌なところあったら言ってください…!と、とにかく、話し合いが大事だと思うんです!一旦、別れる別れないはおいて話し合いましょう…!」
「そうだな。それには同意だ。」
「そ、そうですよね…!」
「あぁ。それでお前、なんの話をしてる?」
「…え?」


そう言われて俯いていた顔をあげ、リヴァイさんの方を見ると、怪訝そうな顔しながら私を見ていた。


「『別れる』とは何だ?」


その表情は、本当に私の言っている意味が理解出来ない、と言っているようだった…。


「わ、かれ話じゃ、ないんです、か…?」
「…別れ話が良かったのか?」
「そんなことないですっ!」


たぶん今この空間を第三者が見たら、笑うんじゃないかな?
それくらい私とリヴァイさんは恋人としてのコミュニケーションの重要課題の1つ意思疎通が全く出来ず、お互いにクエスチョンマークが出ていたと思う。


「別れ話じゃ、ないんです、ね…。」


呟くように、自分自身に言い聞かせるようにそう言った。


「と、いうか、」
「はい?」


それに対して、


「お前、なんで別れ話だと思った?」


リヴァイさんがツッコミを入れた。


「なん、で、って、」
「なんでって?」


あの日見た光景を言わなきゃいけない、と言うことで…。


「フィーナ、」
「こ、この前…!」
「なんだ?」
「リヴァイさん、が、お、女の人と腕を組んでたところ、見たんです、がっ、」


スーッと息を吸い込んで、口を開いた。



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bkm

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