2000年後もラブソングを


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Devote my heart to you++


3


「ちょっと兄さん!」
「あ?どうした?」
「あのチビどういうことだよっ!!!」
「…リヴァイがフィーナちゃんになんかしでかしたのか?」
「しでかしたなんてもんじゃないよっ!仕事で忙しいから会えないとか言ってたくせにちゃっかり女と飲み歩いてるじゃないか!!」
「は?リヴァイが?」
「そう!!腕組んじゃって仲良さそうにっ!!」
「…リヴァイが?」
「だからそうだって!!忙しいのは仕事じゃなくて浮気がなんじゃないの!?」
「…いやー、お前それはねぇだろ。」
「なくないよ!実際見たんだしっ!!」
「いやでもアイツ、浮気するくらいなら別れる奴だぜ?それリコの見間違いだろ?」
「見間違いじゃないって!!フィーナも一緒に見たんだからっ!!」
「…フィーナちゃんも?」
「そうだよっ!!」
「それでフィーナちゃんどうしたんだよ?」
「どうしたもこうしたも、顔真っ青にして1人で考えたいって家に帰ってったよ!!」
「…それマズくねぇか?」
「だからあのチビ何やらかしてるのかって聞いてるんでしょ!!」
「…………あぁ、くそ!アイツ電話出ねぇな…。」
「そりゃああの時間にあんなとこ女と上機嫌に腕組んで歩いてたら今頃お楽しみ中で出れるわけないじゃん。」
「(これどう転んでもやべぇ気がする…)」




リヴァイさんの姿をすごく久しぶりに見た日。
リコちゃんに腕を引かれ、気がついたら家の前まで来ていた。
何をどう思ったのか…。
自分でもよくわからない。
ただ…。


『仕事、落ち着きましたか?』

『会いたいです。』

『あの人は、誰ですか?』


どうしても、送信ボタンを押す勇気は出ないでいた。


「フィーナー!次の数学当たるんだけど、やってきた?」
「あー、うん。一応…。」
「見せて?」


リコちゃんはあの夜以降、それに関して何にも言ってこない。
リヴァイさんを非難するようなことも一切言わない。
それが余計、事態の深刻さを物語っているような気がした。


「いらっしゃいませ。」


何をしていても。
…何をしてなくても。
時間と言うのは同じだけ人の上を巡りゆくもので…。
考えていたような、何も考えていないような日々は着実に1日、1日と過ぎて行き、学校とバイトの往復と言う単調な生活をただ繰り返していた。


「…どうしたの?今日…。」
「ナポリタンと迷ったんだけどねぇ…、フィーナ好きでしょう?カルボナーラ!」
「…好きだけど…、量多すぎない?」
「食べれる食べれる!ほら、座って!」


きっと私は今、何をしてもパッとしない、ちょっとおかしい状態なんじゃないかって思う。
だからママは私の好きな食べ物、いつもよりも多く、用意してくれたんじゃないかって思った。


「美味しい?」
「え?あ、うん。」
「フィーナ、」
「うん?」
「大丈夫よ。」
「…何が?」


夕飯を食べている時、ママが謎の言葉を残し、綺麗に微笑んだ。
その週の週末、


「お先に失礼します。」
「お疲れ様でしたー!」


バイト終了を見計らったかのように、


ピリリリリ


着信が鳴り響いた。
画面を見ると、ここしばらく見ることのなかった名前。


「リヴァイさん…」


リヴァイさんからの電話だった。


「………は、い?」
「…フィーナか?」


ドキドキしながら通話ボタンを押すと、少しだけ懐かしさも感じるくらい久しぶりに、大好きな人の声が耳に響いた。


「お、つ、かれ、さま、です…。」
「あぁ。」


ドキドキなのか…チクチクなのか…胸が疼いた。


「…………」


何を喋ればいいのか…。
何を聞けばいいのか…。
咄嗟に言葉が出てこない。
そんな私を見す越したかのように、


「フィーナ。」


リヴァイさんが口を開いた。


「お前週末暇か?」
「週末、です、か?」
「話がある。」


ドキン、と1つ、大きく心臓が音を立てた。


「は、話?」
「あぁ。会って話す。」


……それは直接会って話さなければいけないこと、ってことですか?


「時間はあるか?」
「……土曜、の、バイト、の、後、なら…。」
「何時に終わる?」
「え?えぇ、っと…、その日は朝から15時までで、」
「じゃあその後うちに来てくれ。」


いつも通りと言えばいつも通りなんだけど…。
淡々と話すリヴァイさんに泣きそうになってその日は電話を終えた。

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bkm

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