■2
「今時間大丈夫か?少し会えないか?」
突然のリヴァイさんの電話は何事かと思えば、そう言う内容の電話で…。
「だ、大丈夫です!」
「そうか。じゃあ駅の近くの、」
私の返事を聞いてリヴァイさんは待ち合わせ場所を告げ電話を終わらせた。
この頃の私たちの関係は、たぶん、微妙な関係だったと思う。
変な意味じゃなくて、何と言うか…家庭教師以上恋人未満と言う絶妙なバランスを保っていたんじゃないかなって思う。
恋人ではないけれど、とても信頼出来る、誰よりも好きな男の人。
それが当時の私のリヴァイさんに対する思いだ。
「先生!」
待ち合わせの公園に行くと、既にリヴァイさんが背もたれも何もないベンチに座っていた。
「お待たせしました…!」
リヴァイさんとは学校帰り、勉強を見てもらう、と言う関係だったからか、必然的に私が制服の時に会うことが多かったわけだけど、今日は合格発表のみで、早々に私服に着替えていて、それがどこか、気恥ずかしいような気もしていた。
「まぁ座れ。」
「はい!」
リヴァイさんが自分の隣を指差したので、頷きながらそこに腰を下ろした。
「…卒業と合格、おめでとう。」
そう言いながらリヴァイさんは何やら美味しそうな匂いを出していそうな箱を手渡してきた。
「ありがとうございます!開けていいですか?」
「…」
それに対しての言葉はなく、ただどうぞ、とでも言うようにジェスチャーをしたリヴァイさん。
その姿を見て、今受け取った箱を開けた。
「プリンアラモード!」
「俺は食ったことないが、この店のプリンアラモードは美味いと評判だ。」
「ありがとうございます!」
箱の中にはほんっとーーに!!!美味しそうなプリンアラモードが入っていた。
「先生も食べてみますか?」
「…くれるのか?」
「もちろんです!」
この時の私は、特に何も考えていなかったと思う。
目の前の美味しそうなプリンアラモードと、久しぶりに会うリヴァイさんに、テンションが上がってたんじゃないかなぁ、って今にして思う。
「先生、お先にどうぞ!」
現在、私、プリンアラモードの箱、リヴァイさんの並びでベンチにいて、取りやすいように、箱を広げてスプーンをリヴァイさん側に置いた。
それに対してリヴァイさんは、
「お前のために買って来たんだ。お前が食え。」
ぐるり、と箱を回して、スプーンが私側に来るように向きを変えた。
一瞬迷ったけど、リヴァイさんの言う通り、私の卒業&合格祝いに買ってきてくれたものだし…、と思って、スプーンを手に取った。
「いただきます。」
「…」
その言葉と同時にチラリとリヴァイさんを見たら無言で、どうぞ、と言う表情をしていた。
「…お、いしー!!」
そのプリンアラモードは、リヴァイさんが評判が良いと言うだけあって、本当に美味しかった。
片手にスプーン、片手は頬に添えて、そのプリンアラモードを堪能していた。
…時だった。
「っ!?」
私が手を添えていた頬とは違う方にリヴァイさんが触れた、と思った瞬間、
「…っ…」
「………甘…」
リヴァイさんがこれ以上ないほど接近していた…。
「不味くはないが、俺はもう少し甘さを抑えた方が好みだ。」
そして何事もなかったように今口にしたプリンアラモードについて淡々と話し始めた。
…この人今何した?
え?
私が食べてたプリンアラモード、横から奪い去ったよね?
1度口の中に入れたものを奪い去ったよね?
何あれ…舌…?
え?
舌で私の口の中のプリンアラモード奪い去ったの?
えっ!?
それってどういうことっ!?
「これだけ甘いと、苦味があるコーヒーが飲みたくなるな…。」
この時の私脳内は「!?!?!?!?!?!?」って感じだったと思う。
それに対していつもと全く変わることなく、リヴァイさんは飄々としていた。
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bkm