2000年後もラブソングを


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Devote my heart to you+


5


「フィーナ寝ちゃった?」
「あぁ。」
「じゃあもう帰っていいよ。」
「あ?」
「フィーナはうちに泊まらせるし。」
「…何ふざけたこと言ってやがる。」
「え?まさか私の家に泊まるつもりじゃないよね?初対面の私を蹴り飛ばそうとしてきた謝罪をまだ一っ言も聞いていないのに図々しくも泊まるつもりじゃあ、ないよね?」
「……………」
「しかも私、男と間違えられたんだよね。すっごい傷ついたんだけどそれに対しても謝罪がなかった気がする。」
「……………」
「で?フィーナ置いてさっさと帰ってくれるんだよね?」
「………悪かった。」
「あれ?自発的に謝ってくれるの?嬉しいなぁ!ゲストルームでいいよね?」



「はい、ここがゲストルームね、ごゆっくり。」
「…俺は、」
「うん?」
「『優しくて綺麗ですごく頼りになるお隣のお姉さん』と聞いていたが随分違うな。」
「そう?私も『すっごいカッコ良くて仕事もめちゃくちゃ出来る年上の恋人』って聞いてたけど、その違和感と大して変わらないでしょ。」
「……」
「トイレはこの部屋出たつきあたりね。じゃあおやすみー!」
「……………おい。」
「…」
「どこが『優しいお姉さん』だ。もっと的確に表現しろ。」
「すー…」
「…ハァ…」




「…う…ん…?」


翌朝目が覚めると、


「目が覚めたか?」
「あ…れ…?」


すっごく頭が痛かった…。


「随分と飲んだようだな。」


ため息と共に、リヴァイさんがそう言った。


「す、みま、せん…?」


そのリヴァイさんに、よくわからないまま、小さく謝罪をいれた。


「な、なん、か、いろいろ、すみま、せん…」


ここがナナバさんちで、リヴァイさんと2人ゲストルームに泊まったと言うことを聞いた私は、リヴァイさんとリビングに降り、そこにいたナナバさんに開口一番謝罪した(サービス業なゲルガーさんは週末はお仕事らしい)


「んーんー、いいのいいの!」


ナナバさんはそう言いながら爽やかに笑った。


「なに?頭痛いの?」
「は、い…、少し…。」
「飲みすぎだ馬鹿。」
「だね。二日酔いだ。」


ナナバさんとリヴァイさんが呆れたように、頭を押さえている私を見た。


「でもまさかフィーナが泣き上戸だとは思わなかったなぁ!」


朝食をとる気にもなれない私は温かいスープを頂いた(ゲルガーさんが出勤前に作ってくれたらしい)


「な、」
「あ?」
「うん?」
「な、いた、こと、覚えて、ま、せん…。」
「「…………」」


ズキズキと痛む頭をおさえながらそう口にしたら、リヴァイさんもナナバさんも少しの沈黙のあと、大きなため息を吐いた。


「おい、これでわかっただろう。2度とコイツに酒を飲ませるな。」
「んー…、そうだねぇ…。」
「少なくとも俺がいない時に飲ませるな。」
「男の嫉妬は醜いって昨日でわかったでしょ?」
「あ゛?」
「あぁ、ほら。冷めないうちに食べてよ。ゲルガーのご飯ほんと美味しいから。」


にこにこと笑っているナナバさんの隣で(きっと)青ざめた顔をしている私。
そして…、


「………」


眉間にくっきりとシワを刻んでいるリヴァイさんの3人で遅めの朝食を済ませた。


「おい、フィーナ。」


ナナバさんにお礼を言って、リヴァイさんに(隣だけど)うちまで送られた時、玄関前で呼び止められた。


「は、い?」
「これで懲りたと思うが、お前俺がいない場所で酒飲むんじゃねぇぞ。」


わかったな?と念を押すように言ったリヴァイさん。
…どうしよう、これで懲りた、って、一体どれに懲りたのか…。
強いて言うならこの頭痛はもう嫌だけど…。
なんて思いながら、痛む頭を抑え自室のベッドに横になった。


後日

「よー!来たな!まぁ飲んでけ飲んでけ!!」
「…おい、フィーナはどこだ?」
「アイツさー、お前の許可ねぇと飲まねぇとか言っちゃってもうそんなん酒の席で許されるわけねぇだろ?てことで、お前も呼んだんだから飲んでけって!」
「おいフィーナ!帰るぞ!!」
「まぁまぁ、ナナバー!リヴァイの分のグラス持ってこーい!」
「はいはーい!」


(何故か)すっかり気に入ってしまったらしいナナバさんゲルガーさんにたびたび呼び出され宅飲みに強制参加させられるリヴァイさんの姿を見て、申し訳ないとも思いつつも、どこか嬉しい自分がいた。



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bkm

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