2000年後もラブソングを


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Devote my heart to you+


3


「どうした?」
「あそびなんかじゃっ、ないですよね!?」
「………あ゛?」


本当に、お酒の勢いって怖いなぁ、と、後々身にしみるわけだけど、この時の私はそんなこと考える余裕なんて欠片もなかったわけで…。
先ほどのゲルガーさんの言葉と、機械越しに聞こえるリヴァイさんの怒り混じりな声に、ひたすら動揺していた。


「なんの話だ?」
「だって、あそびだってっ、」
「お前もしかして、」
「…」
「酒飲んでるのか?」
「…ぐすっ…」


リヴァイさんは、以前私の酔った姿を見て「お前は泣き上戸だ」と言った(自分で自覚なし)
だからなのか、泣きながら突然意味不明な内容を口走る私をイコール酔っ払いと結びつけたようだ。


「おい、リコに替われ。」
「え?りこちゃん?いないです、けど?」
「リコがいない?」


なんでいきなりリコちゃんの名前が出て来たのか、脳内クエスチョンマークになってる私に、リヴァイさんは続けた。


「お前今誰といる?」
「いま?…げるがーさん?」
「あ゛?」


ちょうどこの時、キッチンに次の飲み物を取りに行ってて不在なナナバさんの名前は酔っ払っている私の脳内には反映されず「今」一緒にいるゲルガーさんの名前だけを出した。


「テメェ、今どこにいる?」
「…げるがー、さん、の、おうちです、が?」
「…………」
「ひっく…」


きっとお酒が入っていなかったら、いまのこの一言で、リヴァイさんの機嫌が急速に斜めに傾いていってるって気づいたと思う。
…ん、だけ、ど。
すっかりふわふわ(どころかぐるぐる)と酔いが回っている私は全く気づかなかった。


「おい。」
「ひっく…はい?」
「いいか?そこにいろ。一歩も動くんじゃねぇ。」
「え?」


リヴァイさんはそう言い終わると電話を切った。


「お?終わったのか?どうだった?」
「…う、ごくな、って、いわれた…?」
「へぇ!じゃあ来んじゃね?おーい、ナナバー!フィーナの男が来るみてぇだから飲み物用意してくれー。」
「は?フィーナの彼氏?何しに?」
「俺たちに挨拶に来るんじゃねぇか?意外と心配することなさそうな奴かもな?」


あははー、と笑ながら、じゃあ来る前にもう一杯乾杯だ、と、ゲルガーさんは私に止めの一杯を注いだ。




「あ、誰か来た。噂のフィーナの彼氏かな?……はーい、はいはい。どちらさまー?」
「…テメェがゲルガーか?」
「(フィーナまさかのチビ専?)あぁ、ゲルガーな、っと!?」
「テメェ、何未成年に酒飲ませてやがる?」
「…初対面の人間、蹴りとばそうとするとか感心しないね、おチビちゃん。」
「ヘラヘラ笑いながら近づいて来んな、気色悪ぃ。フィーナはどこだ?」
「…君が信用出来る人間かわからないから教えないしここは私の家だからそれ以上入ってくると警察呼ぶよ?」
「だったらテメェ殴り飛ばして連れて帰るまでだな。」



「ななばさん、おてあらい、」


チャイムの音と共に玄関に消えたナナバさんの後を追うかのように、ふわふわっとした足取りのまま廊下に出た。


「りばいさん!」
「………」


ら、眉間に皺を寄せて、きっと普段だったらなんで機嫌悪いんだろう?とハラハラするような表情をしているりばいさんに駆け寄った。


「りばいさん、ななばさんですよー」
「…コイツ『ゲルガー』じゃねぇのか?…誰だお前。」
「だからナナバだって。」
「すっごく、たよりになる、おとなりのおねえさんです、」
「…は?テメェ女か?」
「おーい、ナナバー!買ってたチーズが、」
「あ!りばいさん、このひとがげるがーさんです」
「…………」


リヴァイさんの腕に抱きつきながら、ゲルガーさんをリヴァイさんに紹介したら、リヴァイさんが無言でゲルガーさんを見据えた。
…と、思ったら、


「…ハァ…」


大きなため息を吐いた。


「なんだなんだ?どうかしたのか?お、コイツがフィーナの男か?」
「どーしたもこうしたも、思いっきりあんたと勘違いされて喧嘩売られたんだけど。」
「は?なんで?」
「おい、帰るぞ。」


ゲルガーさんとナナバさんのやり取りを丸っと無視してリヴァイさんが私の腕を掴んできた。


「おいおい、お前せっかく来たんだからまぁ寄ってけって!」
「断る。」
「あ、フィーナお手洗いって言ってたよね?使って使って!」
「おい!自分ち帰ってから行けっ!」
「まぁまぁ、彼女のトイレくらい待ってやれって!で、その間一杯どうだ?ただ酒いいだろう?」


ナナバさんに腕を引かれトイレに連れて行かれる瞬間、振り返った先、玄関ではゲルガーさんに絡まれたリヴァイさんがすっごい嫌そうな顔をしていた。



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bkm

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