2000年後もラブソングを


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Devote lingerie to you


3


「…………」
「…………」
「…………」
「だからお前、呼び出したのなら何か喋れよ…。」
「ファーラン。」
「なんだ?」
「お前、本当に浮気してると思うか?」
「あぁ、この前の話か?…この前はあぁ言ったけど、あの子の性格じゃ浮気する前に別れんじゃねぇの?」
「………」
「けどまぁ、お前が怖くて別れ話を切り出せない、って可能性はなくはねぇよな?」
「…あ゛!?」
「だからそれが怖ぇんじゃねぇか?あの子、リコよりもずっと大人しそうな子だし。」
「あのクソメガネと一緒にするな。」
「何度も言うが、そのクソメガネは俺の妹だからな?リコがフィーナちゃんをうちに連れて来なきゃ、たまたまうちに来てたお前がフィーナちゃんと出会うことすらなかったんだからもっと感謝しろよ。」
「……そこはまぁ、な…。」
「だいたい、まだ女子高生で下着の趣味だって変わるだろ?考えすぎってことも十分に有り得るだろうが。」
「………気のせいじゃないと思うんだが、」
「うん?」
「らしくないど派手な下着をつけてる時に限って、抵抗しやがる。」
「…………」
「…………」
「…まぁ、あれだ。」
「なんだ?」
「反抗期。」
「テメェふざけてんのか?」
「お前、浮気って言ってほしいのか?」
「………………」
「どーすんだよ?放っておく」
「わけねぇだろ。」
「だよなぁ…。」




リコちゃんと買った2セットの下着を両方リヴァイさんに見せる機会があったけど、リヴァイさんは至って普通で、なんだ、こんなものなのかなぁ、って。
私が初めてリコちゃんのちょっと大人っぽい下着を見た時、色気と言うものを感じたけど、それは私に変換されると適応されないようで…。
こんなものなんだろう、なぁ……。


「…んっ…あっ、」


そんな思いが頭にあったからなのか、いつからかそういう下着を着けていても、普通(よりはまだ少し恥ずかしいけど)になってしまい、リヴァイさんとそういうことになっていくことに、慣れ始めていた気がする。
だからその日も、黒い下着を着けていたけど、なんだか少し「いつものこと」として過ごしていた。


「…………」


情事の終わりはいつも体が気だるい。
体中が熱を帯びていたこともあり、その時も少し、ぼーっとしていた。


「おい。」


そんな私に、リヴァイさんが声をかけてきた。
少しぼーっとする体でベッドに横になっていた私に対して、リヴァイさんはズボンをきちっと履いた、半裸の状態でベッドの脇に仁王立ちしていた。


「お前に聞きたいことがある。」
「はい?」
「なんだこれは?」


これ、と言いながら、リヴァイさんの右手人差し指に引っ掛けられるようにぶら下がっていたのは、他の何物でもなく、


「…下着、です、が?」


私がさっきまで着けていた黒の下着だった。


「馬鹿かお前。そんなの見ればわかる。」


眉間にシワを寄せながらリヴァイさんは私を見下ろしてきた。
…え?さっき、まで、普通だったのに、なんで機嫌悪くなってるの?
クエスチョンマークいっぱいな頭で、とりあえずベッドから体を起こした。


「あ、の?」
「人が黙ってりゃ、らしくもねぇ下着着けやがって。」
「え、」
「お前は風俗嬢にでもなるつもりか?」
「…………」


その言葉を聞いた一拍後、リヴァイさんの指に引っ掛けられてた私の下着を奪い取った。


「…………」
「…………」


奪い取った下着をつけて、近くにあったキャミソールを着てベッドから立ち上がった。
その間ベッドの側で仁王立ちになり私を睨むように見ていたリヴァイさんが、他の服も着て出ていこうとする私の腕を掴んだ。


「おい、まだ話の」
「離してっ!」
「あ゛!?っ、」


リヴァイさんの腕を振り払った直後、自分でも歯止めが効かないくらい、一気に叫んでいた。


「もうこんな下着着ませんっ!!」
「…」
「私なんかでもちょっとは魅力的になるんじゃないかって思って買ったけどそんなこと言われるなら買わなきゃ良かったっ!!」
「……」
「買うのもつけるのも、すごく勇気が必要だったのにっ!!」
「………」
「それでもリヴァイさんに少しでも魅力的に見てもらえるかもって思ったのにっ!!」
「…………」
「そんなこと言われるくらいならもうこんな下着いらなっ」


リヴァイさんはそこまで言った私の腕を引き寄せ、抱きしめてきた。


「……悪かった……。」
「離してっ!」
「そういうつもりじゃなかった。」
「…っ、」
「だから泣くな。」
「…ひっく…」


リヴァイさんから顔を背けて俯いている私を、両手でしっかり抱きしめていた。


「…………」
「…ぐすっ…」


それからどのくらいの時間が経ったのかわからないけど、私が落ち着くまでの間、リヴァイさんはずっと抱きしめてくれていた。


「…女が下着の趣味を変えるのは、」


私のすすり泣く声しか聞こえない中、フッ、と、リヴァイさんが口を開いた。


「新しい男が出来たからだ。」
「…え?」
「と、ファーランに言われた。」


ファーラン、と言うのは、リコちゃんの少し年の離れたお兄さんで、リヴァイさんと中学の時からの友達と言う人。


「全部がそうとは限らんが、」
「…」
「否定も出来ないもんだと思っている。」


リヴァイさんの方を見ると、すっごくバツの悪そうな顔をして私から目を逸していた。


「だから、まぁ…、なんだ…、」


徐々に語尾を濁すように言うリヴァイさん。
つまりこの人は、私が浮気した、って思っていた、ってことで…。


「私、」
「…」
「見られたく、ないです、よ?リヴァイさん、以外、に…、下着…。」
「あぁ、わかってる。……いや、…悪かった…。」


そう言って、リヴァイさんはもう1度、きつく私を抱きしめ、私の頭部に唇を落とした。

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bkm

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