キミのおこした奇跡side S


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謎の壁と黒ラブ事件


嫌われたくない


「…行ったぞ、ロビン」
「あ、ありがと…」


驚いた。
マジですっげぇ驚いた。
いきなり後ろから抱きつかれるとは思いもしなかった。


「オメー犬嫌いなら先に言えよ。今回犬は重要な鍵になんだから!」
「い、犬が嫌いなんじゃないよ!ああいう大きい犬が嫌いなだけ!」
「…だから嫌いなんじゃねーか」


まだ少し涙目でパニック気味のあおい。
べ、別に知っててやったわけじゃねーし?
抱きついてきたのはコイツだし、…次からは、そういうところ避ければいいだけだよな?うん。
まだ少し熱い気がする背中を深呼吸して誤魔化し、秋元さんの待つ壁の表側に戻った。


「あおいそっち、穴や隙間がねーか調べろ」
「う、うん」


壁の裏側にいたとしても、穴や隙間があればもしくは…。


「ないよ、工藤くん」
「…そっちも、か」


どこにも穴はないし、隙間もない。
やっぱり見えるはずがない。
なのにどうして…。


「工藤くん、もう学校に戻らないと3時間目が始まっちゃうよ?」
「いっそのこと3時間目も」
「この件は宿題にします」
「戻るんだ…」
「明日、また同じ時間に」
「いやぁ…。申し訳ないがこれ以上会社を抜け出すわけにはいかないんだ。ただでさえ警察の事情聴取を受けたことを上司に知れて立場が悪くなってるんでね」
「…じゃあ僕が調べます」
「え?」
「僕にも探偵としての意地がありますから」


会社に戻る秋元さんを見送って、俺たちも公園を後にした。


「ねぇねぇ、工藤くん」
「あん?」
「蘭が言ったこと、ほんとだったらどうする?」
「…はあ?」
「ほんとに秋元さん透視能力あったりして…」


ああ、これでこそあおいって感じなんだけどな。
蘭といい、コイツといい、どーしてこうも非現実的なことを信じんのかねぇ!


「あるわけねーだろ、そんなの!」
「いや、でもさぁ…」
「明日!」
「え?」
「また抜けるからな!」
「…2時間目?」
「おー」
「…化学、か」
「来ねーのか?」
「行く!」


へらっと笑って快諾するあおいを連れて学校に戻った。
ら、右側からすっげぇ視線を感じて向くと蘭が今にも回し蹴りしてきそうな勢いで睨んでた。
ふん!と蘭が顔を逸らした直後、ケータイが震えた。


from:蘭
sub :無題
本文:あおい巻き込むんじゃないわよっ!新一のバカッ!!


バカとはなんだ、バカとは!
だいたい俺は別に巻き込んだわけじゃなくてだなぁ!


to :蘭
sub :RE>
本文:アイツが自分から来るって言ったんだよっ!!


from:蘭
sub :無題
本文:嫌われても知らないんだから!この推理オタクッ!!


き、嫌われるだと!?
何言ってんだよっ!
確かに誘ったのは俺だけどアイツが自分でついて来るって


−嫌われても知らないんだから!この推理オタクッ!!−


…いやでもそんなことっ!
べ、別に嫌われるようなことなんてっ


−犬が嫌いなんじゃないよ!ああいう大きい犬が嫌いなだけ!−


…。
明日、俺1人で行こうかな…。
あおいがいてもどうにかなるわけでもねーし…。


「え?やっぱり1人で行く?」
「おー」
「なんで?今日私邪魔した?」


邪魔どころか抱きつかれて嬉しかったし、それまで以上にヤル気が出た。
とは、言えるわけねぇよな…。


「蘭が、」
「え?」
「…蘭がオメー巻き込むなって言うから、さ、」
「…蘭が………そっか、そうだね!わかった、頑張ってね!」
「…おー」


そんな流れで、明日は依頼者秋元さんも、あおいもいない中1人調査。
…ま、本格的に探偵になったら1人で調査なんて当たり前だし?
今は目の前にある事実を、少しずつ組み立てていこうじゃねーか。

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bkm

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