キミのおこした奇跡side S


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call your name. it can't be helped!


call your name. it can't be helped!


蘭は蘭。
園子は園子。
じゃあ、芳賀は?
…恐らく答えはこの間クラスメートが言ってたこと。
でもじゃあなんでアイツは名前で呼ばれることに拘ってんだ?
あの女のことだ。
なんか裏があるに違いねぇ。
でもその「裏」がなんなのかわっかんねーんだよなぁ…。
アイツしょうもないことに必死になるっつーか…。
まぁ要するにバカってことなんだけどな。
それとも俺が名前を呼べば、なんかわかんのか?


「蘭は蘭です」


またそれかよ!
ほんと懲りねーよな…。


「園子は園子でオメーはオメーだろ?」
「…工藤くん」
「あー?」
「人の話は最後まで聞きなさいって通信簿に書かれたでしょ!」
「書かれてねーよっ!」


なんだその頭の悪い小学生の通信簿に書かれてそうな言葉は!


「うまくいかない…」
「はぁ?」


かなり盛大に芳賀がため息吐いて、肩を落としていた。


−名前で呼んでほしいってことだろ?−


その裏に何が隠されてる…。
いや、でもコイツ単純だから何も隠されてねー可能性もあるよな。
じゃあなんだ?
ほんとに名前を呼んでほしいだけ?
…ねぇな、芳賀に限って。
それでないならなんだ?
蘭は名前で呼ぶのに、自分は苗字で疎外感がある、とか。
なんか女ってそういうくっだらねーこと考えてそうだよな…。
ああ、でもコイツはそこら辺の女とは違うか。
…いや、でも寂しがり屋なところあるしあながち否定できねぇよな…。
自分だけ仲間外れ、とか…。
気にしてたり?
…まぁ、言ったところで減るもんじゃねぇしなぁ。


「蘭は蘭。園子は園子。あおいはあおい、って、ことだろ?」
「…え?」
「だから、蘭は蘭、園子は園子、あおいはあおい。ってことじゃねーのかよ?」


目飛び出るぞ、ってくらいビビった顔した。
と、思ったら、


「おしいっ!みなみちゃんに言われたいわけじゃないんだっ!!」
「…はぁ?」
「ああ!でもせっかく言ってもらえたのに、そんな時に限ってなんでみなみちゃん!」
「…だから誰だよ、みなみちゃん」
「どうせならもっと引っ張ってほしかったかも!!」
「…俺さぁ、」
「なに!?」
「たまにオメーの日本語の意味が全く理解できなくなるのはなんでだろうな?」
「…さぁ?なんでだろうね?」


いや、俺が聞きてぇ。
じゃあつまり?
俺は「みなみちゃん」じゃない時にあおいって言えって?
なんだよその「みなみちゃん」
誰のことかさっぱりわかんねー。


「まぁなんでもいーけど俺腹減ったから帰るぞ」
「あんまりよくないんだけど、でもいいってことにしてあげるよ!」
「そりゃどーも」


まぁ俺がホームズのような名探偵になったとしても、コイツの思考回路だけはいつまでたっても読み解けねぇ気がすんだけどな…。


「あ、あおいオメー今日の体育の時」
「転んでなんかいないよっ!」
「…あれやっぱりオメーかよ…」
「転んでなんかいないって!」
「転んだってより、バスケでドリブルに夢中になりすぎてディフェンスした相手に激突してふっ飛んでただろ」
「だから転んでなんかいない!」
「いやあおいオメー、自分から激突しにいったくせに勝手にふっ飛んでたら相手がカワイソーだろ」
「だいたいなんで工藤くんがそんな詳細知ってるの!サボりよくないっ!!」
「誰がサボりだ!授業中、先生に科学科準備室に忘れた資料取りに行けって言われたんだよっ!準備室の窓から体育館見えるだろーがっ!!」
「えー、なんで取りに行かされたのー?さては素行不良で痛い痛い痛い痛い!!」
「俺は日直だったんだっ!!オメーと一緒にすんじゃねーよ!」


いつものようにコメカミぐりぐり。
いつものように部活後の帰り道。
いつもと違うのは、コイツを呼ぶ呼び方。


「やっと!やっとよ!?やっとあおいって言った!!あんな回りくっどいなぞなぞだしてまで頑張った甲斐があったわっ!!」
「…園子また」
「みんなに教えてあげなきゃ!!」
「やっぱり…」


そしていつものように、翌日学校のヤツらが異常なほどニヤけた視線を送ってきた。

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