キミのおこした奇跡side S


≫Clap ≫Top

ホビットカップル誕生


ホットでクールなホビットカップル


あり得ない酸っぱさのレモンパイを食べてから異常に喉が渇くのは気のせいじゃないはずだ。
そう思っていた俺に気がついたのか、何にも考えてねぇのかわかんねぇけど、芳賀をマンションまで送ってくと途中でにコンビニに寄らせてくれって言われ、コンビニにつれてって外で待ってると、お茶のペットボトルを渡された。


「なんだコレ?」
「お茶だよ」
「見りゃわかるけど…」


それ以上芳賀は何も言わず、自分の分のお茶を飲んだ。
…なんだかんだでまぁ、気は利くんだよなコイツ。
たまにそれがすげぇズレてる時あるけど悪気があるわけじゃねーし。
見た目も小動物っていうか猫っぽくてまぁ可愛い方だし?
後は口を開けばバカな部分直せば蘭にも負けねぇくらい人気でるんじゃねーの?
ああでもバカが直る方法なんかあんのか?
…アレはもう躾し直すしかねぇよな。
俺はめんどくせぇし関係ねーからいいけど。


「おはよ、工藤くん」
「おー」


なんだかんだで、一緒に登校するのがすっかり日課になりつつある。
まぁ別に通り道だしいーんだけどな。


「おい」
「はい?」
「持て」
「…なんで?」
「昨日あり得ねぇくらい酸っぱいレモンパイ食わせたのどこのどいつだ?」
「…いやいやいや!工藤くん完食したじゃん!」
「バーロォ、出されたものはどんなに不味くても残さず食うもんだろーが!」


明らかに心の中で舌打ちしてるような顔をされた。
誰が食ってやったと思ってんだ!


「失敗作食ったんだから荷物持て」
「違うよ!」
「あ?」
「あれはあの酸っぱさが売りのレモンパイなの!」
「…この口か、バカなこと口走るのは」
「いひゃいいひゃいいひゃい」
「ほんっと、よく伸びるなオメーの顔」


いつ引っ張っても伸びがいい。
おもしれぇよな、これだけ伸びると。


「なんだこの手」
「わひゃひもひっぱらひぇへ」
「悪ぃな、俺人間の言葉しゃべれねぇヤツと交信できねぇんだ」


わけわかんねぇ猫語喋ってんじゃねーよ。


「新一!あおい!おはよう!」
「おー」
「いったいなぁ!もう!!…蘭おはよ!」


蘭が異常に笑ってる気がした。
いや、気のせいじゃなく異常な笑顔だ。
…あの機関銃やっぱりなんか喋ったな。


「じゃあ俺」
「先に行くんだよね?後でね新一」


コイツといるとまた餌食にされるし、さっさと逃げるた方がいい。


「くっどーくーん!聞いたぜ、聞いたぜ!」
「朝からウゼェな、オメー」
「なんだよ!声かけたのがあおいちゃんじゃないからってそんなに怒るな怒るな!」
「…はあ?」


朝から絡まれるだろうと思っていたけど、思っていた以上にオカシナ絡まれ方をしている。


「毎日お前が部活終わるのを健気に待っててくれるんだって!?」
「…は?」
「しかも手料理つきー!」
「工藤ってそういう子が好みだったのか!ヤマトナデシコってヤツだろ!」


…一緒に帰ったことはまぁいいとしよう。
目撃者もいるだろうし。
でもなんであのレモンパイがばれてるだ?


「可愛くラッピングしたヤツを工藤くんにあげるのー!って言ってったって、鈴木さんが言ってたぜ?」


あの機関銃っ!!
いや、そもそもその機関銃にベラベラ話したあのバカ女が悪いっ!!


「でもさー、俺昨日の帰りお前らが並んで帰るとこ見たけど、なんつーか和んだ」
「はあ!?和むって何が!?」
「あ、それわかるわかる!特に後ろから見るともうホビットカップルって感じだよな!」
「バッ、おま、それっ」
「…ホビットカップルってなんだよ?」
「「え?」」
「何語だホビット?」
「し、知らねぇなら知らねぇでいいと思うぜ?」
「はあ?」
「と、とにかく!見ていて和めるいいカップルってことだ!!良かったな工藤っ!!」
「よくねーしっ!」


この日を境に、みんなが芳賀のことを「季節外れの転校生」から「俺の公認彼女」という目で見るようになったのは言うまでもない。
…あの女、べらべら喋りやがってただじゃおかねぇからなっ!
そう思いながら今日の授業が始まった。

.

prev next


bkm

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -