キミのおこした奇跡side S


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噂の2人、携帯購入


ビーカーラーメンしょうゆ味


「何をやっとるんじゃ?君たちは」
「「博士」」
「2人で随分と真剣に携帯弄っとったがなんかあったのか?」
「…暇潰しにメールにつきあってやっただけだよ」
「新一がか?」
「なんだよ」


なんだよ、その珍しいものでも見たかのような目!
俺だってメールくらいつきあうっつーの!


「いやいや、それであおいくん、新しい携帯は使いこなせそうかの?」
「はい!大丈夫そうです!」
「それは良かったのぉ!せっかくここまで来たんじゃ。今日は何か食べて行くかの?」
「博士の奢り?」
「…まだ発明料が入ってなくてのぉ」
「冗談だよ」


いつ入ってくんだよ、その「発明料」
だいたい博士ってほんとに発明だけで食ってけるのか?
需要があるかビミョーな発明しか見たことねーんだけど。


「あ、私!今日お世話になったんでご馳走します!」
「「は?」」
「大丈夫!さっき携帯買う前にお金下ろしたから持ち合わせあるし!」
「…いやいや、中学生に出してもらうわけには」
「だいたい持ち合わせって、オメーそんなに金あんのかよ」
「それは大丈夫!親の遺産?保険金?がいっぱいあるから!」
「「…」」


親の遺産や保険金て…。
でもそうだよな。
普通は保険に入ってるだろーし、事故で死んだならそれ相応の額をコイツが受け取ってても不思議じゃねーし。
コイツ普段、親が死んで手に入った金を使って生活してんのかな…。


「俺今日は博士のラーメンでいいや」


別に気遣ってるとかいうわけじゃねーけど。
そういう金はもっと大切に使うもんなんじゃねぇの?


「お、おお!そうじゃの!あおいくんもどうじゃ?ワシのラーメンは絶品じゃぞ!」


博士もそれに同意のようで、博士の家でラーメンを食うことになった。
なのに、


「はっ!?ラーメンって言ったら醤油だろ!?」
「何言ってるの!?味噌でしょ!?」
「醤油だっ!」
「味噌だよっ!」
「両方作るからそうカッカッするんじゃない」


俺、コイツと嗜好が絶対違う。
親子丼もあり得ねぇ味だったし!


「あおいくんどうじゃ、ワシのラーメンは?」
「はい!ほんとに美味しいです!」
「ビーカーでラーメンを茹で始めた時からは想像できねー味だろ?」
「煩いのぉ。あれはラーメン専用ビーカーじゃからいいじゃろ」
「まぁ俺はうまけりゃなんでもいーけどな。博士のラーメンはマジでうめーもん」
「うん、ほんとに美味しいです」
「これで良かったらまたいつでも食べに来るんじゃぞ」
「はい!ありがとうございます!」


ラーメンも食い終わってこれくらいは、と言って芳賀が皿洗いを申し出た。
まぁ…気が利くっちゃー、気が利きはするよな。


「新一、あおいくんじゃが」
「あ?」
「笑っとるようじゃが、まだまだ子供じゃ。頼りになる大人が近くにおらんのは心細いじゃろう」
「…ああ」
「今日のようなことがあったらいつでもワシに言うんじゃぞ。ワシで出来ることがあったらなんでも協力しよう」
「…さんきゅ、博士」
「…さて、そろそろ洗いものも終わるだろうし、ワシの車で送って」
「あ、いーわ、俺送ってく」
「…新一が?」
「なんだよ」
「…いいや、なら新一に頼もうかの」
「おー」


洗い物が終わったのか芳賀が俺達のところに戻ってきた。


「帰るから用意しろ」
「え?工藤くんも帰るの?」
「誰かさんのせいで買えなかった本買いに本屋に行くんだよ」
「え?誰かさんて誰?」
「オメーだろーがっ!!」
「痛い痛い痛い痛い!」
「これ新一!それくらいにしてやらんと」
「…まーそういうことで、本屋行くことにしたからさっさと帰る用意しろ」
「いや、もう用意できてるけど」
「じゃー行くぞ」
「工藤くんもこっちなの?」
「本屋がオメーんちの方にあんだよっ!」
「ふぅん…。あ!博士ごちそうさまでした!」
「いやいや、またいつでも来るんじゃぞ」
「はい!ありがとうございました!!」
「じゃーな、博士」
「新一も気をつけるんじゃぞ」
「おー」


博士と別れて芳賀をマンションまで送っていった。
途中あまりにも実り無い会話しかしなかったけど。


「明日も同じ時間な」
「うん、わかった!帰り気をつけてね!おやすみ!」
「おー」


芳賀を見送った後本屋に行ったけど、今日買おうかと思っていた本は結局2冊ともなかった。
ちょっと引かれる本もあったけど、買わずに帰ることにした。


ピリリリリ


家について父さんの書斎で本を漁っている途中ケータイが鳴った。


from:芳賀あおい
sub :今日は
本文:ありがと!博士にもありがとうございましたって伝えてね(*´∀`人)☆*。+゜*・。゜*お礼に今度は私がラーメン作るから!じゃあおやすみ!


to :芳賀あおい
sub :Re>今日は
本文:やめとけ。おやすみ。


ケータイの電源をオフにして、書斎から漁ってきた本の世界へ入っていった。

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bkm

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