キミのおこした奇跡side S


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ラビリンスへの誘い


black cat holmes


「で、俺はそん時言うたんや!『あんた日本で唯一拳銃持つこと許されとる警察官やぞ!?なんでそれを誇りに思えへんのや!』…てな!」
「…なぁ、服部」
「なんや?」
「どーでもいいけど、オメー昨日腹縫ったんだよな?」


大阪から帰って来た日の夜。
服部から電話がかかってきた。


「おー、縫ったでぇ!名誉の負傷やな!」


あっはっはー!と笑う服部。
…いやー、フツー縫合した翌日に病院のベットから電話してこねぇだろ?


「お、そやそや。工藤、お前あおいちゃんに嫌われたんとちゃうか?」
「…はあ!?どういうことだよ!?」
「なんや和葉が言うとったで?『工藤くんあおいちゃんのこと好きとちゃうの?なんで他の女に合鍵渡しとるん!?何考えとるの!誰でもええとでも思てるわけ!?あり得へん!!そんなんやったらあおいちゃんがメールせぇへんの当たり前やないの!?これやから東京男はけったいで嫌なんや!!あおいちゃんええ子やし、平次の親友や言うし、私でできることしたろ思ぉてあおいちゃんにメールするよう言うたけどそんなけったいな男もー知らんで!?』って」


どっから合鍵の話になったんだよ…!
てゆうかなんで和葉が俺があおい好きって知ってんだよ!
そっちの方があり得ねぇだろ!


「自分、メアドまだ聞けてへんのやろ?その合鍵事件から嫌われたんやって!」
「…なんか嬉しそうだな、オメー」
「いやいや、親友の失恋、かわいそうや、思て電話してやったんやないか!」
「…余計なお世話だ」


失恋してねぇーっての!!


「でーも、お前、合鍵他の女に渡したんはー、あかんかったんちゃうか?」
「…別に変な意味で渡したんじゃねぇし!」
「お前はそう思ててもや!女的にはそう思わんやろ?」
「…んなこたぁねーだろ。あおいだってイチの世話誰かがしなきゃなんねぇことくらいわかってっし!」
「そのイチやけど」
「あん?」
「工藤が飼っとる黒猫のことやんな?」
「…そーだけど?」
「別に推理できるようさしたろ思て、芸仕込ました猫とちゃうんやろ?」
「…はあ?」


言ってる意味わかんねぇし!


「あれ黒猫や言うとるけど、ほんまは猫やのうてお前のことちゃうか?平成のホームズくん?」
「あれって?」
「アドレスやアドレス!」
「…アドレスってメルアドか?」
「せや!…って、工藤くんはあおいちゃんからアドレス教えてもろてへんのやったっけ!」


この男っ…!


「まー、お前、ああやってアピールしとるあおいちゃんの」
「あ、キャッチ入った。じゃあな」
「あ!おいっ!工ど」


ピッと電話を切った。
…あおいちゃん、あおいちゃんウルセェっての!!
なんなんだよ、アイツ!
あおいのメルアドがどーしたってんだ!!


センター問い合わせ中


新着メッセージはありません


「あの女東京帰ったらメールすんじゃなかったのかよっ…!」


イライライライラ。
くっそー…!
何がメール文考えてた、だ!
メールする気あんならさっさと送ってこいってんだ!!
その日何度問い合わせても新着メールを知らせる文字が画面を彩ることはなく。
オッチャンのいびきも拍車をかけさらにイライラが増した。


「はい!今日から皆さんと勉強することになった灰原哀さんです!みんな仲良くしてあげてね!」
「「「はーい」」」
「はい!良いお返事です!それでは、灰原さんの席はー」
「先生!ここー!俺の隣空いてます!…あ、あれ?」
「……よろしく」
「あ、ああ…」


この季節外れの転校生が、俺の今後に大きな影響を与えるとはこの時の俺はまだ知りもしなかった。


ブブブ


…新一のケータイか。
なんだ、こんな時間に…。
パカッとケータイを開いたら、思考が一瞬止まった気がした。


from:black.cat.holmes@XX.ne.jp
sub :芳賀あおいです
本文:お久しぶりです。元気に頑張ってますか?
アドレス替えたのでお知らせします。
たまにはイチに会いに行ってやってくださいね。
 ∧∧
(*・・*) あおい


なんだ最後の顔文字は!(いや猫文字か?)とか、つーかあれだけ悩むとかなんとか言ってたくせにこれだけかよ?とか。
ツッコミどころは多々あるんだが。
それよりも、このメルアド!
black cat holmes、黒猫ホームズ?
普通に考えたらイチのこと。
でも、


−お前のことちゃうか?平成のホームズくん−


服部に言われたからじゃねぇけど。
俺のことかも、とか。
そんな気がして。
少し緩む口元を引き締め、通話ボタンを押した。

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bkm

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