キミのおこした奇跡side S


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浪花の連続殺人事件


約束


事件の翌日、オッチャンの沖野ヨーコの特番見るとか言うふざけた理由で、午前中に東京行きの新幹線に乗るはめになった。


「ほんま堪忍な、せっかく東京から来てくれたのに」
「いいのいいの!服部くんも無事手術終わって良かったね!」


服部も無事手術が終わったらしく、和葉が駅に見送りにきてくれた。
…俺も人のこと言えねぇけど、アイツもしぶといからなぁ、マジで。
ちらっとあおいを見ると、すっかり和葉とうちとけたようで。
…俺が服部と捜査してる間に何があったのか謎だ。


「今度は和葉ちゃんが東京に来てね!」


ほんといつの間にそんな仲良くなったんだろーな…。


「私1人暮らしだから服部くんと一緒に泊まって泊まって!」
「絶対ダメッ!!!」


バカ言ってんじゃねーよっ!!
なんだってあの色黒オメーんちに泊めなきゃいけねぇんだよっ!


「あー、平次はええねん!そこらへんの道端で寝るから気にせんでええよ!」


ほんと、アイツなら死にはしねぇから道端で十分だっての!


「なんでうちにあの探偵ボウズを泊めなきゃなんねーんだよ!!」
「…オジサン大阪府警とも繋がりほしいって言ってたじゃん。だったら平次兄ちゃんと仲良くしてて損はないと思うよー?」


探偵としては、警察関係者の中に人脈を作っておきたいもの。
俺の考えにあっさり納得したオッチャンは、服部が東京に来た際泊めることを約束した。
…たりめぇだ、バーロォ!
俺だってちゃんと泊まったことねぇのに、なんでアイツをあおいの家に泊めなきゃいけねーんだよ!
なんて俺が考えていたら、なんかあおいが狼狽えてる。
不信に思い和葉との会話に聞き耳を立てると、


「もしかしたらあおいちゃんに嫌われたんちゃうやろか?とか、他に好きな子できたんちゃうかぁ?と」
「あおい姉ちゃん好きな人できたのっ!?」


とんでもねぇ会話が聞こえてきた。


「おるでぇ!コナンくんも知っとるく」
「和葉ちゃん!!ほら、新幹線来たからっ!!」


俺も知ってる「く」!?
なんだ、それ!?
「クロバ」かっ!?
やっぱり蘭が言ってた通り、俺がいないのいいことにクロバがあおいを…!!


「じ、じゃあまたねっ!!」
「ほな、またメールしてや!…彼にもやで!」


…「彼」にもメールしろだと!?
ふざけんじゃねぇ!!


「俺ぁ夕方からのヨーコちゃんのために着くまで寝てっから起こすんじゃねーぞ!」


そう言って1人前の座席に行ってさっさと眠りについたオッチャン。
…ちょうどいい。
こっから東京着くまでの間に聞いてやろーじゃねぇか!


「メールする彼って誰のこと?」


クロバだとか抜かしたらタダじゃおかねぇ…!!


「べ、べべ別に深い意味は、」
「誰のこと?」


目を泳がせ逃げようとするあおい。
逃げ切れるなんて思うなよ?


「じ、実、は、」
「うん」


口を開いたものの、先が進まない。
…往生際悪ぃ奴だな!


「実は何?」
「じ、実は、ね、」
「うん」
「あ、ある人、に、メールアドレス変えたこと、メール、して、なくて、」


その「ある人」ってのはクロバじゃなく、「俺」のことだって。
直感的にそう感じた。


「なんで?」
「え?」
「なんでメールしないの?」
「えっ!?な、なんで、って、」


どういう了見で俺にアド変メール寄越さなかったのか、きっちり教えてもらおうじゃねぇか…!


「なんでって?」
「だ、だからっ…!」
「…だから?」
「…そ、その人には、なんて、言う、か」
「なんて言うか?」
「ほ、他の人みたいにアドレス変えたってだけのメール送りたくなかったの!!」


…………は?


「なんで?」
「………は!?」


俺の言葉に、俺もきっと今こういう顔してると思うってくらい頭に「?」を浮かべたあおいと目が合った。


「なんでアドレス変えたってだけのメール送りたくなかったの?」


むしろアド変のメール寄越さねぇ方が失礼だと思わねぇか?


「ねぇ、どうして?」


じっと見ていたらあおいはため息を吐き、おもむろに俺の頬をつねってきた。
痛ぇ!


「だーかーら!」
「いひゃいいひゃいいひゃい」
「アドレス変えました、ってだけじゃなくて、…が、頑張ってる?とか、…い、いろいろ送ろうと思ってたの!」
「ひょ、ひょう…」
「…他の文章考えてたら、なかなか送れなくって、…1回送りそびれたら、送りづらくなった、って、言うか、」


つまり、だ。
俺にメール送ろうにも送る内容考えてたら送りそびれた、と。
…ああ、コイツらしいって。
なんかすっげぇ納得した。


「送ってみたら?」
「え?」
「その人に」
「…えっ!?」
「…待ってるんじゃないかな、その人。あおい姉ちゃんがメールくれるの」


このまま、連絡取れなくなんのはご免だ。


「怒ってない、かな?」
「え?」
「な、なんて言うか、…怒りっぽい人?」


悪かったな、怒りっぽくて…!


「オメー、メール1つ送んのにどんだけ時間かかんだよ!とか言いそう…」


否定できない俺がいる。
けど、


「むしろこのままメール送らない方が怒ると思うよ、その人」
「えっ!?」
「だから早く送った方がいいんじゃないかなぁ?」


それこそ、オメーどんだけ時間かけんだってキレるぞ、おい。


「と、東京帰ったら、送ろう、かな?」
「うん、そうした方がいいよ!」


そうすれば俺からもフツーに電話できるし?
この問題は無事解決だ。


「僕なんだかお腹空いちゃったからお弁当食べていい?」
「え?う、うん、いいよ」
「やったぁ!うーんと、じゃあ僕コレね!」


あ、でもコイツ、クロバとどうなってんだ?
…まぁいいか。
とりあえず自分が前進することが先だ。
そう思い、駅弁を口の中に流し込んだ。

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bkm

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