キミのおこした奇跡side S


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浪花の連続殺人事件


無意識の行動


「コーナーンーくーん?」
「…げっ!」


沼淵を逮捕して、連行する、って時。
いつの間にか車から降りてこっちに来ていたあおいが仁王立ちしていた。


「危ないこと、しちゃダメだって言ったでしょ!?」


もし仮に今俺が新一だったとして。
コイツがこんな格好しても全く怖くねぇどころか、むしろ身長差があるから上目遣いに俺を見てきて、おいコレ俺得だよな?って状態なんだと思う。
でも今俺はコナンなわけで。
あのあおいからですら見下ろされている自分が情けない…。


「…ついて行きたい気持ちは、わからなくもないけど、黙って行ったら心配になるんだよ?」
「…ごめんなさぁい…」
「約束、ちゃんと守ってね?」
「はぁい…」


中学の頃に遭遇した黒ラブ事件の時、幼稚園児をあやしてたあおいを見て、コイツ意外と先生とか向いてんのかもしれねぇって思った時があった。
自分が小さくなって実際に接してみて、やっぱりコイツ、先生に向いてるかも、って思う。
ガキの行動でも頭ごなしに否定しない。
それはもしかしたら俺が工藤新一だと思ってるからなのかもしれない。
でもガキはガキでも、コイツの中で一個人として成り立っていて、そう接してくれていることが、今現在ガキの俺からはすげぇありがたかった。


「じゃ、車に戻ろっか?」
「はぁい」
「どけぇぇ!!!!」


じゃあ建物からでるか、そうなった時、なんでそういう事態になったのかわからねぇが、ナイフを持った沼淵がこっちに突っ込んできた。


「わっ!?」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


俺が沼淵が襲って来ると思った瞬間、あおいに突き飛ばされた。
その後は一瞬の出来事。
突き飛ばされたものの、何とか踏みとどまってそのままあおいの前に飛び出した俺と、ナイフを持って突っ込んできた沼淵。
その沼淵の切先が、俺の胸を刺した。


「…くっ…コナンくんっ!!」


いってぇぇぇぇっ…!!


「コナンくんっ…!!」
「だ、大丈夫だよ…。チクッとしただけだから…」
「…見せてっ!!」
「あ、ちょ、」


俺の服を捲ったあおいの手が止まった。


「きっと平次兄ちゃんに貸してもらったお守りのお陰だよ!ほら!ちょうど鎖の欠片の輪に包丁の刃先がはまって刺さんなかったんだ!」


って、言ってもさすがに先端は刺さって若干血が出てっけど…。


「だから僕は大丈」


ガバッ!と。
例えるならそんな効果音。
「俺」の無事がわかると、あおいは俺に抱きついてきた。
…む、胸がモロっ…!!


「も、もう、こんなことしちゃダメっ…!」


その後は大号泣で、何喋ってんのかわからなかったけど。


「もう大丈夫だよ。だから泣かないで」


しばらく、俺に抱きついて泣いてるあおいの背中をなでていた。
…これが元の姿だったら!
なんて思っていたなんてことは、もちろん本人には内緒だ。

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