キミのおこした奇跡side S


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噂の2人、携帯購入


ケータイ購入


「芳賀ー、帰っぞー」
「あ、うん、今行くー」


放課後、芳賀のクラスに迎えに行くと、芳賀のクラスメートが異常なほど生暖かい視線を送っていた。
何をしたらたった数日でこんな視線を向けられるんだ?
マジで。


「ごめん、帰る前に弓道場に行っていい?」
「あー、結局オメー弓道部にしたのか?」
「うん!来年は全中行くのっ!!」
「は?オメーそんなにうまいのかよ?」
「…弓道初めて2ヶ月です」
「まぁ…頑張れ」
「…はい」


全中ねぇ…。
コイツならむしろ、自分に当たりそうな神業的弓道しそうだよな…。
そもそもうちの弓道部ってそんな上手かったか?
まぁ目標はねぇよりいーんだろうけど。
つーか道場内に袴着てるヤツ2人しかいねーじゃねぇか。
ヤル気ねぇ部活だな、おい。
そんなんで来年全中狙えんのかよ。
まぁ俺には関係ねーか。


「お待たせ」
「おー」
「…そう言えば工藤くんてサッカー長いの?この間見た時上手いなぁって思ったんだけど」
「おー。俺一応レギュラーだし」
「あ、そうなんだ。公園で自主練してるくらいだもんね。なんか納得」
「それ、」
「うん?」
「誰にも言うなよ?」
「え?」
「こそこそ練習してるなんてバレたくねーし」
「…こそこそ練習してないで堂々と練習したらいいんじゃないの?」
「天才は努力を他人に見せねーもんなんだよ」


実は人一倍隠れて練習してるとかバレたらカッコ悪ぃじゃねーかよ。


「でもなー」
「うん?」
「1人で練習してっと、レモンパイが食べられねーんだよな」
「は?レモンパイ?」
「そー。部活後マネージャーがいっつも作って来てくれっからそれが癖になって、頭が練習したら食うもんだって感じになっちまってさー」
「マネージャーって、先輩?」
「あ?ああ、今生徒会長やってる内田麻美って人」


あの人のレモンパイもビミョーな時あるけどな…。
でもちゃんと食えるし、食った後下さねーし、コイツの作るものよりマシだ。


「なんだかんだで工藤くんにはお世話になってるし、今度自主練する時、私がレモンパイ作ってってあげようか?」
「…ヤメロ」
「私お菓子は作れるよ!?」
「腹壊して試合出れなくなったらどーすんだよ!」
「失礼だな!そんなにひどくないよっ!!」
「どの口がそんなこと言うだ?あっ!?」
「い、いひゃい」
「俺に何か食わせる気なら人間が食べれるまともな料理が出来るようになってから言え!」
「…工藤くんて私に対する態度があり得ないと思う」


あり得ないと言われるほど、酷い扱いはしてないつもりだ。
ていうよりむしろ、面倒見てやってるんだし感謝されてもいーと思うんだけどな。


「別にフツーだけど?」
「どこらへんが?」
「そんなことよりさっさと行くぞ」


芳賀が後ろでなんかブツブツ言ってたけど、無視してたらおとなしくついてきた。
いつもこんくらい大人しく従順ならいーんだろーけど。
口開けばバカだからな、コイツ…。


「博士!」
「おお、来たか新一」
「悪ぃな、急に」
「いやなに、構わんよ。君が芳賀あおいくん、かな?」
「あ、はい!芳賀あおいです。今日はありがとうございます!」
「芳賀、こっちが俺んちの隣に住んでる阿笠ヒロシ。博士って呼んでる」
「よろしくお願いします!」
「君があおいくんか」
「はい?」
「いや、あの新一がいたぁ!」
「余計なこと言うんじゃねーよ」


どーせ俺が蘭以外の女の世話焼いてるとかなんだと言う気だろーけど?
別に深い意味なんてねぇし。
ただまぁ、コイツは他の女と違って、話しやすいし一緒にいて苦にならないってだけだ。


「とにかくケータイ買いに行くから車に乗れ」
「…すごい年季入った車ですね」
「これでも一応外車なんじゃよ!」
「はあ…」
「買い換える金がねーもんなぁ?博士」
「煩いのぉ。もう一歩でワシの発明も高い評価を得てじゃな」
「へーへー、期待しってから頑張ってくれよな博士」


博士のこの台詞も大概聞きあきたよな…。


「では、こちらに保護者の方のサインをお願いします」


店に着いたら目の前にオモチャをたくさん並べられたガキみてぇに、目キラッキラさせて私どれにしよう!って顔で片っ端からケータイを弄り始めた芳賀。
優柔不断、てわけでもなさそーだけど、いろいろ目移りしてるみてーだった。
俺が今使ってるケータイを薦めたら、あっさりそれに決まった。
…初めからこれ薦めてりゃこんなに待たされずにすんだな。
次から気をつけよう。


「ほら、買ったヤツ出せ」
「え?」
「え?じゃねーよ。登録しねーと意味ねぇだろ?」
「あ、ああ、そうだね」


大事そうにケータイが入ってる袋を抱えていた芳賀。
使わなきゃ意味ねーじゃねぇか。
俺のケータイにワン切りして、と。
メールはまぁ後々アドレス変えるだろーけど、とりあえずこっちも入れておくか。


「俺のケータイと、うちの家電入れといたからなんかあったら電話しろ」
「…ありがと」


俺が渡したケータイを、弄りたくて仕方ありません!て感じのキラッキラした目で見てた。
まぁ初ケータイって、そんな感じだった気がする。


「博士、俺来たついでに本屋寄って行きてぇんだけど」
「おお、構わんがあおいくんはどうする?」
「あ、私ここで待ってていいですか?」
「それなら30分後にここに集合でどうじゃ?」
「博士どこ行くんだよ?」
「なに発明で使う部品の買出しじゃよ」
「じゃあ、私ここにいますから、30分後に!」


コイツはどーせずっとケータイ弄ってんだろうな…。
30分もあれば読みてぇ本も見つかるだろ。
さっさと行って本買ってこよっと。

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