キミのおこした奇跡side S


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浪花の連続殺人事件


アポロ商人との出逢い


「あんたやろ?工藤って」


はっ!?
だ、誰だよこの女っ!!!


「平次にいつも聞かせてもろてんで、あんたのこと」


あ、あの色黒ーー!!
人のことベラベラ喋りやがっ


「あ、れ?あんた…」
「そう!覚えてる!?蔵王の売店!!」


…は?


「蔵王のジャンボアポロ!!なに、あんたが工藤やったん!?」
「覚えててくれたの!?嬉しい!!」
「なに、なんで!?さては蔵王の時に平次のように推理した中学生ってあんたのことやったんやな!?」
「何年ぶりだっけ!?あの時お互い怪我してたよね!?もうすっかり大丈夫?」
「ちょっと待てーーーー!!!」


な、なんだ今の会話!?
蔵王のジャンボアポロ!?
とりあえずあおいとこの女を止めて状況整理することにした。


「お、お姉さん、誰?」
「…あんたら案内しとるあのアホの幼馴染やけど?」


服部の奴幼馴染にベラベラとっ…!


「あおい姉ちゃん、このお姉さんのこと知ってるの?」
「え?知ってる、っていうか、蔵王のスキー合宿の時に1度会ったことあるんだ!ね?」


蔵王のスキー…。
じゃあもしかして、


「ジャンボアポロって何?」
「和葉ちゃんが間違って買ったジャンボアポロを私が買ったの!」


やっぱりあの時の大阪の商人かっ!!
オメーのせいで俺の中2のバレンタインがジャンボアポロになったんだっ!
もっとマシなの売りつけろよ!
売店にはまだ他にチョコあったじゃねーかよっ!!
しかもあおいに売りつけたのは服部の幼馴染っ!!
なんだよこの狭い縁はっ!!


「1つだけあんたに言うとったるわ。私と平次はその昔、鉄の鎖で結ばれた仲やねんからな!平次にちょっかい出すときは」
「あ、それは絶対ない!服部くん、私の好みと全然違うから!」


こ、こいつ言いきりやがった…。
は、ははっ…、そういう女だよな、オメーって奴は…。


「なんや和葉。お前ここでなにしてんねん?」


その後服部によるこの少女への事情聴取が始まった。


「あはははは!笑わしよんな、この女!俺が言うてた工藤は男や、男!ほんでこのちっさい姉ちゃんが工藤の女!」
「「…えっ!!?」」


ば、何言って


「女ー?」
「ち、ちちちちちちちち違いますっ!!!ぜ、ぜぜぜぜぜ全然そんなバカなっ!!!」


そこまで全力で否定しなくても聞こえてるっつーの!
…くそっ!


「ほんならなんでその工藤くん、ここに呼ばへんの?」
「あほ!工藤やったらちゃんと」


アホはオメーだーーっ!!


「あ、つ、都合悪ぅて来られへんかったんや!」
「…」
「そ、それより!さっきお姉さんが言ってた鉄の鎖ってなに?」


すっげぇ怪しんでるアポロ商人の気を逸らすため、咄嗟にさっきの会話に出てきた鉄の鎖の話を持ちかけた。


「ガキの頃な、俺んちの屋根裏部屋で親父の使ぉてた古い手錠俺と和葉が見つけてな。ふざけて刑事の真似事やっとったら外れへんようになってしもて、えらい目におーた、ちゅうしょーもない話や!」
「しょーもないことちゃうやん!あん時風呂も便所もあんたと一緒やってんからな!」


いわゆるクサイ仲、って奴ね。
ふーん…。
この子、服部が好きなんだな…。
て、ことはさっきからあおいが感じていた視線、ってのも原因はこの子か。


「私はちゃーんとあの時の鎖のかけらもろて、お守りにいれてんねんで!」


チラッとあおいを見ると目きらっきらさせてた。
…女ってこういう話好きそうだしなー。


「探偵ボウズと幼馴染の刑事の娘!不吉なカップルだな!」


心配しなくても、あんたの娘にはなんもしねーよっ!
へっ、と横を向いたらまたアポロ商人と目が合い、なんとなく笑ってみたら、優しく微笑まれた。
…悪い子じゃー、ない気がする。


「ごちそうさまでした!」


あおいがずっと感じていた視線の謎も解明されて、お好み焼き屋を出たとき。
パトカーに乗り込もうとする、今まで俺が座ってた場所に和葉が座ってた。
…てことは俺はあおいの膝の上!?
それは俺の男としてのプライドがっ!!
…いや、でも今はコナンだからいいのか?
だ、だめだだめだだめだっ!
そこまでプライド捨てんじゃねーよっ!
しっかりしろ、俺っ!!


「あおい姉ちゃんもう少し詰めれない?僕が座れないんだけど…」
「あ、はい…」


くっそー!
なんか知らねぇけど、もったいねぇことした気がする自分が嫌だっ…!
なんて、思った瞬間、車が大きく揺れた。


「え!?今のなに!?」
「見るな!!」
「え?って、き、きゃーーーーーーっ!!!」


悲鳴と同時に、ボンネットの上でナイフが刺さったまま倒れている人が視界に入ってきた。


「なんなんだ、この男は!?」
「知らん!いきなりボンネットの上に落ちてきよったんや!このビルの屋上から、あっ!誰かおるで!?」


屋上…!


「さぁ、言うてもらおか。ポリ車の上に死体落としたわけっちゅーのをなっ!」
「ち、ちゃいまんがな!ワシはただっ」


自分で解決した事件と、オッチャンを名探偵に仕立て上げて解決した事件。
何人も「殺人犯」を見てきた。
…この人は、ほんとに違う気がする。
話を聞いたら誰かに電話で屋上に変な男がいると言われて確認のために行ったらしい。
遺体の状況から、この殺人、誰かへの見せしめかも知れないと、服部が言った。


「見せしめ?」
「財布貫いて胸に刺さったナイフ。こらどー見ても例の事件と」


…例の事件?


「おい、おばはん!ちょぉ待てや!おい、こらっ!…あー、行ってしもた!」
「大丈夫だ。ナンバーは覚えた。それより教えろよ、服部!今言ってた例の事件って奴を!」
「平次くん!署には連絡したで!今から人が来るさかい。…それと、本部長からの伝言で、毛利さんにも事件の詳細を話す、いうことになったから署に行こ思うんやけど。…毛利さんも!とりあえず署に連絡しましたんで、詳しいことは署で…」


財布を貫いて胸に刺さったナイフ。
服部の口ぶりだと連続殺人事件のようだし…。
ただの観光のはずの大阪旅行が、見事いつものように推理旅行になった俺たちは坂田さんに連れられて東尻署に向かった。

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