Clover


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進路、決定


打ち明けた決意


「大丈夫?」
「…だめぇ、もう死ぬぅ…」


明後日から6月、って日。
どうも学校が静かだと思ったら快斗が学校休んでるって言われた。
どうしたんだろう、って思っていたら入ってきたメール。


from:快斗
sub :今
本文:トイレが恋人


ああ、お腹壊して休んでるんだって思った。
メールするくらいは落ち着いたのかな?とか思っていたんだけど、やっぱり快斗1人暮らしだし、学校が終わってから黒羽邸へ行ってみた。
そしたらもう、お腹痛いお腹痛いって騒ぎながら青い顔してる快斗がいた。


「…なにか思い当たることは?」
「んー…、昨日、」
「うん」
「珍しく夕飯作ろー、って思った」
「うん」
「冷蔵庫に肉があった」
「うん」
「使った」
「…それだけ?そのお肉の賞味期限見た?」
「無かった」


そんなわけないじゃない!
って、思ったけど、今さら言っても仕方ないしなぁ…。


「もう腹の中絞り出すもんもねー!」


汚い話しないでほしい…。
って思ったけど本人真剣に痛いんだろうし、放っておいた。


「薬は?」
「んー…だいぶ前に飲んだ」


現在自分の部屋のベットに寝ているということは、だいぶ落ち着いて来ている、ということだろう。


「してほしいことは?」
「…こっちきて」
「うん?」


そのままベットに引きずりこまれて快斗は私の胸を枕代わりに抱きついてきた。


「俺トイレで死ぬかと思った…」
「ははっ、大変だったね」
「んー…。やっぱ普段から料理してねーとダメだな」
「そう?じゃあ今度快斗に作ってもらおうかな」


私の胸の谷間に顔を埋めて、動かない快斗の頭を何度も何度も撫でた。


「早希子の料理が美味ぇからそっちがいい」
「でも覚えなきゃでしょ?」
「早希子が作って」
「快斗、卒業したらアメリカに行くんだから少しは」
「無理!」
「え?」
「俺1人だと死ぬ」
「…快斗、あのね」
「だから行こうぜ、一緒に」


先生から言われた期限のこと、快斗には言わなかった。
と、いうか、そもそも卒業後の話はずっとしていなかった。
けど、ずっと一緒にいたから、何か感づいたのかもしれない。


「俺オメーがいねぇと生きてけねぇもん」
「…」
「そりゃー、さ。最初は俺も自分のことに必死だから?あんま構ってやれねーと思うぜ?でもそこはほら、オメーはロスの自宅で暮らして、さ。有希子さんもいるから安心だし」
「…」
「俺ぜってぇすぐにオメー1人くらい養えるようになっから」
「…」
「…行くなよ、どこにも」


1度も顔をあげることなく、きゅ、って私をきつく抱きしめた。
快斗は、いつから気づいていたんだろう。


「この間哀ちゃんから聞いたんだけど、」
「え?」
「快斗今ネットの中で有名人なんだって?」
「…別に有名ってほどじゃねーよ」
「そうなの?…面接前から、メンバー入りが確実視されている人ってそうそういないらしいよね」
「…」
「哀ちゃんが、快斗は自分が高く売れる売り出し方をよく知ってるって言ってたよ?」
「…高く売り出そうとしてるわけじゃ」
「私は自分が持てるもの全てを使って夢にかけるのは、良い事だと思うよ」
「…」
「その決断を躊躇いなくする快斗を、すごいって思った」


だからこそ、私も躊躇っちゃいけない。


「ちょっとだけ、また置いていかれたような気もしたけど、」


これからも、快斗と同じ目線で物事を見ていくためにも。


「でも、快斗をカッコいいって思ったよ?」


これからも快斗と一緒にいたいから。


「…私、卒業したらイギリスに行く」

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