Attack On Titan


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ラブソングをキミに


悔いなき選択 2


「朝っぱらからなんの用だ?」
「(すでに機嫌は悪い、と)フィーナの制服取りに来たんだけど。」
「テメェが取りに来いと言え。」
「…言っておくけど、私は単に代理なだけなんだからね。」
「あ゛?」
「今あんたと話したくないんだって。」
「……………」
「(うっわ、眉間のシワ一気に増えた…)で?制服は?」
「…そこにかかってる。インナーはそっちのチェストの下から2段目だ。出したらとっとと出て行け。」
「じゃあ、ちょっと邪魔するよ(機嫌最悪。リヴァイ班頑張れ…)」




「はい、フィーナ。制服。」
「す、すみま、せん…。」
「んーんー。気にしないで。」


ナナバさんの部屋に押しかけた翌日も、普通に仕事なわけで。
という事は団服を着なければいけないわけだけど、それはつまりあの部屋に行くわけで…。
それってあぁやって飛び出してしまったのに、ものすっごい気まずい空間に自ら飛び込む、ってことになるわけで…(しかも朝一から…)
さすがにそれは嫌だな、でも団服どうしようかな、と考えていたらナナバさんが変わりに取りに行ってくれた。


「あ、の…、」
「うん?」


こういうことに、ナナバさんを巻き込んで申し訳ないなぁ、と思う反面、でも自分ではどうすることも出来なくて、


「リ、ヴァイ、さん、」
「…」
「お、怒って、まし、た…?」


結局ナナバさんを頼ることになった。


「あー…、でもまぁ、怒ってない時の方が珍しい奴だし、ね。」


ナナバさんは苦笑いしながら答えた。
………つまり、怒ってる、と言うわけで…。
あぁ…、どうしよう…。
でも怒るようなことをしてしまったのは私だけど、精神的に酷いこと言ったのはリヴァイさんじゃない?
…………いや、大半は八つ当たりな部類な気がしなくもないんだけどさ…。
ふぅ、と1つため息を吐き、仕事に向かうべく部屋を出た。




「兵長、今日は何を?」
「今日は庭掃除だ。」
「…………」
「なんだ?」
「あ、いえ…。じゃあそのように伝えときます。」


「…と、言うことで、今日は庭掃除だそうだ。」
「ま、またっすかっ!?リヴァイ班になって3日経ちますけど昨日も一昨日も丸1日かけて掃除してるんすよ!!?なのにまた掃除!!!?」
「エルドさん、もしかして私たち兵長に嫌がらせされてるんですか?」
「(俺だってそう錯覚してるくらいだ…)いや、ほら、兵長は綺麗好きだから、」
「だからって1度も訓練らしい訓練もないんですよ!?どういうことです!?」
「(俺だって聞きてぇよ…。絶対オルオ殺されるから止めねぇとなんだろうって思ってたのに、なんだって俺たち巻き込んでひたすら掃除なんだよ…)…まぁほら、これもこの班なりの訓練だと思って、やらねぇと別の班に異動させられるぞ。」
「「…」」
「なぁ、エルド。」
「どうした、グンタ。」
「…この掃除、実は何か特別な意図が隠されてるのか?」
「……………だといいな(本当に)」




リヴァイさんの元を飛び出して早3日。
「兵士長」をしている人と、一般兵、しかも班も違う私は、話さなくても職務上、なんら問題はなかった。
だからなのか、喋らないまま、日にちだけが過ぎていった。




「ナナバさん。」
「…珍しいね、エルドが私に声かけるなんて。」
「こんなこと聞けるの、ナナバさんしか考えられないんで。」
「何?」
「………兵長とフィーナ、何かあったんですか?」
「…何かって?」
「だってどう考えてもおかしいですよ!確かに帰還翌日はいつも掃除でしたが、」
「(『いつも』掃除なんだ…。大変だなリヴァイ班…)」
「だからってもう丸3日ですよ!?」
「うん?」
「俺たち帰還翌日から今日で丸3日!!掃除しかしてないんですよっ!!?」
「…………」
「いくらなんでもおかしいでしょ!?言いだしっぺの兵長はっ、」
「リヴァイは?」
「……何かに取り憑かれたんじゃねぇかって勢いで一心不乱に掃除してるんです…!!」
「は?」
「いつもならここがなってない、とか、あっちがまだだとか、駄目だしするのに、今回は掃除するって言ったっきり、一っ言も喋らず黙々とただひたすら掃除してるんですよ!!?俺らはどーすればいいんですかっ!!」
「(…アイツもしかして、)」
「今日なんて庭掃除させられたけど、兵長ただひたすら掃いてるからもう砂利もねぇだろ!ってくらい異常なほど綺麗な庭になったんですよっ!!?」
「(今回のこと動揺してる、のか?)」
「俺が兵長の班に配属されてからこんなこと初めてですよ!」
「(てっきりフィーナが折れるまで折れる気ないんだろうと思ってたのに、フィーナの予想外の行動に、実は落ち込んでたりして…)」
「…さすがにおかしいと思ってフィーナにどうしたのか聞きに行こうと思ったら、よく見たら兵長とフィーナ、喋ってないじゃないですか。」
「………」
「もともとベラベラと喋るような2人じゃないけど、一緒の空間にいたらそれでも何か話してたでしょ?今日2回、食堂で2人を見かけたけどフィーナは兵長に近寄ろうともしないし、兵長に至ってはフィーナを視界に入れようともしてないじゃないですか。」
「…エルドって、」
「はい?」
「意外と観察力あるよね。」
「…褒め言葉ですか?それ。」
「うん、すっごい褒めてる。…まぁ、あの2人に限らず、『そういう仲』だといろいろあるでしょ?巻き込まれてるあんたたちにしたら迷惑だろうけど、大目に見てやってよ。そのうち直るだろうしさ。エルヴィンに注意してもらえるように、それとなく言っておくから。」
「……原因は教えてもらえないんですか?」
「それは私も知らないし(『あの』フィーナが、オルオの発言揶揄したリヴァイをビンタして飛び出したからなんて、自分の『部下』にそんな状況知られたとか私がリヴァイの立場ならさすがに泣く…)」
「…はぁ…、もうどんな訓練でも喜んでするから掃除だけは勘弁してくれ…。」
「頑張れ、副班長(こいつ、モブリットタイプだな…)」




−当分私に話しかけないでくださいっ!!−


そう言ったのは、確かに私だ。
…でも本当に、全く話しかけても来ないどころか顔を合わせようともしないって、ちょっと酷いんじゃない!?
この3日、食堂で一緒になることだってあったのに…!
リヴァイさんにとって、やっぱり私は…。


−選ばれたからには、兵長に全て捧げて兵士としての使命を全うするから!−


硬くて冷たいベッドの上で布団を被り、クチビルを噛んだ。

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bkm

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