Attack On Titan


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ラブソングをキミに


悔いなき選択 1


「…はぁ…。」


壁外遠征から戻ってきて、諸々の片付けを終え、自室に1人になったら、知らず知らずにため息が零れた。
リヴァイさんの班は、調査兵団きっての精鋭中の精鋭で結成される班。
…私程度の兵士には入る資格すら、ない、班。
その班に、私が入団して以来初めての、女兵士が加わる。


「お、かえり、なさい。」
「……ただいま。」


リヴァイさんは、ドン、と荷物を床に置き、私が蹲るように座っていたソファの隣に座り、ブーツを脱ぎ始めた。


「……どうかしたか?」


一連の行動を見ていた私に気づいたらしく、片足だけブーツを脱いだ状態のリヴァイさんが声をかけてきた。


「べ、つに、どうも…。」


頭を振りながら答えた私を、ジーッと見てくるリヴァイさん。


「な、なんです、か…?」
「…遠征中、ハンジがおもしれぇことを言ってたな?」


無表情のまま、私を見てくるリヴァイさん。
…………今回の遠征でハンジさんが言った「おもしろいこと」なんて、「あれ」しかない…。


「た、たまたま私がいるテントに、オルオが入ってきただけで、」
「『たまたま』と言うわりに、随分と良いタイミングで入ってきたようだな?」
「べ、つに、『それ』を狙って、入ってきたわけ、じゃ、」
「………お前、」


無表情のまま、リヴァイさんが片足をソファの上に乗せた。


「その話を聞いたとき、俺がなんとも思わなかったと思っているのか?」


リヴァイさんの足が乗った部分が、その重みで少し凹んだ。


「お前は不用意過ぎる。」


リヴァイさんはそれだけ言うと、グィッ、と私の服の胸元を掴み、自分の方に引き寄せた。


「あまり俺を怒らせるな。」
「んっ、…ふっ…」


リヴァイさんは舌を絡めながら、私をソファに押し倒した。
私の背中を支えるように押し倒したリヴァイさんの手が、そのまま胸を触ってきた。
…と、思ったら、


「………」


クチビルを離して、少し上体を起こしたリヴァイさん。
その視線はチラッと、私の胸元に行ったのを見逃さなかった。


「『まな板に干しブドウ』」
「…」
「と、言われたらしいな。」


…ハンジさんてば、そんなことまで喋ったの…!?
もう、そんなこと言わなくても…!!


「今度そんなこと言われたら『まな板に木苺だ』くらい言い返してやれ。」


カプリ、と、リヴァイさんは私の首筋を甘噛みしながら言った。


「………………」


そもそもにして、今日はエルヴィンさんが発表した新生リヴァイ班の話と、ぺトラとの会話で、なんとも言えないモヤが心を覆っていたのは確か。
だから無事帰還できたと言っても、決して「嬉しい」とか「喜ばしい」とか、そういう感情ではなく、どちらかと言うと不機嫌、…とまではいかなくとも、決して良い精神状態ではなかった。
そこにハンジさんのお喋りが発覚してあぁ、もう!と言う思いがプラスされて。
そのモヤモヤが全て、


「いっ、て!?」


リヴァイさんの今の言動でプツッ、といった気がした。
私の首筋に顔を埋めていたリヴァイさんの胸を思いっきり押し上げ、2人きりの部屋に、パチン、と言う乾いた音が響いた。
かなり油断していたリヴァイさんは、私の平手をモロに食らったわけで。
珍しく目をパチパチと瞬かせていた。


「どいてくださいっ!!」


リヴァイさんを押し退けてソファから立ち上がった。


「おいっ!」


立ち去ろうとする私の腕を掴んだリヴァイさん。


「…とに…」
「あ゛?」
「ほんとにデリカシーないんだからっ!!」


今日の、と言うか、ここ最近のモヤモヤ全て、ぶつけるかのようにリヴァイさんを睨んだ。


「しばらくナナバさんのところに行きますっ!当分私に話しかけないでくださいっ!!」


ふん!とでも言う勢いで部屋を飛び出し、そのままナナバさんの部屋のドアをノックした。


「はーい、てフィーナ、どうしたの?こんな時間に。」
「ナナバさん!しばらく泊めてくださいっ!!」
「…………えっ!!?な、なに!?何かあったの!?」
「……ナナバさぁん…!」
「と、とりあえず入りな?ほら、お酒もあるし!」


入って入って、とナナバさんは室内に私を招き入れられてくれた。





「って言ったんですよっ!?酷いと思いませんか!?ぐすっ、」
「(しまった…)う、うん…。」
「干しぶどうを木苺って可愛く言えば良いってもんじゃないでしょっ!ひっくっ、」
「(フィーナって泣き上戸だったっけ…)そうだね…。」
「わ、私だって、気にしてるのにっ…ぐすっ…」
「ま、まぁほら、泣かないで、ね?」
「ほんと、デリカシーなくて、ぐすっ、」
「うんうん、わかるわかる(もう寝てもらおうかなぁ…)」




部屋に入ってポツリ、ポツリ、と現状を話していたら、遠征疲れもあり、その日はいつの間にか寝ていた。




「(いくら暴言吐かれたとは言えフィーナがリヴァイ引っぱたいた、ねぇ…。とりあえず明日のことは考えず、)寝るか…。」




久しぶりのベッドは、いつものベッドと違ってどこかひんやりとしている気がした。

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