Attack On Titan


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ラブソングをキミに


結成 7


「調査兵団が帰還したぞー!!」
「開門!開門ーー!!」


今回の新兵初遠征兼私の復帰後初遠征も、無事終わりを迎えるべく、トロスト区壁門前までやってくることができた。
………今回はほんっと、散々だった!
いくら久しぶりだからとは言え、オルオとぺトラと共に「繊細同盟」なんてものを結ばされるようなことになっちゃうし、オルオには裸を見られるし、なのに見せた私の方が見たオルオの心配をするくらいオルオが可哀想に思えてくるし…。
怪我以前の遠征とは、どこか違った今回の復帰遠征は、ほんっとうに、疲れた。
早く自室に戻ってゆっくり休みたい、そう思った時だった。


「解散前に1ついいか。」


エルヴィンさんが、みんなを呼び止め、話しだした。


「グンタ・シュルツ、オルオ・ボザド、それからぺトラ・ラル。以上3名を明日付けでリヴァイ兵士長の班への異動を命じる。他の者へは追って連絡する。」


ザワッ、と一瞬ざわめきが起こった。
…リヴァイさんの班に、新兵を2人…。
オルオの能力なら、リヴァイさんの班に入る資格は十分すぎるほどある。
そのオルオの能力を最大限にサポート出来るであろうぺトラを入れるのもわかる。
…そして、リヴァイさんの言動から、恐らく遠征後、2人を自分の班に入れようとしていたことも予測は出来た。
…だけど…。


−お前程度の兵士が俺の班にいたら俺が仕事出来ねぇだろうが−


どこか胸が痛いような、そんな感覚に囚われた。




「兵長ぉぉ!!」
「………なんだ、オルオ。」
「ありがとーございますっ!ありがとうございますっ!俺!!死ぬ気で頑張るっすっ!!!」
「…あぁ、そうだな。『死ぬつもり』でついて来い。」
「はいっ!!!!」



「当初の予定通り、エルドはこの遠征限りの班員だったが、リヴァイのところ戻っても頑張れ。」
「分隊長…(あれまさか俺しか止める人間いねぇとか言わねぇだろうな…。あの人止められるわけねぇだろ…)」
「(オルオの奴、自分から死にに行った…)頑張れよ、エルド…。」
「(落ち着くまで戻りたくねぇ…)ゲルガーさんまで…。」
「酒ならいつでもつきあってやるぞ(俺リヴァイ班じゃなくてほんっと良かった)」



「ナナバ、」
「なんだい、ディータ。」
「…あれはなんの意図があるんだ?新しい形の公開処刑か?」
「(まぁそう思うだろうな…)いや、でも実力的にも十分資格ある、って話だよ。」
「そうなのか?」
「それにディータは『あのこと』言ってるんだろ?それならリヴァイ気にしてないみたいだし。」
「え?」
「うん?」
「…………どこらへんが気にしてねぇって?」
「え?…いや、本人がそう言ってたけど?」
「…………お前、リヴァイの右手見なかったのか?」
「うん?右手?」
「リヴァイが右手の拳に包帯巻いてテントに戻ってきた翌日、野営地近くの廃墟の壁に大穴が開いてたんだ。まるで『殴られたような』跡だった…。」
「…………」
「包帯巻いてた戻ってきた日は確か、ハンジ中心に『あのこと』が兵士の間であっという間に広がった日の夜だったはずなんだが、俺が気にしすぎなのか?」
「…オルオ、あぁ見えてまだ18歳なんだって。可哀想に…。」
「短い命だったな…。」




「フィーナ!」
「え?うわっ!?」


名前を呼ばれて振り返ると、ぺトラが飛びついてきた。


「私っ!兵長の班になったよっ!!!」
「う、うん、聞いてた、よ…?」


興奮のあまり、ぎゅうっと抱きついてきたぺトラ。
…あぁ、この人は本当に…。


「ありがとうっ!!フィーナのおかげだよっ!!」
「え!?い、いや、私なんにも、」
「ううん!フィーナが何か言ってくれたんでしょっ!?じゃなきゃこんなに早く兵長の班になんて入れないものっ!!」


私、本当に何も言ってない…。
なんて、こんなに興奮しているぺトラに水を差すようなこと、言えなかった…。


「こんなに早くっ!!長年の夢が叶うなんて思いもしなかったっ!!」
「……長年の夢?」
「そうっ!!!」


ぺトラは、金の髪を揺らしながら、頬を少し紅潮させて言った。


「調査兵団が壁外遠征に向かう時、初めて兵長を見て、なんてカッコいい人なんだろう、って思ったんだ!」
「…え?」
「絶対にあの人の傍で戦える兵士になろう、ってその時決めたの!」
「………」
「選ばれたからには、兵長に全て捧げて兵士としての使命を全うするから!」
「……そっか…。頑張ってね。」
「うん!本当にありがとうっ!!」


兵長に挨拶に行ってくる、と言ってぺトラは走り去った。
…ぺトラは、私から見ても実力のある、これからの調査兵団の兵士として必要な逸材だと思う。
だからリヴァイさんの班に入るのは、なんら不思議じゃない。


−選ばれたからには、兵長に全て捧げて兵士としての使命を全うするから!−


ぺトラ・ラルという新兵のことを、リヴァイさんに教えたのは、確かに私だ。
だけど…。


−お前程度の兵士が俺の班にいたら俺が仕事出来ねぇだろうが−


遠征から帰還したこの日(正確にはこの翌日)リヴァイさん、エルドさん、グンタさん、オルオ、そしてぺトラの5人で、調査兵団の精鋭中の精鋭と言われるリヴァイ班が結成された。

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