Attack On Titan


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ラブソングをキミに


結成 6


「私!大ッ嫌いなんですよね、人の容姿とやかく言う奴っ!!」


いつものように着火したハンジさんと、なぜか着火したぺトラさんの元、野営地はちょっとした混沌と化していた(ような気がする)
ぺトラさんの迫力に負けたオルオは、私に土下座までして謝ってきた。
…それはもう、公開処刑か何かのように…。
オルオまだ新兵な上初遠征なのに、私なんかの裸を見てしまったばかりに、遠征が嫌になって調査兵団辞めなきゃいいけど…。
なんて思いつつも、


「ぺトラ、さん。」
「はい?」
「ありがとう。」


ぺトラさんが「私のため」を思ってオルオを殴ったのは事実なわけで。
それはオルオに悪いな、とは思ってもやっぱりちょっと、嬉しい気もするから不思議だ。


「ぺトラです。」
「え?」


お礼を言った私を、ぺトラさんは真っ直ぐ見つめてきた。


「フィーナさんより年下で後輩なんで敬語、使わないください。あと『さん』もいりません。」
「あ、はい…。」
「あと私も敬語やめて、フィーナって呼んでいいですか?」
「あ、はい。」
「…ほんとにオルオが言った通りだ…。」
「え?オルオ?」


ぺトラさん…、ぺトラは困ったように笑った。


「『自分からフィーナに敬語使わないでくれ、俺も使わないからって言ったら良いって言ってくれて仲良くなった』って言ってたんで。」


まぁ…、間違ってはいない、けど、オルオのあれは、それだけじゃ、ない気がするんだけど、な…。


「私を認めてもらうためにもフィーナに私のことを知ってもらおうと思って…!」


グッ!と拳を握り締めたぺトラは、やっぱりどこか、眩しいような存在で。
少しだけ、目を細めた。




「リーヴァイ!」
「なんの用だ、クソメガネ。」
「ハンジ、私の用が終わったから、」
「オルオとフィーナの話聞いた!?ナナバも知ってる!?」
「(だからその話は私が去ってからしてくれ、と、今言おうとしたんじゃないか…)」
「あぁ、着替えを見ただなんだと言う奴だろう。知ってる。」
「えぇっ!?知ってるの!?オルオってばあろうことかフィーナの裸見たんだよっ!?リヴァイそれでいいの!?」
「(ハンジ…。あんたってほんっと…)」
「何がだ?」
「何が、って、裸見ちゃった上、オルオの奴『まな板に干しブドウ』なんて暴言まで吐いてフィーナの心は深く傷つい」
「仕方ねぇだろ、事実なんだ。」
「リヴァイ、あんたねぇ…(仮に事実でも恋人がそれ言っちゃダメだろ…)」
「あ゛?」
「で、でもさ!オルオは『あれで勃つ男いない』とまで言ったんだよ!?新兵にそこまで言わせていいのっ!?」
「他の男が勃たねぇなら願ったりじゃねぇか。」
「(…そういう斬新な解釈も出来るのか…)」
「裸見たんだよ!?それに対してやっぱり恋人としては、」
「お前ら何年調査兵団兵士として遠征してんだ?」
「「え?」」
「薄暗いテントの中で、ランプ点けてたとしても奥で着替えてりゃ入口からはよく見えねぇだろうが。入口あたりで着替えてりゃ話は別だが、フィーナの性格上、どう考えても隅で入口に背を向けこそこそ着替えるが関の山だ。」
「あぁ、確かにいつもそうだね…。」
「ならば見えてもせいぜい背中くらいだろうが。何を騒ぐ必要がある?くだらねぇこと考えてんじゃねぇよ。用がねぇなら俺は行くぞ。」
「あ、ちょっ、………あーあー、行っちゃった!」
「ハンジあんたねぇ、いい加減にしなよ?リヴァイ怒らせるようなことして何したいんだよ…。」
「何がしたいって?そんなのリヴァイの怒りの沸点を綿密に調べてどこまでなら弄り倒せるか検証したいからに決まってるじゃないか!」
「…1回ボコられただけじゃ懲りないんだ…。」



「エルヴィン、いるか?」
「どうした?」
「俺自身が見た結果と、エルドからの報告を聞いても、十分合格だ。」
「…そうか。」
「当初の予定通り、グンタ・シュルツ、オルオ・ボザド、そしてぺトラ・ラルを帰還後俺の班に入れてくれ。」
「それはまぁ、構わんが…、」
「なんだ?」
「…ちょっとした噂話を耳にしたんだが、」
「……………」
「その噂と言うのも、」
「『再び壁外でハンジやゲルガーのように自力帰還困難者を出したら、その次の遠征以降当面は俺を除外して行う』……お前が言った言葉、忘れちゃいねぇよ。」
「そうか…、ならいい。…あぁ、だからと言って壁内においてもあまり苛めてやるなよ?」
「…………」
「ま、お前の気持ちもわからんでもないが、な。」
「…………」
「貴重な戦力だ。ほどほどにな。」
「…理解した。」




「では、明朝壁内への帰還を目指す。」


その日の夕方、エルヴィンさんから帰還命令が下った。
…今回は怪我をすることなく、帰れそうだ。


「おい、フィーナ。」
「なんですか、ゲルガーさん。」


ホッとしたところでゲルガーさんが声をかけてきた。


「お前今、気抜いただろ?」
「え…。」
「いいか、遠征、ってのは兵舎に帰るまでが遠征なんだ。こんなところで気抜いてんじゃねぇ。」
「…………」
「なんだよ?」
「わ、たし、」
「あ?」
「…ゲルガーさんと同じ班になったこと、なかったから、知らなかったです、けど、ゲルガーさんて、班員のことちゃんと見てるんです、ね…。」
「当たり前だろ!同じ班の人間が怪我でもしたら大変じゃねぇか!!」


とにかく兵舎のベッドに入るまで気を抜くな、って言ってゲルガーさんは去っていった。
…ちょっと、意外。
と、言ったら失礼だろうけど…。
でもゲルガーさんの言う通り、こんなところで気を抜いてうっかり復路で大怪我、なんて洒落にならない。


「………」


すぅーっと、大きく深呼吸をして、帰還へ向けて、気を引き締め直した。

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