Attack On Titan


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ラブソングをキミに


結成 2


「ゲルガー。」
「お?なんだリヴァイ。」
「お前に頼みがある。」
「…頼み!?お前が!?」
「成功したら地下街でしか手に入らんような酒をくれてやる。」
「(どんな無茶ぶりされんだ、おい)な、なんだよ…?」
「次の遠征、フィーナに怪我をさせるな。」
「え、」
「新兵もいるんだ。無傷で、と言うわけにはいかんだろうが前回のような怪我をさせるな。」
「(コイツでもこういう感情あるんだな…)お前、そんなに心配ならエルヴィンに配置替えてもらえばいいだろ?」
「…無駄だな。」
「あ?」
「エルヴィンが私情を挟んで動いたことがあったか?ねぇだろ。言うだけ無駄だ。決定事項は覆らない。」
「まぁ…、そうだろうが…、なんで俺なんだよ?ミケはうちの兵団でNo2、お前に次ぐ実力があんだぜ?ミケに頼めばいいじゃねぇか。」
「ミケは駄目だ。」
「なんで?」
「ミケはエルヴィンと同じで『結果』重視だ。その過程で個を優先するようなタイプじゃねぇんだよ。」
「…」
「兵団において、人類において、必要なことを最優先にする。だからミケでは駄目だ。」
「…エルドは?お前の班だっただろ?」
「エルドは壁外での経験値が圧倒的に低く、まだ咄嗟の判断に弱い。実力的にみても、経験からみても、ゲルガーお前しかいない。」
「(コイツが俺にこういうこと言ってくることがまず驚きなんだが…)もし仮に、」
「なんだ?」
「仮にフィーナがまた大怪我したり最悪死んだらどーすんだよ?1度壁外出たら絶対助けられるとは限らねぇだろ?」
「お前がそんな心配する必要はない。」
「は?」
「フィーナが死んだ時はお前もこの世にはいないからだ。」
「…………」
「じゃあ頼んだぞ。」
「………頼んだ、っていうか、脅しに来ただけじゃねぇか……。」




「今日から新しい班編成で行動してもらう。」


翌日、エルヴィンさんが全員の前で新しい班編成の発表を行った。
昨日聞いた通り、私はミケさんの班で班員はゲルガーさん、エルドさん、オルオ、ぺトラさんだった。


「よ、よろしく、お願い、します。」
「おーぅ。」


今回の班編成で初めてミケさんの班になったわけだし、一応、と(主に)ミケさんに対して挨拶をしたら、なぜかミケさんの隣にいたゲルガーさんが返事をした…。


「良かったです、初めての遠征で女性の先輩がいてくれて!」


きらきらきらー、と眩しい笑顔で言うのはぺトラさん。


「で、でも、わた、しも、久しぶり、で、」
「あぁ、怪我されてたんですよね!もう大丈夫ですか?」
「は、はい。」


それは良かった、ときらきら笑顔で言うぺトラさん。


「あ、分隊長!これからよろしくお願いします!」


私が次の言葉に詰まっていると、ぺトラさんは私たちのところにやってきたミケさんのところに駆け寄り挨拶をした。
…卒がない。
すごいなぁ…。


「いたっ!?」


私がぺトラさんを見ていると、誰かに頭を叩かれて、振り返ると、


「ゲルガーさん。」


ゲルガーさんが立っていた。


「いいかフィーナ。お前に言っておく。」
「はい?」
「今度の遠征、お前はお前のことだけ考えろ。」
「え?」
「誰かが危なくなっても助けようだなんて思うな。ソイツらはミケがなんとかするから、お前は自分が生きて壁内に帰ることをまず第一に考えろ。」


そう言うゲルガーさんはすごく真剣な顔をしていた。


「…な、なん、か、」
「あ?」
「ゲルガーさん、に、そういう風に言ってもらえるとは、思いもしなかった、です。」
「バカ野郎!俺だって心配なんだよっ!」
「…あ、ありがとう、ございます…?」
「とにかく、お前は自分第一に考えろ、いいな?」


そう言って去っていったゲルガーさん。
…ほんと、ちょっと意外だったけど、でも今の言葉で、今回は前回のような怪我なんてできない、って少し、気が引き締まった気がした。




「ゲルガー。」
「なんだよ、ミケ。」
「俺もお前がフィーナにあぁ言う風に言うとは思わなかったぞ。」
「…フィーナに何かあったら俺がリヴァイに殺されるかもしれねーんだぞ!?心配して当たり前だろうがっ!!」
「まぁ…お前はその程度だよな…。」
「『その程度』じゃねぇ、1番大事なことだろうがっ!!」




「フィーナ!同じ班だな。」
「オルオ!よろしくね。」
「いよいよ壁外か…!俺の華麗な立体機動をミケ分隊長にお見せしぐはっ!」
「…大丈夫?」


同じ班になったオルオは、相変わらず大事なところで舌を噛む。
いつか噛み切るんじゃないかとさえ思うほどだ。


「フィーナさんて、オルオとは仲良いんですね。」
「え?」


そう言われて振り返ると、ぺトラさんが立っていた。


「い、や、仲が良い、って言う、か、」
「なんだぺトラ、それは嫉妬ってやつか?モテる男は辛ぇな!」
「はぁ?バカじゃないの。」


調査兵団の天使、ぺトラ・ラルさんは、その見た目とは違い意外と辛辣に話す人のようだ。


「オルオ、と、」
「はい?」
「つきあい、長い、の?」
「私ですか?訓練兵団入団式の日からです。」
「入団式?」
「はい。たまたま隣同士で整列してたんですが、教官に自己紹介しようと話し始めたオルオが舌を噛んでなんてバカな男なんだろう、と思ったのが始まりです。」
「…そう…。」


この人こんなに可愛い顔して、意外とリコちゃんタイプかもしれない…。


「今回は仮編成の班になるらしいが、壁外でもこのメンバーで活動していくことになる。まぁ…、それなりにやっていってくれ。」


ミケさんの言葉に各々頷き、間もなく新兵初遠征兼私の復帰後初遠征が行われる。

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