Attack On Titan


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ラブソングをキミに


restart 4


私が最後にここに来たのは2週間前。
その3日後に、今年度の新兵入団式が行われた。
つまり調査兵団に新兵が増えたわけだけど、今年の調査兵団には、


「ぺトラ・ラルです。よろしくお願いします!」


天使がやってきた。


「フィーナ・スプリンガー、です。よろ、しく、お願い、します。」


綺麗な金の髪をなびかせる天使の名前はぺトラさんと言うらしい。
ぺトラさんはまだ10日しか経っていないなんて感じさせないくらい、


「お!ぺトラここにいたのか?お前さぁ、」
「ゲルガーさん!それ、昨日言ったじゃないですか!」


調査兵団に馴染んでいた。
はきはきと答えるぺトラさん。
それに同調する先輩兵士たち。
…入団式にいなかったのは、私だけど…。
どこかぬけ者にされたような、おかしな感覚に陥って、輪の中に入れずにいた。


「…つ、かれ、た…。」


訓練兵団から戻ってきた日の午後から早速、新兵の訓練に参加させられた…。
一応、2週間ではあるものの、訓練兵の訓練に少し、参加させてもらってたわけだけど、やっぱり新兵訓練とはぜんぜん違う。
即実戦を視野に入れてる分、新兵訓練の方がハードだ。
それを久しぶりに受けたものだから、夜、自室に戻る頃にはふらふらになっていた。
…明日筋肉痛かもしれない…。
リヴァイさんが戻ってくるまで、少し横になってよう…。


「おい。」


あ、リヴァイさんの声がする…。


「おいフィーナ、起きろ。」


体が、重いなぁ…。


「おい、朝だって言ってんだろ、さっさと起きねぇか!」
「…………朝!?」


ガバッ!と飛び起きると、室内は清々しい朝日が入り込んでいた…。
………う、うそ!
私あのまま爆睡したの!?
チラッとリヴァイさんを見ると、


「…………」


いつもと変わらず、朝の支度をし始めていた。


「あ、の、」
「あ?」
「…すみ、ま、せん…。」


少しの筋肉痛で軋む体を立ち上がらせそう口にした。


「何の謝罪だ?寝坊したことか?」
「あ、いえ…。昨日、リヴァイさんが戻ってくるまで、少し寝てよう、って思ったら、そのまま寝てしまって、」
「期待してねぇから、寝たきゃ寝てろ。」


無表情に言うリヴァイさんに、ぐっさり、と、胸に何かが刺さった気がした。
…そんな面と向かって「期待してない」って言わなくてもいいじゃないですか…。
これでも一応、戻ってきたら起きよう、って思っていたんです、よ…?


「俺のことより自分を優先しろ。」
「…え?」
「体が慣れるまで仕方ねぇだろ。寝たきゃ寝てろ。無理に起きてる必要もなければ起きる必要もない。」


わかったらさっさと支度しろ、とリヴァイさんは言った。
………あぁ、私、本当に戻ってきたんだな、って。
リヴァイさんの、あまりにもリヴァイさんらしい言い方に、本当に戻ってきたんだって、思えた。


「リヴァイさん、」
「なんだ?」
「ただいま、です。」
「…………あぁ、おかえり。」


支度をしながらも、少しだけ私の方へ顔を向けそう言ったリヴァイさん。


「少し、」
「あ?」
「筋肉痛で、」
「あぁ。まぁ…、頑張るんだな。」


すごく会話が続くわけでもなければ、全く会話がないわけでもない。
でもそれが、とても心地よかった。


「…悪い、起こしたか?」


その日の夜も、とてもじゃないけど起きていられず、朝言われた通り、リヴァイさんが戻ってくる前に寝ていた私。
フッと目が覚めた時、ちょうどリヴァイさんがベッドに入ってきたところだった。


「!」
「………」


リヴァイさんの心臓の音が聞こえる。
とくん、とくん、と、心地いい、生きている音。
この世界できっと、1番、安心する音。




「…で、寝るんだな(だからどうして意識が飛んでる時しか抱きついてこねぇんだ、コイツは)」
「…」
「まぁ…、お前らしいがな…。」




とくん、とくん、と。
止むことのない音を耳に、深い眠りについた。

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