Attack On Titan


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ラブソングをキミに


restart 2


「やぁフィーナ。順調に回復と聞いたよ?」


その日の午後、リヴァイさんと2人(俺も行くって言うから一緒に来た)エルヴィンさんの元に行くと既に報告を受けていたらしいエルヴィンさんに出迎えられた。


「はい、もう簡単な運動を始めていいそうです。」
「そうか、それは良かったね。」
「エルヴィン。いつ復帰させる気だ?」
「…今聞いたところでそんな直ぐに結論は出せないだろう。」


リヴァイさんの言葉に、エルヴィンさんが苦笑いしていた。


「あちらの都合もあるだろうし、私からもキース教官に書面を送るから、そこで話し合って、と言うことになるな。」


早ければ10日前後、遅くとも1ヶ月はかからないだろう、って言った。


「なんか、不思議です。」
「あ?」


キース教官に渡す書面をエルヴィンさんから受け取り、訓練兵宿舎に戻る前に食堂に立ち寄りコニーとサシャにあげようと思ったパンを買っている時に、ポロリと口から漏れた。


「何がだ?」
「…早く、ここに帰りたいな、って思ってたんですが、いざ早ければあと10日、って言われたら、どこか寂しい気もするんで…。」


104期のみんなとも後少しでお別れ、って思うと、やっぱりどこか、寂しい気がする。
みんな私よりも年下なせいか、弟、妹みたいで可愛いし(一部ライナーやベルトルトみたいにすごく大きい子もいて弟には見えないけど…)
さすがにエレンのように「お姉さん」て言ってすごく懐いてくれた子は他にいないけど(食べ物をあげると「お姉さま」と言うサシャは別として)みんな、良い子たちばかりだから…。


「じゃあそのままそこに居続ければいいじゃねぇか。」


私が104期のみんなのことを思っていたら、リヴァイさんがバッサリと切り捨てるように言ってきた。


「そ、んな、ことは、しない、です、けど…。」
「ならさっさとガキ共におさらばしてくるんだな。」
「…リヴァイさんも、」
「あ?」
「104期を見てみたらわかりますよ。みんな良い子たちばかりですから。」
「『うち』に来るかもわからねぇガキに興味はねぇよ。」


フン、とでも言いそうな勢いのリヴァイさんに苦笑いが出た。


「…お前、弟にそんなに買って行くのか?」


これも食べるかな、あれも食べるかな、とトレーに入れてったら、リヴァイさんがツッコミを入れてきた。


「これはコニーに、って言うより、サシャにです。」
「サシャ?」
「はい、コニーの………ガールフレンド?」
「……あのバカガキ訓練しねぇで何やってんだよ。」


憲兵落ちたな、と言うリヴァイさん。


「あ、でもサシャも上位10人に入りそうな子なんですよ?」
「女が出来が良くてもテメェがバカなら意味ねぇだろ。」


………そのバカは、私の弟だって、わかって言ってるんですよ、ね…?
相変わらずなコニーに対するリヴァイさんの態度に、小さくため息が出た。
パンも買って、訓練兵宿舎へと向かう馬車までリヴァイさんが送ってくれた。


「わかってると思うが、」
「はい?」
「筋肉落ちてんだ。いきなり訓練兵と一緒になって訓練してんじゃねぇぞ。」


心配、してくれてるんだろうと思うけど、その言い方があまりにもリヴァイさんで、苦笑いが出た。
そしてそのままリヴァイさんに見送られて、1人宿舎へと向かった。




「おい、エルヴィン。」
「どうした?リヴァイ。フィーナは戻ったのか?」
「さっきの話だが、」
「うん?」
「10日でこっちに戻すって、お前まさか次の遠征から同行させる気じゃねぇだろうな?」
「…どうだろうな?」
「半年近く前線離れてた奴が直ぐに壁外に行けるわけねぇだろ。」
「そんなこともないだろう。」
「あ?」
「お前が2班分見ればいいだけの話じゃないか。」
「……テメェ、ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ。」
「半分本気だがな。…俺としては今年度の新兵初遠征には同行させたいと思っている。復帰間もないことを考慮した上でも短期遠征が望ましいんでね。」
「…次の遠征から同行ってことじゃねぇか…。」
「だがまぁ、さすがに索敵班にはしない。今度こそ死なれても困る。」
「……相変わらず、」
「うん?」
「腹の内明かさねぇ野郎だな。」
「それはお前もだろう。…まぁ安心しろ。今回は班数を減らし、編成も大幅に変える予定だ。復帰後すぐだろうとそれなりに動けるだろう。」
「…………」




「なるほど…。」


訓練兵施設兼宿舎に戻り、キース教官に会いエルヴィンさんから預かった書類を渡すと、それを見ながらキース教官は呟くように言った。


「…エルヴィンは早急に戻ってきてもらいたいようだが、」
「え?」
「そうだな…、後2週間くらいなつもりでいてくれ。」
「…はい。」


ここにいる間に出来る訓練に参加しても良いと言われ、部屋を後にした。
…あと2週間。
そう考えると、やっぱり寂しい気がする…。


「姉ちゃん!ちゃんと休めた?」
「コニー。あ、これコニーにお土産ね。」
「まじで!…え、なんでパンばっかこんなにあんの?」
「サシャが食べるかなぁ、って。」
「は!?なんでアイツ餌付けすんの!?俺が全部食うし!!」


誰がやるか、って勢いでパンを抱えたコニー。


「でも、」
「うん?」
「仲良くしてもらいたいなぁ…。私あと2週間で調査兵団に戻るし。」
「…………なにーーーっ!!!?」


もっとゆっくりしてけよ、と叫ぶコニーを前に苦笑いが出た。

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bkm

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