Attack On Titan


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ラブソングをキミに


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「リヴァイ、さん。」
「…」
「朝、です、けど…?」


翌朝、いつの間にかベッドに移動していたらしい私が目が覚め時計を見ると、そろそろリヴァイさんを起こさなければいけない時間になっていて。
何度となく声をかけるけど、リヴァイさんが起きる気配はなかった。


「リヴァイさん…?」
「……るせぇなぁ、もう少し寝かせろ…。」


目を瞑ったまま、眉間に3本くらいシワを刻んで言ったリヴァイさん。
………いやいやいやいや。


「で、でももう起きないと、」
「あ?なんで?」
「え?なんでって、なん、で…?」


私の言葉に、ようやく目を(辛うじて)開けたリヴァイさんは、相変わらず眉間にシワを寄せたままだった。


「なんで休みの日まで早く起きねぇとなんだよ?」
「え?今日、休み、なんです、か?」
「はぁ?」


私が聞き返すとリヴァイさんはお前何言ってんだ?的な声をあげた。


「お前が休暇を催促するような手紙を寄越したんだろうが。」
「そっ、」


そんなこと一言も書いてないじゃないですかっ!!
なんて思ってはいても、


「そう、でした、っけ…?」


口から出た言葉は、いつものように違うものだった。


「それで『わかった』と送っただろう。」
「…………そうですね…。」


あのたった一言だけしか書かれていない紙からどうやって今日休暇を取ったってことを読み取るんですか…!!!
なんて思ってはいても、そんなこと言えるわけがない私は、目覚めちまったじゃねぇか、とぼやくリヴァイさんに、すみません、と言うしかなかった…。
…………だけどこんな自信満々に言われるってことは、私の書き方が悪かったんだろうか…?
私本当に、休暇を取ってって受け止められるような書き方したつもりなんてないんだけど…。
…あれ?やっぱり私のせい…なの、か、な…?


「それで?」
「え?」
「この時間に俺を叩き起こしたからには相応の償いはあるんだよな?」
「え…?ち、ちょっ、」
「あ゛?」


償いはあるんだよな?と言う言葉と共に、昨夜のように私の首筋に顔を埋めてきたリヴァイさん。
突然のことに、リヴァイさんの胸元を押し返すと、ものっっっっっすごい機嫌悪そうに体を起こしながら声を発せられた…。


「……………」
「……………」


そして昨夜同様、何故かベッドの中で無言で見つめあっている私たち…。
…………無言どころか、身動ぎ1つ、出来ない……。
私を見下ろすリヴァイさんは相変わらずの無表情で…。


「お前のいない遠征から無傷で帰ってきてやったんだ。」
「え?」


どうしよう、どうしよう、と見つめあったまま考えていたら、リヴァイさんが口を開いた。


「少しは労わったらどうだ?」


…………労わるって言葉の意味、知ってますか……?
弱い立場にある人に親切に接することですよ?
…自分のこと「弱い立場」だなんて微塵も思ってないです、よ、ね、その言い方…。


「なんだ、労わってくれないのか?」
「え?…や、べ、別にそんなことは、」


押し黙っていた私に、リヴァイさんは変わらず無表情のまま言ってくる。


「じゃあいいじゃねぇか。」


そう言って私の前髪を少し横に流し、傷痕にクチビルを落とした。


「そ、」
「あ?」
「…そ、れは、ずるい、です。」


ラガコ村のママたちには、怪我したことを伝えずにいた。
…のに、コニーが姉ちゃんが足折って杖ついてる、って盛大に報告してくれたおかげで、ママたちが慌てて訓練兵舎にやってきたことがあった。
なんとか必死に髪で隠しているから、コニーは気づいていない。
でも、


−ねぇ、フィーナ。あんた、そんな癖あったかい?−
−え?癖?−
−こう…、前髪を引っ張る癖だよ−


ママの目は、誤魔化せなかった。
額から眉尻にかけて出来た傷痕を見せたら、ママはよく生きて帰ってきてくれた、って、泣きながら抱きついてきた。
パパは髪で隠れるから大丈夫だよ、って少しだけ、困ったような顔をしていた。
あぁ、やっぱり私は、それだけの怪我をしてしまったんだ、って、思った。


「何がずるい?」


この傷痕は、なるべくなら人に見せない方がいいんだ、って、そう、思っていた。
なのに、こういうことされると…。


「………おい、今泣くところか?」


リヴァイさんの行動に、みるみる視界が滲んでいった。


「リヴァイ、さん、も、」
「なんだ?」
「少し、は、労わって、ください、」


わかってる。
リヴァイさんは、すごく優しくて、私をすごく、労わってくれている。
でも、このことに関しては、今は、触れないでいてほしい…。


「…あぁ、気をつける。」


両手で目元を隠して涙を流す私の、言葉にならない言葉をまるで聞いたかのように、リヴァイさんは私の前髪を元に戻した。
そして、私の両手を退かし涙が溢れている目尻に、さっき額の傷痕にしてくれたように優しくクチビルを落とした。

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bkm

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