Attack On Titan


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ラブソングをキミに


焦燥 7


一通り掃除が終わって、1人早い夕飯を食べて、そのままお風呂にも入って、としていたら、気がついたら辺りは暗くなっていた。


「おかえり、なさい…。」
「あぁ、………今帰った。」


リヴァイさん待ってろって言ったけど暇だなぁ、なんて思いはじめた時、いつもよりも早いと感じるような時間でリヴァイさんが部屋のドアを開けた。
……………。


「なんだ?」
「あ、いえ…、お疲れさま、です…?」
「あぁ…。」


そう言うと、ソファに座り、ブーツを脱ぎはじめたリヴァイさん。
…たぶん、これがきっと極々普通のことなんだろうと思う。
だけどなんだろう、今すごく感動してる自分がいる…。
それくらい、やや取ってつけたような感じもしなくもない、リヴァイさんの「今帰った」に衝撃を受けた。


「お前メシは?」
「え?…食べ、ました、けど。」
「そうか。俺は風呂入ってくるから、そこの棚にある酒と、つまみを適当に用意しててくれ。」
「お酒飲むんですか?」
「あぁ、お前もつきあえ。」


そう言って、リヴァイさんはお風呂へと向かった。
………リヴァイさんが部屋でお酒を飲むことはあっても、「お前もつきあえ」って私を誘ってくるって珍しい…。
そこの棚、と言われた場所からお酒を出そうとしたら、


「…どれがいいのかわからない…。」


3本ほど、飲みかけのボトルが置かれていた。
うーーーーーーーーーーん…。
どれがいいのか…。
ラベルの字を読むと、ウォッカ、リキュール、ラムと書かれていて…。
…ウォッカとリキュールって、なんかアルコール度数高いイメージがある…。
「お前もつきあえ」って、ことは、きっと私も多少は飲まなきゃなんだから、それはちょっと、なぁ…。
なら、と、1番無難そうなラムを手に棚を閉めた。
あと、は、おつまみ…。
ラム酒に合うおつまみ、って、何…?
…………………1人で悩んでても答えが出るわけがない。
ここは素直に人の力を借りてこよう…。


「はい?」
「…ナナバさん、」
「フィーナ!帰ってたのか!」


ラム酒に合うおつまみに困った私は同じ階に部屋のある、ナナバさんのところを訪れた。


「あ、また明日戻るんですけど、」
「え!?また戻るのっ!?」
「え?」
「あ、いや…。…フィーナがいないとちょっと大変でね…。」
「え!?す、すみません、私、ご迷惑を、」
「あぁ、いや、フィーナが迷惑かけた、って言うか主にハンジの歯止めが利かない、って言うか、」
「え?」


ナナバさんが、うーん、と腕を組みながら唸るような声を出した。


「まぁ、それもあと少しみたいだけどね。」
「はい?」
「足。松葉杖、取れたんだ?」
「あ、あぁ、はい。これから少しずつ訓練にも参加するので、」
「ほんと?じゃあもうすぐ復帰だね。」


良かった良かった、とナナバさんが笑った。


「で?どうしたの?」
「あ、あの、ナナバさん、お酒、わりと飲むじゃないですか、」
「うん?」
「…ラム酒に合うおつまみ、知りません?」
「え?」


なんで?と聞かれたことで理由を答えると、あんたも大変だね、と苦笑いされた。


「ちょうど家から送ってもらったドライフルーツあるから持ってく?」
「い、いいんですか?」
「うん、ちょっと多すぎて困ってたんだ。持ってって持ってって。」
「あ、ありがとうございます…!」


ナナバさんにラム酒にも合うと言われたドライフルーツを分けてもらい、部屋に戻ってしばらくするとリヴァイさんが戻ってきた。


「…………お前がこれを飲むのか?」
「え?」


テーブルに用意したボトルをしげしげと見た後、リヴァイさんが言った。


「か、変え、ま、しょう、か?」
「いや…、構わん。」


キュルッ、と蓋を開け、グラスにお酒を注いだリヴァイさん。
無言のまま、ほら、とでも言うようにグラスを私に差し出してきた。


「あ、ありがとう、ございます。」
「一気に飲むなよ?」
「はい?」


リヴァイさんは言い終わるとグィッ、と一気にグラスを傾け、それにつられて私も手渡されたグラスを傾けた。




「…ん…。」
「気がついたか?」


フッ、と目を開けると、世界が横になっていた。
…………………え?


「お前、俺の話聞いてなかっただろう。」
「ぇ、」


リヴァイさんの言葉に、思った以上に掠れた声が出た。


「普段飲まない奴が度数78%の酒を勢いよく飲んだらぶっ倒れても不思議じゃない。」
「え!?きゃっ!?」
「寝てろ。」


リヴァイさんの言葉に、今横になっているんだと言う事実に飛び起きたら、ガッ、と頭を抑えられて再び横にさせられた。
…リヴァイさんの右腿を枕に…。


「な、78、パーセント、も、あるお酒、だったんですか…?」
「…ラベルに書いてあるだろ。」
「そ、そう、だったん、です、ね…。」
「そもそも何故これにした?」
「ラ、ラム酒が、1番飲みやすそう、だったんで、」
「あの中でこれが1番強い酒だ馬鹿が。」
「………す、みま、せん…。」


リヴァイさんのちょっと硬い腿にぺタリと頬をくっつけていると、リヴァイさんが器用に私の髪の毛先をくるくると弄りはじめた。
……………う、動くに、動けない…。
リヴァイさんがくるくると自分の指先に私の毛先を絡めているものだから、微動だに出来ずにいる私…。


「フィーナ。」
「は、はい?」


そんな私を知ってか知らずか、リヴァイさんはくるくると指を絡める。


「お前、怪我は?」
「あ、は、はい。今日診てもらったら、もう訓練をし始めてもいい、って、」
「いつ復帰する?」
「さ、さぁ…?それ、は、エルヴィンさんや、キース教官と話し合わないと、っ!?」


私が話している途中で、リヴァイさんが横になっていた私を抱き上げた。

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bkm

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