Attack On Titan


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ラブソングをキミに


心の距離 7


バタン、と自室のドアを閉めた後、リヴァイさんは担ぎ上げた私をベッドに座らせるように下ろした。


「………おい。手を離せ。」


ベッドに私を座らせ、離れようとしたリヴァイさんの首に抱きついたら、手を離せと言われた。


「もっ、と、一緒に、いたい、です…。」


そう言った私の耳元で、リヴァイさんが息を吐いたのがわかった。


「あぁ。いてやるから、1回手離せ。」


ぐすっ、と鼻を啜りながら手をゆっくり離すと、中腰でベッドに立ち膝を立てていたリヴァイさんと目が合った。


「…俺は風呂入って来るからここで大人しく待ってろ。」


頭をくしゃり、と撫でた後、リヴァイさんはお風呂の支度をして部屋から出て行った。
…あぁ、久しぶりのリヴァイさんのベッドだ。
リヴァイさん、の、匂いが…。




「(まぁ…予想の範疇だが、やっぱり寝てたか…)おい、フィーナ起きろ。」



ほんの一瞬のような時間、目を瞑っていたら、リヴァイさんの声が聞こえた。


「起きねぇなら襲うぞ。」


リヴァイさんの声に、うっすら目を開ける。
暗い部屋のせいか、まだまだ頭がボーッとしていた。


「…ぉ…」
「あ?」
「そ、って…、」
「…………」


リヴァイさんのベッドはとても心地が良い。
まるで、ふわふわと、浮いているようだ…。




「この女っ…(言うだけ言って寝やがった…!)」
「…ん…」
「言い逃げしてんじゃねぇよ、クソが…。」




「…んー…。」


翌朝、って言うかもしかして昼?目を覚ましたら、リヴァイさんはすでにいなくて。
なんだか今だ寝たりないような気がする頭を抱えながら(しかも若干痛い)起き上がった。
……なん、か…。
私昨日、とんでもないことを口走ってた気がするんだけど…。
…途中からパニくって、はっきりとは思い出せないけど…、それでもリヴァイさんに何か喧嘩を売るようなことを言ったのは覚えてる。
………急激に、脳が冷えていくような、そんな間隔に陥った。
やだ、どうしよう。
別に私喧嘩したかったわけじゃないのに、だいぶ酷いこと言った気がする…(覚えてないけど)
どうしよう、どうしよう。
謝る…?でも…。
そもそも私どうやってこの部屋に来たの…?


「随分お早いお目覚めだな?」


1人あわわ、と考えてた時、不意にドアが開いてリヴァイさんが入ってきた。
チラッと時計を見ると、お昼の休憩時間に差し掛かっていた。


「あ、の、私、」
「…」
「昨日、は、そのっ…、」


何をどう言おうか、頭の中で組上がっていないうちに言葉を発してしまったため、その先の言葉が続かなかった。


「フィーナ。」
「は、はい!」
「そこに座れ。」


そこ、と言いながら、リヴァイさんはソファを指差した。
一瞬躊躇ったものの、言葉が出てこない私は、言われた通り、ソファの端の方に座った。


「…あ、の…?」
「…」
「…!?」


座ってどうするのか、と、リヴァイさんを見たら、リヴァイさんは無言で私の座っているソファに近づき、そのまま横になった。
…私の左腿を枕代わりにして。


「あ、あのっ!」
「うるせぇ、黙ってろ。」


リヴァイさんは顔をしかめてそう言う。
…いや、でもだってこの状況は…。


「わ、私、足の怪我が、」
「はぁ?それ右足だろ?左は関係ねぇじゃねぇか。」
「…そう、です、け、ど、」
「俺は眠ぃんだよ。少し寝かせろ。」
「は、あ…。」


そう言って動かなくなったリヴァイさん。
…………これは、どう解釈すればいいんだろうか?
嫌いな人の膝枕なんて、しないと思う。
だから、昨日の私が喧嘩越しで言ったことを聞いても、リヴァイさんに嫌われたわけじゃない、と思う。
…でもじゃあ、この異常なまでの機嫌の悪さは何?
私がぐるぐるとリヴァイさんの寝顔を見ながら考えていた時、


「…挨拶は、まぁ…、気をつける。」
「え?」


目を閉じながら、リヴァイさんが口を開いた。


「手紙は…、字の添削ならまだしも、そういうのは苦手だ。俺に期待するな。」


目を閉じているのに、眉間にシワを寄せながら話すリヴァイさん。


「ウォール・シーナのことは、また連れてってやるからそれでチャラにしろ。」


私の腿に頭を乗せ淡々と、話すリヴァイさんの顔を、ただ黙ってみていた。


「荷物については、今本部の改築するとかで俺が使っていた部屋が使えなくなって、そこにあった荷物を半分ここに移動させる時に少し動かした。」
「…」
「だから今ここは寝室兼執務室みてぇになってて、イルゼに限らず、男も女も出入りするが、俺のベッドに入ることを許可してるのはお前だけだ。」


リヴァイさんはそこまで言うとゆっくり目を開けた。


「後は、俺はお前のなんなのか、って奴だが、逆に聞く。お前は俺の何だ?」
「…え?」


そう言いながら、起き上がり、私を見据えてきたリヴァイさん。


「部下か?友人か?それとも…。」
「…っ、…ん…」


久しぶりのリヴァイさんのキスは、すごく、熱っぽい気がした…。
舌が絡まり、縺れあい、気がつくとソファに横になっていた。


「俺の女か?」


見上げたリヴァイさんは、相変わらず無表情。
でもその瞳はとても…。


トントン


「…チッ!……入れ。」


部屋に響いたノック音に体を起こし答えたリヴァイさんに習うように、私も体を起こした。


「失礼します。兵長、この書類、フィーナ!」
「エルドさん!」


部屋に入ってきたのは、エルドさんだった。


「兵長、この書類を団長から預かってきました。」
「貸せ。」
「どうぞ。………帰ってきてたのか?」
「少し、用があったので…。でも午後には戻ります。」
「そうか…。足は?よくなってきたかい?」
「それもついでに診てもらおうと思って、」
「あぁ、そうだな。そうしてもらった方がいい。」


リヴァイさんに書類を持ってきたエルドさんと、少し談笑していた。


「エルド。」
「はい。」
「これを誰からでもいい、分隊長に回せ。」
「はっ!……じゃあフィーナ、お大事に。」
「はい。」


エルドさんがパタン、とドアを閉めて出て行った。
…途端に思い出されるのは、エルドさんが来る直前の出来事で…。


「………………」
「………………」


この沈黙が気まずいのは、私だけ、だろう、か…?


「この後戻るのか?」
「え?…あ、はい。診療室に行って、怪我を診てもらってから、です、が、」
「そうか。」
「………」
「………」


ち、沈黙が…。
エルドさんが来たこともあって、ソファから立ち上がったリヴァイさんは、テーブルに午後から使うのであろう書類を出し始めていた。
それはたぶん、いつもの光景なんだと思う。
だけど…。


−部下か?友人か?それとも…俺の女か?−


「あ、あのっ、」
「あ?」


すぅ、っと息を吸い込んで、リヴァイさんに声をかけた。

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bkm

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