Attack On Titan


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ラブソングをキミに


乖離 2


「フィーナ!!」
「おいフィーナ!どうした!?」
「…ふむ。即効性は低いと聞いとったが、酒と混ぜるとちと危険じゃったか…。」
「え?」
「…ジジィ、テメェ何をした?」
「はて?なんのことかな?それよりその女性をそっちのソファに寝かせたらどうじゃ?」
「…………」
「なに、しばらくは起きんよ。」
「(この人薬を…)司令、私は、」
「おぉ、キミはそこにいてくれ。これから美味い料理が運ばれてくる。」
「…ですが、」
「万が一ワシが殴られでもした時、この若造がやったと証言してくれる人間も必要じゃからな。」
「…」
「…最初っからこれを狙ってたのか?」
「まぁそう睨むな。恐ろしくて縮こまってしまうわい。」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。テメェの目的は何だ?」
「せっかちな男は嫌われるぞ。とりあえずほれ、座らんかい。」
「どこで話を聞こうが俺の自由だ。さっさと喋ろ、クソジジィ。」
「やれやれ…。ならば単刀直入に言わせてもらおう。リヴァイ兵士長、どうじゃ『うち』に来ないか?」
「断る。」
「…だからせっかちな男は嫌われる、と言っておろう。…リコ・プレチェンスカと言ったかな?」
「はっ!」
「先日お主はこの眠れる美女と共に『このまま平和が続くこと』を話しておったな?」
「はい。」
「ではお主に問おう。『この世界は本当に平和か?』」
「え…?」
「『真の敵』はどこにおる?壁外か?…それとも壁内か?」
「…」
「『あの』侵攻はそれで打ち止めなのか?…誰も討伐したところを見ていないのにも関わらず忽然と姿を消した超大型巨人や鎧の巨人はどこへ行った?自然と消滅したのか、壁外へと戻って敵さんも力を蓄えている最中なのか…。ならばワシらが『今』すべきことはなんだ?」
「…」
「ワシらには力が必要だ。…あの『小鹿』では物足りん。もっと屈強な、お前のような男が必要だ、リヴァイ兵士長。」
「………」
「調査兵団にお主が必要なのは十分承知の上じゃ。…だがな、リヴァイよ。ワシらにも、お主は必要な男だと言うことは知っておいてもらいたい。」
「………」
「時に調査兵団は、次の遠征で配置換えをするそうじゃな。」
「…ジジィ、それをどこで聞いた?まだ正式発表されてねぇだろ。」
「ワシを見くびってもらっては困る。…エルヴィンもまた思い切ったことをする。だがあの配置、本当に『眠れる美女』になってしまうぞ。それがわからんほどの馬鹿でもなかろう。」
「………」
「ワシなら、お前さんら2人くらい容易に抱え込めるんじゃがな。」
「…交渉は決裂だ。俺には全くその気がない。おい、帰るぞ。」
「え!?」
「ジィサンの下の世話するつもりなら止めねぇが、嫌なら着いて来るんだな。」
「し、下の世話?」
「はっはっはっ!いい、いい。次はその眠れる美女が目を覚ましてからにしようや。」
「…はぁ…。」
「おい、ジィサン。テメェには『借り』があるようだから今日は大人しく帰ってやるが、今度こんな茶番につきあわせたらその寿命俺が終わらせるからな。」
「いやいや、ワシは超絶美女にしか殺されんよ。」
「…」
「…『眠れる美女』は王子のキスで目を覚ますそうじゃが、さて、現実はどうなんじゃろうなぁ。」
「…おい、行くぞ。」
「では、」
「うむ。」
「失礼します…。」




「1つ、教えてほしいんだけど、いいか?」
「断る。」
「(このチビ…!)司令のあの言葉、どういう意味だ?」
「(聞いてきてんじゃねぇか、めんどくせぇなぁ…)」
「今度の配置換えでフィーナは、」
「『うち』の兵士になった以上、壁外で死ねるのは本望だろう。」
「お前それ本気で言ってるのか!?」
「喚くな、煩ぇ。」
「『お前たち』がフィーナをほしがったんだろう!?そんな捨て駒みたいに、」
「おい、クソメガネその2。」
「…ク、クソメガネ!?(しかもその2ってなんだその2って!!!)」
「俺たちには俺たちの考えがある。部外者が首突っ込むんじゃねぇよ。」
「………あぁ、そうか。じゃあそのことに関しては我慢してやる。でもな、フィーナの親友として言わせてもらう。こっちはお前みたいな性格捻じ曲がったチビに目つけられて迷惑してんだよ!」
「テメェには関わってすらいねぇだろうが。」
「お前が何かしでかすたびに泣きつかれるのは私なんだ!大体、結局聞かなかったようだけどお前、」




「う…ん…?」


ふわふわと、揺れ動く中で、リコちゃんの声が聞こえた気がした。
でも、


「………………」


目の前にいたのはリコちゃんではなく、リヴァイさんだった。
あれ?っと思ったけど、なんだか自分が宙に浮いているような気分で、どこか気持ちよくて、そのまま目を閉じた。




「………で?俺がどうした?」
「…もういい(安心しきった顔で寝るフィーナ見たら何も言えるわけないだろ)」
「…安心しろ。」
「え?」
「次の遠征、コイツは死なせない。」
「…」
「確かに最前列の索敵班に振り分けられたが、俺の班の隣だ。異変があればすぐ気づく。」
「…お前さぁ、」
「あ?」
「もうちょっとわかりやすい言動しないと、フィーナ絶対気づかないぞ。」
「…………」
「その配置がエルヴィン・スミスの意志なのか、それともお前の意志も組み込まれてるのかは知らないけど、」
「おいその2。テメェ調子に乗ってるとただじゃおかねぇぞ。」
「自分の女の親友の名前も呼べないようなクソチビに脅されてもなんとも思わないね。」
「…ジジィのところに捨ててくりゃ良かった。」
「あぁ、そこは感謝しとく。助かったよ、クソチビ。」
「…口の悪ぃ女だな。少しはフィーナを見習ったらどうだ?」
「お前にだけは言われたくないね。」




なんだか不思議な夢を見た。
リヴァイさんとリコちゃんが喧嘩してる夢。
…2人とも言い方キツいところあるからなぁ…。
でも、2人とも、とても優しい。
そう考えると実は気が合うんじゃないのか、なんて。
リヴァイさんとリコちゃんが言い争いしながらも、少しずつ打ち解けていくような、そんな夢を見た。

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