Attack On Titan


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ラブソングをキミに


あの日の少年 4


「姉ちゃん!こっち、こっち!」


翌日に壁外遠征を控え、近くにいるんだから、と、コニーの顔を見に行くことにした。


「入団式、大変だったでしょ?」
「そりゃーもう!俺張り切って敬礼したのにさぁ、」
「うん?」
「右手と左手間違えちまって一撃食らっちまったよ!」
「…そうなんだ…。」


私が訓練兵をしていた時とは教官が変わり…、今は先代調査兵団団長を勤めていたキース団長が、教官になったらしい。
…あのキース団長の前で右手と左手間違えて敬礼したらさぞや「痛い」洗礼を受けたことだろう。
あまりにコニーらしい「洗礼」に苦笑いが出た。


「同期の子はどう?仲良くなれそう?」
「ん?んー…、まぁ、仲間って言うかライバルだしなー。」
「…でも、『同志』だよ?」
「んー…、あ!でも1人カッコいーこと言う奴いた!」
「え?」


コニーが人差し指を立てながら、言った。


「エレン、て奴なんだけどさー、ソイツ『あの』シガンシナ陥落の時に巨人見た奴なんだけど、」
「…シガンシナ、の、エレン…?」


もう、顔もはっきり思い出せない。
けど…、


−お姉さん、お姉さん!−


「あの日」の少年の名前は確か…。


「あ!噂をすれば!おい、エレーン!」


コニーが呼んだ、その先には、


−約束だぜ!!−


もう2度と、果たされることなどないと思っていた、「あの日」の少年がいた。


「なんだよ?コニー。」
「お前調査兵団に入りてぇって言ってただろ?うちの姉ちゃん、調査兵団の兵士なんだぜ!」
「…まじでっ!?」


「あの日」の少年は、少しだけ、大人の顔つきになったような気がした。


「あ!あのっ!俺、エレン・イェーガーです!俺ほんとに調査兵団に憧れて、っ!!?」


でも変わらない、「あの日」と同じ、きらきらと輝いた瞳をしていた…。


「エレン…!良かった、無事だったんだ…!!」
「…………え?や、え、えぇーっと…?」


「あの日」私は騎乗していて、エレンを見下ろしていた。
けど、思わず抱きついたエレンは、軽く見上げるくらいの男の子だった。


「…おい、エレン。お前うちの姉ちゃんの何?」
「えっ!!!?い、いいいいいいや、俺が聞きたいけど、どちら様ですかっ!?」
「だから俺の姉ちゃんなんだけど、お前何?」
「えっ!!!?い、いやだって俺たち初めてですよねっ!!?」


私が夢の中ですら助けられなかった少年は、きちんと自分の力で、生きていてくれた。


「エレン。」
「ミ、ミカサッ…!」
「何、その女。」
「えっ!!!?い、いいいいいいや俺もよくわからないんだけどっ、お姉さん大丈夫ですかっ!!!?」


不意に聞こえた女の子の声に顔をあげると、


「…エレン、離れて。」
「お、落ち着けって!!いやだってお姉さん泣いてるだろっ!!!?」


「あの日」エレンの傍にいた、


「エレン、とりあえず落ち着いてこれが一体どういう状況なのか教えてくれないかな?」
「アルミン!!俺もよくわかんねぇんだよっ!!!!」


赤い、マフラーの女の子と、金髪が綺麗な男の子がいた。


「あなたたちも…!」
「「「え?」」」
「みんな、無事だったんだ…!」


エレンから離れて、後から来た2人に向かって口にした私の言葉を聞き、私の顔をまじまじと見た金髪の男の子があっ、とした顔をした。


「…お姉さん、もしかして、調査兵団の…?」
「…うん。」
「え!?アルミン知り合いかよ!!?」
「エレンは覚えてないの?ミカサは?」
「…誰?」
「ほら、『あの時』エレンが声をかけた、唯一壁外の話を笑い飛ばさずに約束までしてくれた調査兵団の、」
「『炎の水や氷の大地、砂の雪原』はまだ見つけてないけど…、ずっと続く、地平線ならあったよ?」


私の言葉に、エレンとミカサはハッとした顔をした。


「も、もしかしてっ、」
「うん。」
「シガンシナから出発する前に俺と『約束』してくれた、」
「うん…!みんなとまた会えて、本当に良かった…!!」
「…マジかよ…!!」


私を思い出したエレンは口に手をあて驚いた顔をしていた。
シガンシナに帰還した「あの日」
もう2度と、あの約束は果たせないと思っていた…。


「コニーのお姉さんだったんだ…。」
「あ、あんまり似てませんね…!」


私を思い出した3人は、それぞれアルミン、エレンの順で感想を述べた。
ミカサに至っては、


「……………」


ただ黙って睨む、とは違う、…強いて言うなら威嚇するような目を私に向けていた。
その様子が、ミカサには失礼なのかもしれないけど、なんだかとてもリヴァイさんに似ていて、


「みんな、訓練頑張ってね。」


自然と笑みが零れた。

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bkm

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