Attack On Titan


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ラブソングをキミに


あの日の少年 2


「でさー、同じ部屋になった奴がお前らほんとに子供かよ!?ってくらいデケェのっ!!」
「…コニー、入団までにやることないの?」


第104期訓練兵団入団式まで数日に迫る日のこと。
コニーはまた、調査兵団の食堂にやってきていた…(お金払ってるから別に誰も文句は言わない。もちろん払ってるのは私…)
なんでも訓練兵団の食堂よりここの方が美味しい、って。
それはまぁ…、わからなくもない気がした。


「大丈夫!準備は出来てるって!」
「そう。」


まだこっちに来て2〜3日しか経ってないから友達もいなくて寂しいんだろうな、なんて思った。


「で、同じ部屋のライナーってオッサンみたいな顔してる奴と、…えぇーっと、」
「うん?」
「ベ、」
「べ?」
「べ、べルべルト?って言うとにかくすっげぇ背高い奴がいてさー!」


コニーはどうも3人部屋に振り分けられたようだ(最大4人部屋)
…コニーにも、私にとってのリコちゃんのような存在の人が出来たらいいな、って。
本当にそう思った。


「やぁやぁやぁ!来てるって噂を聞いて今日こそは会っておこうと急いで来たよ!」
「…ハンジさん!」


コニーと話している最中に、ハンジさんとエルヴィンさん…………から、少し離れて既に嫌そうな顔をしているリヴァイさんがやってきた。


「エルヴィンさんも、すみません弟が、」
「あぁ、いいんだ。確か…、コニー、と言ったかな?」


コニーがジーッと私たちの傍までやってきたエルヴィンさんとハンジさんを見つめた。
直後、


「あーーーっ!!あの時のメガネのオバサンとヅラ疑惑のオッサンッ!!!!」


とんでもないことを叫びだした。


「コ、コニー!?す、すみませ、ちょっ、あ、あのっ、」
「はははははっ!『あの日』と変わらず元気だな、キミは。」


コニーの発言に間違いなく食堂にいた人間は凍りついたと思う。
それを打ち消したのは、他の誰でもなくエルヴィンさんで。


「姉ちゃん、姉ちゃん!このオッサンまじでおもしれーの!俺があんたヅラだろ?って聞いたら俺はヅラじゃないって髪引っ張らせてくれたんだぜ!俺この人大好きっ!!」
「コニー…、お願いほんとにやめて…!」


俺たち友達!くらいな勢いでエルヴィンさんと談笑するコニーに、血の気が引くどころか削ぎ落ちた気すらした…。


「団長、お話中申し訳ありません!」
「うん?どうした?…あぁ、そのことか。そっちで話そう。少し失礼する。」
「…『団長』?……………えっ!!?あのヅラのオッサン偉いのっ!!!?」


エルヴィンさんを呼びに来た兵士の言葉で、コニーはようやく気づいたようだった。


「…あの人はエルヴィンさんて言って調査兵団の団長で、」
「うちで1番『上』の人間だ。それくらい調べとけバカガキ。」


それまで全く会話に入ってこなかったリヴァイさんがコニーを睨みながら言った。


「ま、まじかよ…!俺もしかしてとんでもなく失礼なことしたんじゃっ…!?」
「…そこに気づいてくれたからお姉ちゃんはもういいよ…。」
「テメェがうちに来たらさぞおもしれぇことになるんだろうけどな。」
「え?調査兵団に?いやいや、俺この間も言ったけど憲兵団目指すし!」
「…コニー、たぶんそういう意味じゃないと思うんだ…。」
「うん?」


まず間違いなく嫌味を繰り出したリヴァイさんに、言葉通りに受け止め返したコニー。
コニーはいろんな意味で、調査兵団に来ない方がいいと思う…。


「ついでに言っておくとね、」
「うん。」
「この人がハンジさんで、この人がリヴァイさん。…ハンジさんは分隊長で、リヴァイさんは兵士長をしてる人だよ。」
「………えっ!!?メガネのオバサンとちっさいオッサンも偉いのっ!!!?」
「……………………」


もう2度と、調査兵団の食堂にコニーを入れないって思った。
リヴァイさんはいつも基本無表情。
でも…。
無表情なりにあれは絶対怒ってる、って思うくらい、イラッとしたオーラとでも言うのか…そういう何かを感じた…。


「ぶはっはっはっはっ!!!!」


それを打ち破ったのは、ハンジさんの笑い声だった。


「いやー、コニー!キミおもしろい!!まさか本人目の前にしてちっさいオッサ」


パリーン


「私のメガネがっ!!!!」


リヴァイさんを指差して大笑いしたハンジさん。
を、躊躇うことなく殴り飛ばしたリヴァイさん。
そのせいで吹き飛んだメガネは見事、粉々に砕け散っていた…。


「おい、フィーナ。」
「は、はい!」
「テメェの弟なら責任持って躾しろ。次はねぇぞ。」
「す、すみませんでした…!」
「そこのクソバカガキ、テメェもだ。訓練修了後『うち』に来てみろ、ただじゃおかねぇからな?」


それだけ言ってリヴァイさんは食堂から出て行った。
…あぁ、どうしよう、アレはかなりイラッとしたと思う…。
その原因がコニーって…、本当にどうしよう…。


「姉ちゃん、姉ちゃん。」
「…なに?」
「なんかあの2人、コントみてぇじゃねぇ?」
「………………コニー、」
「うん?」
「憲兵団、入ってね…。」
「おぅ!」


コニーの鮮やかな笑顔とは対照的に、とんでもなく気が重くなった日だった…。

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bkm

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