Attack On Titan


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ラブソングをキミに


条件と期限 5


コニーがラガコ村から出てきた翌日。
調査兵団の宿舎前に何故か立っていたコニー。


「ど、どうしたの!?」
「姉ちゃん!会えねぇかと思ったぜ!」
「なに、なにかあったの?」
「俺1週間入団日間違えちまってさー!」
「…そう。」


重要書類の日時を綺麗に読み間違えたコニーは、1週間早く訓練兵団の宿舎についてしまって、まだ宿舎が解放されていないから入れないと嘆いていた(ちなみに宿舎開放は今日の午後からだそうだ)


「昨日はどうしたの?」
「野宿!」
「のじゅ、」
「それより腹減ったんだけど、なんか食うもんある?」
「え?あ、あぁ…、じゃあうちの食堂に来る?」
「いいの!?ラッキー!」


コニーの凄いところは、失敗を全く失敗と捉えず笑い飛ばせるところだと思う。
あははー!と笑うコニーを連れて、宿舎食堂に行くと、


「あれ?フィーナ、見ない顔の子連れてるね。」
「エルドさん、グンタさん。弟のコニーです。」
「姉ちゃんがいつもお世話になってます!」


エルドさんとグンタさんに会って、何故かそのまま4人でご飯を食べることになった。
主に1人でばくばくと食べながら喋るコニー(たぶん昨日食べてなかったから…)とそれをにこにこと優しく微笑みながら聞いているエルドさん。
グンタさんはその隣で寡黙に聞いていた。


「へぇ!じゃあラガコ村から兵士になるために、」
「ほぅれふ!!」
「兵士になる、ってことは、フィーナと一緒に調査兵団に入るため?」


コニーがごくん、と水で一気に口の中に食べ物を流し込んだところでエルドさんが聞いてきた。


「俺は憲兵団に入るんです!」
「へぇ…、それは理由を聞いていいの?」
「コニーやめ」
「姉ちゃんに内地の男を紹介するためですっ!!!!!」


私が静止するより早く、コニーが…それはもう、本当に大きな声で叫んだ…。


「…お、男を紹介?」
「はいっ!姉ちゃん、のんびりしてるから俺ほんっと心配で心配でっ!!」
「コニーやめて…。」
「『こんなところ』にいたら姉ちゃん絶対変な男に引っかかって泣かされるのが目に見えてるから、それなら俺が内地勤務の『まとも』な男を紹介してっ、」
「コニー、お姉ちゃん本当に恥ずかしいんだけど…。」


正面に座ってるエルドさんの顔が引きつってるのがよくわかる。
グンタさんに至っては下を向いてるからわからないけど、肩が少し震えていた…。


「で、でもさ、それって本人の意思だし。フィーナに恋人がいたらどうするの?」


エルドさんがとりあえずコニーを落ち着かせようとしてくれてる姿が、返って申し訳なかった…。


「はっ!?姉ちゃん恋人いんのっ!!?」
「………えっ!?や、え、あのっ、」


コニーのいきなりのフリに、言葉が詰まる。
私は確かに、リヴァイさんと同じ部屋で暮らしていて毎日同じベッドで寝起きしてるし、1度だけとは言えキスもした。
…でもだからって本当に「それだけ」なわけで。
自分が思い描いていた「恋人同士」と言う枠組みよりももっとこう…冷めた関係、と言うか…、淡白な関係、と言うか…。
むしろ「恋人」と言う枠組みにすら、入っていないんだと思う、し。
現にリヴァイさんは何も言わないし、何より私自身が自分の気持ちにまだ確証を持てない、って言うか…。


「たとえ話だよ、たとえ話!」


なんて、私が言葉を詰まらせていたら、すかさずエルドさんがフォローしてくれた。
…ほんと、リコちゃんが言っていた通り、「良い奴」だと思う。


「あ、なんだ良かった!『こんなところ』で知り合ったような奴、絶対ロクなのいねぇって俺一瞬すっげぇ焦ったんだけど!!」
「…コニー、いい加減黙ろう…?」


その「こんなところ」でご飯食べさせてもらってるんだよ…。
何より、今ここにいる人たちに失礼だよ…。


「大丈夫!!姉ちゃんには俺が絶対、内地勤務の将来安泰な男を紹かどぅわっ!!!?」
「コニーッ!!?」


一瞬の出来事だった。
コニーが再び叫び出した直後、物凄い音がしたと思ったら、それまで普通にイスに座っていたコニーがイスと言う支えを失ったことで真下に落下し、コニーを支えていたはずのイスは壁に激突していた…。


「いつまでもベラベラうるせぇぞ、クソガキ。」


…ここのイス、中央に1本の太い木で床と固定されてるイスなのに…。
床に固定されてる木がボッキリと折れてイスが激突した壁が少し、傷ついていた。


「ったぁ…、何す、お、お前!?」
「よぉ、久しぶりだな。馬鹿のわりに俺の顔を覚えてるようで良かったぜ。」
「『あの時』の調査兵団の、」
「『姉ちゃん』に免じて今日は無傷で帰してやる。俺の気が変わらないうちに黙ってメシ食ってさっさと出て行け!」


フン!とでも言いそうなほどの勢いで横を向き去っていったリヴァイさん。
「姉ちゃんに免じて今日は無傷で帰してやる」って…、コニー既に負傷してるんですが…。


「コニー、大丈夫…?」
「…あぁいう奴がいるだろうから、姉ちゃんをさっさと内地に連れていきてぇんだよっ!!」
「お願い、コニー。」
「うん?」
「それ以上生き急がないで…。」


今日のリヴァイさんは機嫌が悪い。
それもとんでもなく。
そんなリヴァイさんに喧嘩を売るようなこと言って、コニーってば本当に…。
その時、ぽん、と私の肩にエルドさんが手をかけた。


「まぁ、ここはみんなの休憩場所だからね。静かに過ごしたい人もいるよ。」


そう言ってコニーを説得してくれたエルドさん。
…けど。
リヴァイさんの後ろ姿を見た後、私を見て困ったように笑ったその顔に、なんとなく、「バレている」ような気がして、


「………」


咄嗟に言葉が出ず、俯くしかなかった。

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bkm

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